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二十七日目の2 バトルオブ屋久杉ep.2
登山口からしばらくはトロッコ用のレールが敷かれていた。枕木を踏みながら一歩ずつ進み、山をくり抜いて作られた洞窟を抜けると、山間を繋ぐ橋に出会した。
頼り無い足場の橋で、雨に濡れた足場は滑りやすくなっとる。
橋の上から見た谷底は、雨で緑を深くした木々と、川に沿って並ぶ白い岩石の上に、ふわふわとした霧が立ちこめている。
夏の盛りだが、冷たい空気が肺を満たした。
橋を渡りきった所で、雨が降った。
オレたちは上だけカッパを着て、また歩き出した。
それから幾度も橋が出てきて、中には手摺りの無いものまであった。雨と覚束無い足場に神経を削られて、実際よりも多く体力を奪われた。
トロッコの道はしばらく続き、雨も降っては止みを繰り返す。
勾配はほとんど無かったが、他の登山客がそれなりに居たため、回りとペースを崩さず歩くのにも気を遣った。
何より、常にカメラを構えながら動くのも疲れた。
やがてトロッコ道の終りが見え、開けた場所に登山客たちが寄り集まって休憩していた。この時点で二時間歩き詰め。先はまだ長いか、と思って視線を上げると、木作りの階段が見えた。
――登山だものね、登るよね。野武彦
オレはずぶ濡れのズボンに付いた泥を手で払って、歩き出した。




