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第10話 迷宮の住人達と食事

 リシュが管理するダンジョンの最深部近くにある居住区は、木で出来た小屋のような内面をしている。

 ここでは、リシュをはじめとした関係者が暮らしていた。


「リシュ~。お~な~か~空~い~た~」


 ピンク色の髪をした妖精のティアが、テーブルで本を読むリシュの髪を引っ張りながらに空腹を訴えた。


「できれば私も……」


 眷属となったサクヤも空腹のようだ。


「もう、そういう時間なんだ」


 一方でリシュは空腹を感じていない。

 彼はダンジョン内にいるのであれば、食事をしなくても生きることができるためだ。


 このため他者の空腹に対して鈍感な部分があった。


「じゃあ、食事にしよう」

「うん」


 リシュの言葉に満面の笑みを浮かべるティア。

 現金な妖精に苦笑いを浮かべながらリシュは、同居人達とキッチンへと向かった。


 *


 キッチンに着いた三人。

 彼らは料理を作るわけではない。


 なぜなら、このダンジョンでの食事は──。


「……やっぱり慣れませんね」


 サクヤがキッチンの脇に置かれた10個ほどの宝箱を見ながら呟いた。


「そう?」


 そんなサクヤに対して、不思議なものを見ているかの表情で返答するティア。

 彼女の応えを聞いたサクヤは、微妙な表情をしながら宝箱に視線を向けた。


「気持ちは分かるけど、便利だからさ」


 ティアの言葉をフォローするかのように、リシュは笑みをサクヤに向けながら答える。


「…………(はうっ)」


 美少女すぎるリシュの笑顔に、内心で悶絶しているサクヤは壊れた人形のように何度も頷ことしか出来なかった。


「リシュ! 私はコレね」


 ティアが宝箱の1つをペシペシと叩いている。

 よほどお腹が空いていたんだと思いながら、再び苦笑いをリシュは浮かべる。


「わかったよ」


 苦笑いを浮かべるリシュが宝箱に近づき開くと──。


「今日はスパゲッティだね」


 ミートソースがたっぷりと掛けられたスパゲティが盛られた皿が、宝箱の中にはあった。


「リシュ、お皿いい?」

「じゃあ、サクヤが選んだら小皿を持って行くよ」


 妖精であるティアは体が小さいため普通の食器では食べにくい。

 このため小皿のような小さい食器が必要になる。


 しかし、小さな体でありながら明らかに自分の体積よりも多い食事量であろうとも残すことはない。

 そのことをリシュは、妖精だからと既に割り切っている。


「サクヤはどれにする?」

「えっ。あ、はい」


 宝箱から出来たての料理が出る。

 この異常な日常に慣れつつある自分がサクヤは怖かった。

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