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空が青く澄み渡る、気持ちの良い空の下、城内にある神殿では盛大な式が行われようとしていた。
王太子や王、そして城中の人間が集まっている式の主役達は、困惑顔だ。
二人で小さな式を挙げるはずだったのに、隊長の任せろという言葉を信じたら一介の騎士では有り得ない、盛大過ぎる式になってしまっている。
王太子も関わり、城中の人間が協力したというのだから驚きだ。
司祭のいる祭壇で花嫁を待つダニエルは、幸せいっぱいの日なのに、困ったように眉を下げている。
しかしその顔も、花嫁が姿を現してからとろけた顔に変わる。
アディの纏う純白のドレスは、彼女の華奢な肩を露出させるデザインで、長いレースのトレーンが、ゆっくりと進むアディについてくる。
白い小花が散らされ緩く編まれた黒髪と左右違う色の瞳は神秘的だった。
最初は列席者の多さに困惑顔だったアディも、ダニエルと目が合うと幸せそうに微笑んだ。
祭壇まで辿り着き、二人は腕を組む。
司祭の言葉を聞き、結婚宣誓書にサインをする。
サインした宣誓書を列席者に見せると、割れるような拍手と口笛が神殿を包んだ。
式の後は、城内で盛大な食事会だ。
アディは先程のものより動き易い別の白いドレスに着替えさせられ、城の料理人が腕を振るったという料理を食べる。
なんだか分不相応過ぎて、ダニエルとアディは苦笑いをお互いに浮かべている。
六番隊の隊員だけでなく、いろんな人達から祝福の言葉をもらったのにも、二人は困惑した。
しかも、王太子の計らいで、二人には今日から7日間の休みが与えられ、明後日から三日間は観光地への旅行まで手配されているようだ。
余りにも至れり尽くせり過ぎて、アディはお祝いの言葉を言いに来た王太子に釘を差しておいた。
『有難く受け取りますが、買収はされません。』
王太子は、笑顔が少し引きつっていた。
城の一室に泊まる許可も出ていたが、二人は大きな風呂だけ堪能させてもらって自宅に帰ってきた。
ソファに座り、大きく息を吐く。
なんだかとても疲れてしまった。
お互いの様子に笑い合い、どちらからともなくキスをする。
「アディ、隠し事はもうないか?」
軽く唇を重ねる合間にダニエルが尋ねると、アディが目を逸らす。
「あるのか?」
体を離してダニエルが聞くと、アディは笑って、口を開いた。
「私、人の感情が、分かるの。」
アディの言葉に目を見開きながらも、ダニエルは納得した。そうじゃなければ説明出来ないような事が何度かあったからだ。
「ダンに、最初に会った時にね、一目惚れだった。」
アディは思い出すように微笑む。
「ダンは、真っ暗な冷たい場所にいた私を照らす、太陽みたいだった。」
ダニエルの瞼に、額に口付けて、アディは話す。
「瞳は青空。髪は太陽。あなたは、私の太陽。」
アディの告白に顔を赤くしているダニエルの唇に、アディは優しく口付けた。
それに応えるようにダニエルは口付けを深くして、アディを横抱きにして寝室に向かう。
「愛している、アーデル。」
優しくベッドにアディを下ろしたダニエルは、熱のこもった声で愛を囁く。
「愛してるわ、ダニエル。」
アディの囁きを合図に、ダニエルは深く飲み込むように唇を重ねて、二人は熱を分け合った。
次の日、おあずけをずっと食らっていたダニエルによって、アディが動けなくさせられたのは、新婚ならばよくあるお話。
これで本編は完結です。
土曜以降に、アディ視点のお話と二人のその後の短編を投稿する予定です。
宜しければそちらもご覧下さい。