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三十日目 別れはさり気なく
大阪に着いたのは朝の九時やった。
埠頭の隅で終わったなぁ、と話していると、タクシーが傍を通り掛かり、運ちゃんが窓から顔を出して「そこ邪魔やから退けや」と吐き捨てられた。
オレたちは眉をしかめながらも場所を移動して「大阪やな」と頷き合った。
気分も削がれたので、オレたちは早々に埠頭を離れた。
住み慣れた街を走り、二人の帰り道が重なる最後の丁字路がやってきた。
その手前でちょうど信号が赤になったので、オレたちは横並びになって話した。
「帰り道分かるよな」と鉄朗。
「おう。そっちは」
「問題ない」
信号が青になる。
「じゃあ、またな!」
鉄朗は先を走って左に折れて行った。
「またな!」
オレはその背中に言葉を投げかけて、右折した。




