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十四日目の1 砂丘と因幡の黒兎

 山陰道から鳥取に入り、有名な鳥取砂丘へやってきた。


 砂丘とあるように、まるで小さな沙漠がそこにある。


 白い砂に照り返す太陽光。高い砂の丘。丘の上からはパラグライダーを楽しむ観光客がちらほらおった。



 海の近くまで行こうかと思ったが、砂が足に重く、長旅の疲れもあって遠くから眺めるだけにした。海まで行かずとも、道路と海の中半に小さな水たまりがあって、オレはそこによろけながら寄り、「み、水……」と呟いたあと、今し方その水たまりを見付けた振りをして「オアシス!」と叫んでは飛び付き、腹這いになって水を両手で掬ったあと、明らかに手が濡れているのに「……幻や」と嘆いた。



 鉄朗はそれを見て、ひひひひと高い笑い声を上げた。オレは腹が火傷するほど熱かったが、ひと笑い起きて満足した。



 昼前には砂丘を出て、オレたちは道の駅は神話の里白うさぎへとやってきた。



 因幡の白兎。


 大国主神ちゅう神さんがまだ大穴牟遲神って呼ばれとったころに、兄弟らと稲羽の八上比賣に求婚しようと因幡にやってくる。他の兄弟は自分が気に入られようとして、自分たちの荷物を大きな袋に入れて大穴牟遲神に持たせて、格下の従者に見えるように引き連れよった。


 道中、先を行く兄弟らが毛皮を剥がれた兎と出会って、しょーもないイチビリで「海入って風で乾かして日光浴したら治るで」っちゅうようなウソ吐いて、兎は余計に傷を深くして泣きだす。


 そこに最後尾の大穴牟遲神が来て「お前なに泣いてんねん」って感じで聞いたら、兄弟らの悪行のことを言うんか思ったら「サメ騙して海渡ったら皮剥がれてん」的なことを言うて、それを聞いた大穴牟遲神は「自業自得やん」とは言わずに「真水でバーッ洗ろてな、ガマの穂があるやろ、茶色いニンジンみたいなやつや。その花粉が傷薬なるからダーッって体に付けたったらええわ」みたいなアドバイスをして、その通りにしたら毛が生えて傷が治った。「大穴牟遲神さんバリ優しいやん。あんたが嫁に選ばれるで」ってなことを白兎が預言してその通りになる。みたいな話。



 オレたちは「ばぁり優しいやん」と繰り返しながら出発し、道の駅大栄に着くと、そこの広い芝生でしばらく昼寝をした。横になりながらときどき「ばぁり優しい」と言ってネタにした。



「しかし今時分、優しいだけのヤツはモテへんのう」と鉄朗。


「せやなぁ」


「なんでやろうな」


「そら生き残りやろう。一番ええのは頼りになるヤツや。ダイコク様の時と違って、優しいヤツは頼りになるヤツやなくて、ええように使われる世の中なんやろう」


「ほんじゃ今の時代、白兎はどんな預言とか助言をするんやろな」


「兄弟しばけ!!」 


「黒兎やんけ」


「人が黒なったんや」


「なぁ~るほど」



 芝生の上での仮眠で見た夢は、黒兎が現われて「人類よ、殺し合え~」と高笑いした。するとハーレーに乗った鉄朗がやってきて「Thanks Black Rabbit」と言いながらその黒兎を轢いていった。



 無茶苦茶やな、現代。とオレは思った。


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