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二十五日目の3 デス・ラン

 眠気覚ましの歌のレパートリーは既に尽きていた。三号線をひたすら走り続けるオレたちは、もはや気力も体力も失われて僅かな意識だけでハンドルを握っている。深夜に公道を走っているのはトラックばかりで、彼らが隣りを通り過ぎる度にハッとなって、眠りながら運転していたことに気付く。今どの辺りまで来ているのか、今何時なのか、確認すると心が折れてしまう気がして、ただ一心にフロントライトが照らし出す道路の白線を睨んでいた。強烈な睡魔を何度もやり過ごしていると、ある時点で体の感覚さえも遠ざかって、アクセルを回しているのか、それともただハンドルに手を添えているだけなのかさえ分からなくなる。それでもスピードメーターは時速30キロを指していて、耳朶には轟々とエンジンの音が響いている。



 死ぬかも知らん。



 そんな考えが過ぎったのは一度や二度ではない。たかだか一、二万のためになぜこんな無茶をするのか。



 コンコルドのことを思い出した。超音速旅客機コンコルド。制作段階で乗客定員の少なさ、燃費の悪さから採算が取れないと判明したが、それまでに費やした時間と費用を惜しく思い、制作を中止出来なかった。



 いや、オレたちは時間に間に合いさえすれば損失を回避出来るのだから、待てよ、こんな苦労に見合う金額なのか。命に見合う金とは……。



 思考は夢と道路上とを繰り返し行き来して、気が付けば夜は明け始めていた。街を囲む山を前景に朝日が昇る。時間が無い。走り、走り、走り続けて、八時。



 オレたちは鹿児島港に辿り着いた。

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