表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/61

田舎について

 八月十日の夜。



 昼から走り続けて田舎に戻ってきたオレたちは、明日のため晩飯と風呂を素早く終えて布団に潜り込んだ。



 家の前で鉄朗と再会してから、禄にまともな会話をせずにここまで来たが、メシを食ってるときも、近場の銭湯で風呂に入ってるときも(田舎の風呂はいよいよシャワーも浴びられないほど風化し始めとった)、日常の会話しかしなかった。



 言うても精々半年遠くで暮らし取ったぐらいやし、そんなもんか、


 とそう思いながら枕の位置を直してたら、



「そういやな、五月ぐらいに彼女出来てん」と鉄朗が切り出した。


「ほんまか。どんな子?」


「吹奏楽部の子で、向こうから話し掛けてきてな」


「ほう」


「なんやかんやあって付き合うことになって、休日に家呼ばれてな」


「急展開やな」オレは仰向けから体を横にして鉄朗の方を見た。


「家に誰も居らんくて、昼前に行ったら、メシ作ってくれる言うてな」


「ええやん」


「そしたらカレーを作ってくれてな」


「ああ、去年の旅で死ぬほど食ったな」


「せやろ。インスタントカレーを魔改造しまくって、色々やったやん」


「おう。にんにくカレーはアカンかったな」


「トマトとか、アスパラとか、あのへんが相性ええんや」


「そら分かったけど、その子とはどないなってん」


「いやいや、関係あんねん。自分らでカレーをアレンジしまくって食ったお陰でな、その子のカレーがなんちゅうか、普通やってん」


「そら一発目で彼氏に食わせるカレーで冒険はせんやろ」


「ああ。でも儂は感想を聞かれて、普通やな、って答えてん」


「……振られたやろ」


「……せやねん」



 そこでオレはハッとして、布団を飛び起きて言った。



「お前、傷心旅行に来たんやないやろな?」


「んな訳あるかい。何やねん傷心旅行て。旅に失礼やろ」


「別に失礼なこたないけど」



 オレはまた布団に入っていった。すると鉄朗が、



「あぁ~、あぁ~、あ~あ~」と両手を天井に向けて揺らしながら嘆きだした。


「めっちゃショック受けてるやん」



 そうツッコムと、鉄朗がゲラゲラ笑った。


 明日のために早う寝ようと言ったのに、結局は十二時頃まで下らない話をした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ