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十五日目 逗留の1

 夏のゴング鳴らすか。


 と鉄朗はキッチンで朝飯のインスタントカレーを温めているときに言った。



「なんやそれ」



 オレが追加の具材としてソーセージを焼きながら言うと、鉄朗はスーパーの袋から蚊取り線香を取り出して火を付けた。そういや蚊が飛んどる。



「夏のゴングて」



 オレは鼻で笑いながら二枚の大皿にソーセージを分けて入れた。家の炊飯器で炊いた米をよそって、鉄朗が温めていたカレールーをかける。



「さんざんカレー食い散らかしてそろそろ飽きてきたな」


「やからソーセージ入れたんやん」


「それだけやと大して変わらんやろう」


「そうや、昨日スーパーでニンニク買ったやろ。あれ入れよや」


「あぁー、ニンニクなぁ。あれは何に入れても美味いよな」


「フライパンまだ洗ってないやろ。そこで焼いたら?」


「せやな。ほんま、だいたいニンニク入れたら正解やからな」



 皮を剝き、少量のオリーブオイルを垂らして焼き始める。頃合いを見てカレーに投入し、テレビを付けて朝飯にした。いただきます、と手を合わせて、ニンニクカレーを食べる。



「信じてたのに……」



 ニンニクカレー、げろマズ。


 残す訳もいかず、オレたちは朝から苦しんだ。



 昼前になって、ほんじゃあ続きを行くかとガレージを開けた。


 しかしどうやってもオレのリトルカブはエンジンが掛からず、近場のバイク屋を訪ねて、そこでエンジンが焼け付いて故障したことを知った。


 替えのパーツを頼んだが、何日掛かるか分からないという。



 一旦バイクを預けて祖父母の家に戻り、途中で買ったコンビニの弁当を食べた。



「修理パーツの宛てが出来たら連絡くれるってたけど、どうするよ」と鉄朗。


「あんまり遅れたら、学校始まってまうで」


「でも早くても三日は最低でも要るって言うてたし」


「まぁ、様子見やなぁ」



 その日はまた家に泊まった。


 溜っていた洗濯もんを洗って、なんとなく家を掃除して、バイクを洗って、これまでの道中の記録をノートに付けた。



「屋久島までは行かれんかも知れんなぁ。日程的に」


「うーん……」


「野武彦、明日一回爺さんらんとこ見舞っといたら」


「考えたけど、行ったら旅が終わってまう気ぃすんな」



 この日から、里帰りというべきか、逗留というべきか分からない停泊が始まった。

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