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十日目 カブ大集合&不運五連発

 道の駅で朝目覚めると、そこに中型スーパーカブに乗った旅人が一人やって来た。その兄ちゃんと少し会話して、この先に川原毛大湯滝、というえげつない温泉がある、と情報を聞いたところで、チョッパー改造のカブがまたやってきた。



 リトルカブ(オレ)


 スーパーカブ50cc(鉄朗)


 チョッパーカブ


 スーパーカブ110


 が朝早い誰も居ない道の駅に横並びになる。



「ここでヤマハの展示会だ!!」



 はしゃぎ始めた男たち。


 一通り写真を取り尽くし、オレたちは教えて貰った温泉を目指した。



 山道をローギアで登っていくと、やがて山間に白煙が見えた。


 そこにあったのは源泉そのものやった。


 山肌の中間、灰色がかった泥がぶくぶくと泡立ち、そこから煙が立ち上っている。


 湯沢市の看板で『危険 有毒ガス発生につき注意』と書かれている。



 あたりを立ち込める硫黄の臭いを振り払いながら、さらに先へ登っていくと、灰色の山に出会った。所々、硫黄が濃いところは薄い黄色が滲んでいる。


 ここで採掘が1623年から1966年まで及んだ、と立て看板にはあった。



「こりゃあ是が非でも風呂に入らんとな」とオレが言うと、


「あれ見ろ」



 鉄朗が別の看板を指して言った。そこに、



「ここから大湯滝へは、途中歩道が決壊している為、行かれません。三途川よりお回り下さい」とあった。



 ここまでの峠道、来るだけで一時間が掛かった。三途川へはそこを戻って更に進み、風呂を上がればまた峠を越えなければならん。



「なぁにが三途川じゃボケカスぅう! ほとんど山やないか!」



 オレたちは山に悪態をついて先を進んだ。


 すると即座に雨に降られ、あげくにオレは藪の中にスリップして突っ込んだ。



 雨を耐えながら下山すると、かの有名な最上川に近づいた。


 そのときには雨も小降りになったし、ちょっと見て行こうか、という気になっていたが、突然の豪雨にやられる。


 5メートル先の視界が真っ白になるほどの雨。そんな中、トラック行き交う山道を走るのは死を覚悟した。



 どうにか苦境をくぐり抜け、見付けたコンビニで雨を凌いでいると、鉄朗が慌てた様子で「荷物一個落とした」と言った。



 どこで落としたかも分からない。中身はアイヌコタンで買った土産のバンダナや手袋、パンツなどが入っていたらしい。


 つくづくパンツに縁の無い旅やった。



 拾いに行くのは絶望的、と考えたオレたちは、コンビニで雨が止むのを待ってからまた走り出した。


 だが、走り始めてすぐ、オレは異変に気付く。下半身に濡れた感触。


 クラクションで鉄朗を呼び止めて、言った。



「カッパ、股間のところに穴開いてる……」



 温泉には入れない、最上川は見られない、雨に打たれる、荷物を落とす、カッパがダメになる。不運の五連コンボ。



 オレたちは「なんじゃこれ」という気持ちで互いの顔を見合った。それから、



「ハハハハハハハハハハ!」



 まるで武将のような、居丈高な笑い声をあげた。


 不運もあんまり積もると笑うしかなくなる。



 もう行くしかねぇ、とまたバイクに跨がって、山形に入り、日本海へ出て来る。


 北海道ぶりの日本海は、北海道と同じく曇っていた。



 夜中に道の駅神林に到着し、ベンチで眠った。

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