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第13話 迷宮を殺す者

 ティアの感知能力により、モンスターを避けながら目的地へと辿り着いたリシュ一行。

 彼らは、森の奥にある古びた教会の前にいた。

 

「じゃあ、ティアはいつもどおり待っていて」

「……気をつけてね」

 

 そう言うとティアは、リシュから離れて彼の後ろへと飛んで言った。

 

「準備はいいかい?」

「はい」

 

 次にリシュが声をかけたのはサクヤ。

 彼女にはダンジョン殺しを手伝ってもらう予定だ。

 

「……始めよう」

 

 リシュは瞳に覚悟の色を宿すと右手を前へと着きだした。

 同時に右手に光が集まり、徐々に形を形成していく。

 

 光はリシュの手を起点に縦へと伸び一本の白い杖へと変わる。

 自らの身長よりも遥かに大きな白い杖を右手に握り、ステンドグラスの神秘的な光が見える教会の入り口へと杖の先を向けて声を発した。

 

「迷宮の支配者たる我が声に応え、略奪者の刃よ顕現せよ。其は我が新たな支配の地を切り開く剣なり。其は我が略奪を妨げし者を葬る槍なり。我は迷宮の新たなる支配者としての力を此処に示さん」

 

 森に美しき言葉が響き渡ると、洞窟の入口に魔方陣が浮かび上がる。

 

 それは白い魔方陣。

 神聖さを感じるのだが、同時に邪悪さも込められている。まるで、リシュが持つ勇者という神聖と、ダンジョンマスターという邪悪を象徴するかのようだった。

 

 光を放つことのない魔方陣。

 まるで何でもないかのように、しばらくはリシュの杖と洞窟の間に存在していた。

 

 ──だが、変化は突如として起こる。

 

 魔方陣を中心に周囲の空間が波打ち始めると、徐々に空間を蝕むかのような波紋は大きくなっていく。

 それは水面に生じる波紋を見ているかの光景だった。

 

 脈打つかのように何度も空間を侵食する波紋。

 それは徐々に広がり続けて、最終的には洞窟の入り口を覆い尽くす程の揺らぎへと成長する。

 

 波紋が自らの背丈の数倍になり、リシュは仕上げへと入る。

 目を瞑り魔力を杖へと集中させていく。

 

 集まり続ける魔力は人のそれを遥かに超えるものとなり、彼が人外であることを如実に表してす。

 

 そして人外の魔力を開放した。

 

「ダンジョン・キル」

 

 再び美しき少年の声が森へと響き渡る。

 

 最初の変化は、魔方陣の中心に現れた小さな穴。

 穴の色──この世に存在しないであろうと言えるほど深い黒色。

 

 生じた黒色は、一瞬で魔方陣を染め上がりた。

 

「行こう」

 

 サクヤへと言葉をかけるリシュ。

 彼の前には、この世に在らざる真の黒色が大きな口を開けていた。

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