魔王様の日常
俺は魔王。そう、魔族の王だ。
魔族の国は人間の国とは何故か敵対関係にある。何もしてないのに目の敵にされてるのだ。魔族は魔物を作り出すことなんかできないし、普通に狩る対象だ。
魔族はただ他の種族よりちょっとだけテイマーとか召喚師とかが多いだけなんだ。決して全ての魔物を操れる訳でもないし、禁呪の類いを使えるわけでもない。
魔王だって、ただ単に魔族の国の最強がなる名誉職みたいなもんだ。政治とかは大臣達がやってくれる。大臣達にサインお願いしますと言われた所にサインをするだけの簡単なお仕事だ。よっぽどすごい王でない限り自分で政治をしたりはしないと思うから問題ないな。
魔王はとにかく暇だ。暇だったから20年位かけて間異世界転移魔法を覚えた。
転移した場所の名前は東京都という所らしい。全くわからない。あ、ちなみに言葉は普通に通じた。なんてファンタジー。後で振り返ってみて、俺の方がファンタジーしてたのかと思ったのは内緒だ。あと、何故か本屋のライトノベルの棚の前にいた。これを読めという何かの導きなのだろうか。
複製魔法で増やした札(よゐこは真似しないでね!)を使って何冊か買って帰った。これで暇は潰せるだろう。
買った本は無茶苦茶面白かった。特に異世界テンプレモノが面白かった。俺の世界と比較できるからな。どこの世界でも魔王は人間から見たら何故か悪になるんだとも思った。というか、魔王が悪じゃない小説が少なすぎだと思う。あと、この世界の人間は魔王が常に変な鎧とマントを着ているとでも思ってるのか? 魔王だって普段はこっちの世界で言うTシャツとジーンズを着てるんだぞ。挿絵にあるような動きにくそうな服を着るわけがないじゃないか。
なんとなく手に取った小説がアニメ化してたからアニメも見た。個人的には原作の方が好きだな。
はまったからまた買いに行った。50冊位一度に置いたらびっくりされた。これでしばらくは持つと思う。
アニメを見てたら、大臣から勇者達が城に来てしまったという報告がきた。とりあえず部下に指示を出して玉座に向かう。
遂に勇者が玉座まで辿り着いた。さすがは勇者と言ったとこだろうか。まあ、報告があってから152日たってるのだけれど。勇者はなんと死に戻りができるらしい。即死トラップに嵌まって死にまくっていた。諦めずに向かってきたことは誉めたい。
「貴様を倒してこの世を平和にして見せる! 魔王め、覚悟!」
お決まりの台詞をはいて勇者が斬りかかってきた。面倒だ。相手にしたくない。とりあえず、部下に後ろから不意討ちをさせる。勝った。うん、不意討ちサイコー。ライトノベルとかゲームみたいに1対1とか1対パーティーとかするわけないじゃん。確実、堅実が一番だね。とりあえず、好きなアニメの二期が始まったから罠を大量に仕掛けて時間稼ぎしようと思う。魔王だって息抜きはするんだよ。息抜きしかしてないとかはいっちゃだめ。
アニメを見てたら、また勇者が来たらしい。前はレベル24だったのが30に上がってる。えっ……。人間の最高レベルって30なのね。初代竜討伐の仕様なのだろうか。ちなみに武器はサーベルだった。全く勇者に見えない。むしろ盗賊と言われたほうが納得できるみためだ。まあ、とりあえず倒そうか。アニメの続き見たいし。
「魔王め! 貴様は俺が切り刻んで倒してやる!」
なんか台詞変わってた。どうでもいいけど。とりあえず試すか。
【死の宣告】
え。勇者って即死耐性無いのか。