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DD ダンジョン殺しのダンジョンマスター <第1部>  作者: 穂麦
1章 アスティユ大陸 本編開始
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第44話 海底の迷宮殺し モンスター退治

 効率的にダンジョンを制圧するために、リシュ、ジンライ、ラッセルは別部隊を率いて行動をしている。


 リシュは、暴走して吐き出されたモンスターを見て、体に水分を多く含む敵が多いと判断した。

 このため、ダンジョン内でも感電しやすいモンスターが多いと考え──。


「ソーサラー、雷撃魔法サンダーを使用」


 リシュの声と共にローブで全身を覆ったソーサラーが、雷撃魔法を使用する。

 ダンジョンの天井に、赤い魔方陣が描かれて雷がクラゲ型のモンスターへと落ちた。


 宙を舞うように浮遊していた5体のクラゲ、ジェリーフィッシュは雷に打たれる。


 放たれた雷撃魔法は3発。

 しかし、5体のジェリーフィッシュは、タワーシールドという背丈ほどもある盾を持つスケルトンたちが抑えつけて密集させていた。

 このため、落ちた雷は3つではあったが、5体のモンスターにまとめてダメージを与えた。


 付け加えるのなら、体に大量の水分を持つ水系モンスターであるジェリーフィッシュは、通電率が高く大きなダメージを受けた。しかし体が骨で出来ているスケルトンたちは、水分が少なくダメージもまた低い。


 もっともスケルトンは骨に術式を刻み込んで動けるようにされたモンスターだ。このため魔法によるダメージを受けると、術式が傷つくので無傷というわけにはいかないのだが──。


 ダメージを限界以上に受けたジュエリーフィッシュは、空気が漏れた風船のように地面へと落ちていく。


 だが、戦いは終わっていない。

 ジュエリーフィッシュに続き、即座に2体のサハギンが襲いかかってきた。


「サクヤ、コボルトに!」

「はい!」


 リシュの言葉に合わせて、サクヤは準備していた補助魔法をかける。


雷付加魔法サンダーウェポン


 サクヤによって雷属性を得た、3体のコボルトが持つ槍は黄色く淡く光っている。


「行け!」


 襲いかかる魚人型モンスター、サハギンを倒すためコボルト達は走った。


 *


 戦闘は終わったと、周囲を見回したリシュは判断した。


「ティア、周りにモンスターはいるかな」


 リシュは、彼の懐で姿を消している妖精に話しかけた。

 普段なら留守番だが、今回は人に見つかるわけにはいかないので連れてきていた。

 このため、今回はティアの持つ感知能力を存分に生かせる。


「大丈夫みたい。この辺り……と、いうかこの階にはモンスターはいないみたいだよ」

「ありがとう」


 消していた姿を見せて、懐から顔をのぞかせた妖精の言葉にリシュは警戒を緩めた。

 リシュ自身も、ダンジョン殺しを行っている最中なら、自分のいる階層のモンスター数を把握できる。

 しかし、その能力を絶対視せず常に慎重に動くのがリシュのスタイルだ。


 実際のところ、少しの油断で簡単に人生が終わるほど弱いので、慎重に動かざるえないというのが現実と言えるのだが。


「よお」

「わっ」


 離れた場所で太い声が響いた。

 その声に驚いたわけにはいかないが、ティアはリシュの懐へと潜ったあと、再び姿を消す。

 人間に妖精であるティアは、姿を見られると色々と危険があるためだ。

 

 声の主はジンライ。

 彼の隣にはラッセルもいた。


 預けたモンスターはかなり減っているが、彼ら自身に大した傷は無いようだ。


 リシュは、彼らがモンスターを使い捨てに出来るか心配だった。

 残念ながらリシュの作成できるモンスターは格下すぎて、このダンジョンを支配するダンジョンマスターを倒すのは難しい。

 よって、作成できるモンスター以外の力──ジンライ、ラッセル、サクヤの力がダンジョン攻略の鍵になると考えていたからだ。


「かなりの数でしたね」

「ええ、ダンジョンが暴走したときに出来たモンスターが多かったせいでしょうね」


 ダンジョン殺しにより、ダンジョンの暴走は一時的に止まった。

 しかし暴走時に作成されたモンスターが、ダンジョンに多く残っていたのだろう。

 まだ1階層にリシュ達はいるのだが、多くのモンスターと戦うことになってしまった。


「まあ、暴走したときに作成されたモンスターは、1階層に集中するので後の階はここよりもは楽になると思います」

「モンスターを作成? 君も確かモンスターを作成すると言っていましたね」


 失言だった。

 リシュの言葉で、ダンジョンとリシュの自称秘術が結びついてしまったようだ。


「ええ、秘術はダンジョンの機能を参考にして作られた物ですから」

「ダンジョンの機能が解明されたと聞いたことはありませんが……」

「だから、僕たちは迫害されたのですよ」


 やはりというか、ラッセルはリシュに疑念を抱いているようだ。

 騎士である彼は教養があり、下手な嘘は勘付かれる可能性がある。


 特に格上のダンジョンを攻略している今の段階で、不信感を持たれるのはマズイ。

 このためラッセルと、彼と行動を共にするジンライに情報を与え過ぎない方が良いだろうとリシュは判断して、それとなく話を切り替えた。


「少し休んだら次の階に進みましょう」

「俺はすぐに行けるぜ」

「僕の体力が持ちませんよ」


 ジンライとラッセルは、自分の体力を測る能力に問題は無いとリシュは考えている。しかしリシュとサクヤは、正確に自分の体力を測れる程の経験がない。


 このため休める時に休み、体力の回復を行っておく必要があった。


 それから10分ほどの休憩を隔て、再び彼らはダンジョンの奥へと進んだ。

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