21・お城に行ってご対面
引き篭もりメイドやっていたのに、なぜかお城に呼ばれました……。
――私……いつの間にか、何か行動を間違えてしまったのでしょうか?
(どうしよう……この国の常識なんて、まだ良く分かってないし、、
ましてや王族相手の礼儀作法なんて習った事もないですよっ!
演技と知識と愛嬌で乗り切れる自信が、全く持ってないんですが?!」
困った……言葉は製作者サイドの立ち位置だった影響か、はたまたユリアの体の影響か、
一応言葉が通じるので、後は何とかなるだろうとか思っていましたが……。
実は、今の私には最大の弱点がある。「読めるけど字は余り書けない」という事に。
普通、読めるのなら書けるものだと思うのだが、そうは上手く行かないようである。
見て、真似をして、字をつづるだけなら何とかできる程度。
だからそれに気づいたアデル様は、真っ先にお屋敷と騎士団の連絡先、
保護したアデル様の名前、そして私の名前を教えてくれました。
(この国の字を書く事を要求されたら、非常に困る!
元が令嬢だったからと教養があると思われるだろうし……。
まだ片言ですよ……時々間違えたりもしますよ!)
何か「見ずに」書けとか言われたら……絶対にバレる気がする。
私自身が令嬢ではない事に。それは私がユリアでないという確実な証拠になる。
だからこの国の字を書く時は手が震えるし、頭が痛くなります。
泣きながら出来ない事に挑戦してはいるけれど、そんな短期間で身に付くものじゃなく、
また直ぐに出来るようになる訳でもない。
(言葉も通じなかったら……私は「話せない」振りをするしかなかったよね)
この国の言葉が話せなくて、異国の言葉を話していたら警戒されるから。
でもそれは「声を殺して生きる」という事になっていただろう。
だからまだ……自分は十分幸運だったと思う。
それ以上を望むのであれば、日々の努力しかない。
(なんとか……乗り切るしかないよね)
頭を怪我した影響で……という言い訳が、何処まで通用するか不安ですが。
新人の役者が、ベテランの先輩方にご挨拶に行く時の注意事項を思い出し、
今回はそれ以上の心構えで挑みたいと思います。
仕事を貰う為に、徹底的に養成所の先生方に叩き込まれた。
鬼のマナーレッスンを活かす時ですね!
※ ※ ※ ※
(お城の中から、じゃじゃじゃ~ん!)
……なんて、緊張のあまりに混乱し、ポーズを取って和ませたいのを必死に堪え、
私は貰った王子様からの手紙を門番に見せ、入り口の取次ぎの人にも見せ、
体に不審なものを持ち合わせていないか厳重にチェックされた後、
静かな廊下を女官の方に案内されながら、縮こまって死んだ目で歩いておりました。
えーと、これが普通の私のノリなら~……。
(わ~此処がお城の中ずらか~)
……と、おのぼりさん宜しく、辺りを見回したい所なのですが、
身に覚えが無い召集があるという事で、立場を少しでも良くするべく大人しくします。
人間、第一印象が重要ですからね。心無しきりっと表面上では取り繕わなくては!
(い、一体、王子様がメイドごときの私に何のご用でしょうか?
土下座くらいで許されるレベルの悪戯すら、王子様にやった覚えも無いのですが……)
思いつくとしたら……やはり、アデル様絡みかな。
(はっ!? そう言えばアデル様に試作品のプリンを食べさせた事がある!
アデル様はあの時、得体の知れない物だと恐る恐る食べていて、
すぐに気に入って貰えたのに……まさかアレ?)
そんなっ!? プリンがそんなに罪深い代物だったなんて……っ!!
考えようによっては、王子様はアデル様の保護者ですよね。
だとすると……可能性としてはありえるのかも。
(そ、そうか、アデル様は絶滅危惧種だ。この国の最重要の存在でもある。
きっと口にするものも、細心の注意を払って接しなければいけなかったんだ!?)
――つまりあれだ。「毒味なしで食べさせた」事が問題なんだ。
やらかした。完全に詰んだと思った瞬間でした。
何時もは前向きな私も、この時ばかりは後ろ向きです。
はい、逃げてもいいのなら、逃げ足「だけ」には自信がありますので、
ぜひ行かせて頂きたい。
(でも、此処で逃げたりしたら、きっとお屋敷の皆に、アデル様にも迷惑を掛けるよね)
気分は売られていく子ヤギ……いや子牛?
心の中でと黄昏ながら歩を進めます。
「クウン?」
「みい、みいみい~」
私の心境とは他所に、肩にはだらんとぶら下がっているミニマムなリファと、
腕に先ほど保護をした、人懐こい黒い子猫さんを抱いています。
どうやら、お屋敷に来た子は、王子様のお使いで私の元へやって来たようで。
(まさか、王子様の飼っている猫さんだったとは……)
この世界の伝達手段には、様々な方法があり……。
例えば私が以前、冒険をしていた時に見かけた鳥の形状をしたあの魔法具、
メサージスバードは、遠方での連絡手段として主に使われています。
一方で街の中などの連絡手段だと、こうして使いの動物を寄越してくる事が多いらしい。
ええ、アデル様のお屋敷にも、うさぎやら犬やらが使いでやって来るので、
私は毎回主人の為にやって来るその子達に、労をねぎらい、お使いのご褒美にと、
お水とお菓子をご馳走していたりして、ちょっとした和むひと時を味わえたり。
(アデル様は、残念ながら龍の気の影響でその子達に怖がられる為、
普段は屋敷にいるおじ様達が受け取っていますが)
皆、良い子でしてね。嬉しそうに食べている間、頭を撫でさせてくれるんですよ。
(でもまさか、私の所にお使いが来る事態になるとは思いませんでしたよ)
その初めてのお手紙が、王子様からの「お前、ちょっと来いやオラ」とか、
なんて運がない……これが初めてのファンからの手紙だったらどれだけ良いのになと、
そう思ってしまっても、罰は当たらないんじゃないかなと思う私。
「クウン? キュウキュウ」
「みい、みいみい」
さっきからリファと猫さんが、楽しげに会話をしているように思えるんですが、
やっぱり私にはその会話なんて分かる訳もないですね。
仲良き事はとてもよろしいんですけど。
ああ、何時もなら盛大に可愛いね~と、喜んでいる所ですが、
今ばかりは、とてもとても気が回りません。緊張しすぎて思考がおかしな方向へ行ってるし、
ふわふわなお腹に顔を埋める事すら出来ません。
(こんなにも、私好みのピンク色の肉球が目の前にあるのに、
それも触る気になれないです。さっきから胃がキリキリ痛むだけですよ)
これは由々しき事態です!! 天変地異の前触れかと思いました。
あ、もしかして、これがその「天変地異」なんでしょうか……?
初めて入る城の中はとても広くて、人もまばらに存在するのに恐縮しすぎて目も合わせられない。
何度も何度も廊下を曲がったり進んだりして、現在自分がどこに居るのかも分からなくなった。
かなり……城の中でも奥の方になるんじゃないの? これって。
(私、一応は一介のお屋敷のメイドなのに……しかも影の薄いヒロインだよ?
しかも新人が呼ばれるって一体どんなご用件だろう……?
考えただけでも気が遠くなりそうです。やっぱり何か怒られるのかしら?
一体、一体何をやらかしたんだ私、思い出せ、思い出すのよ!)
もしかして、もしかしてですが……私の正体がバレたとか?
身元不明の女が居るだけでも、この国に何かまずい事でもあるのかも。
言ってみれば本当の私は「戸籍なし、住民票なし、出生記録すらなし」の異邦人。
不法滞在がなんとか言われたら、何も言えませんよ。
(外見は「ユリア」だから安心して居たけれど、見抜いた人がいる……とか?)
しかも、ちゃっかりと住み込みで働いております。罪状で考えられるのは不法就労だ。
異国に不法滞在して仕事なんて許されないから、国外追放とか普通はされるでしょうし……。
そうなるとそれを雇い入れた雇い主にも、当然迷惑が掛かると思われます。
(でも、この国を追い出されても……私、行く宛てもないのに)
一人ではない事は心強いですが、私は腕の中の猫さんをぎゅっと抱きしめました。
さっきから震えが先程から止まらないですよ。どうしよう。
「みい?」
「はあ……」
ああ、こんな状況で無かったら――……。
(皆さん、今、私はあのライオルディ王子様のお呼びで、潜入取材をしています!)
なんて……ちょっと突撃レポート風に言ってたりするだろうに。
いえ、思っていても命が惜しいので今は変な真似はしませんよ、しませんからね?
実際に、身分がある訳でもないのに王族が暮らしているお城にお邪魔して、
尚且つ、王子様に謁見が出来るなんて、滅多にできない経験です。
これも演技の経験になるかなと、心の隅では思うものですが、
状況次第では、バッドエンドの気がするんですよね。
(んん、それにしても……案内して下さるお城お抱えのメイドさんは、
流石にプロですね。所作がとても優雅です。靴音一つ立てぬ動作、
隙も見せぬ応対、物怖じせぬ気風、まさに完璧です。
メイドの中では最高位に立つんですよね。女官の方達って)
お城の上級メイド……つまり女官になるには相応の身分も必要。
本来は行儀見習いの為に貴族の令嬢がなるものだから、所作も優雅だ。
彼女達の実家ならば、使用人に指図する側の人間である。
幼い頃からのマナーレッスンとかを徹底して受けて来たのだろう。
そして……容姿の良い人が多いと言うのも女官の特徴だ。
これは王や王子のお手が付いて、側室もしくは王妃になる可能性もある為、
此処へ送り込まれる女性達は、皆そろってハイレベルなんだよね。
それはどんな物語でもある話だ。貴族の色々な思惑が絡んでここに居るという事を。
私がもしユリアとして色々頑張って経験を積めば、
アデル様に紹介状を書いて頂いて、こういう所で働けるのかもしれないが、
王宮内はどろどろが付き物だ。策略、陰謀……どちらもお断りですとも。
(平和な環境と、人間関係が一番ですよね。
そう言うのは、役を取り合う演技の中だけで十分ですよ)
そんな訳で、じーっと、お城お抱えのメイドさんの姿を脳内にインプットし、
私の中での演技の引き出しに、そっとしまっておく事にいたしました。
もしも屋敷に無事に帰る事が出来たら、あの所作を真似してみますかね。
(私が本物のユリアじゃないって、バレない為にも!)
そして女官さんの華麗なる姿と共に、さり気なく城の内装もチェック。
今までは石造りの外観だけを見ていましたが、中を見て更に驚きましたよ。
内観はどこもかしこも隙の無い、凝った装飾の数々、
圧倒される数の壁画と彫刻などが存在感を主張している。
アデルのお屋敷にも、多少そういう傾向は見られていたが、
此処はそれ以上の作りで圧倒される。
少なくとも、あの屋敷で天井にまで壁画があるのは、ダンスホール位なものだ。
(この廊下にさりげなく飾られたツボ一個で、どの位するでしょうか?
わ、割らないように気をつけよう……弁償できないし)
先程よりも一層身を小さくして歩く。
どくどくと緊張するのは、オーディション以来ですよ。
緊張を和らげる方法は沢山あるけれど、今、それは出来ない。
残念です……む、無念。
※ ※ ※ ※
「失礼致します。本日はお招き頂きましてありがとうございました。
アデルバード様のお屋敷でメイドをしております。ユリアと申します」
マナーの基本として習ったのは、
相手が挨拶をする前に、まず此方がする事だ。
入室、退室の際には、きちんと相手に伝わり易いように声を出す事などがあった。
そして、相手が複数居る場合は、全員の目線と必ず合わせる事、
声量、滑舌に気をつけて深くお辞儀。目元にも注意する。
……がレッスンで習った事であるが、今回の場合はどうなのだろう?
(王族が相手の場合は、目上の人に声を掛けられるまで、
下の者は顔を見てはいけないとか、よく言うよね?
こちらから声を掛けるのは、大変失礼な行為にあたる事があると言うし……)
どちらがいいか悩みに悩んで、結局、何時もどおりにした。
業界での挨拶の定番、「おはようございます」「宜しくお願いします」を抜いて、
簡潔に纏める事にしてみた。挨拶は人格、性格がばれやすい為、
特に気をつけなければいけない項目だとか聞いたからね。
「そう堅くならなくて良い、どうか顔を上げてくれないかい?
わざわざ、こんな所にまで急に呼び出して済まなかったね。
私はこの国の王太子、ライオルディ・ローザンレイツだ。
気軽に“ルディ”と呼んでくれたら嬉しい」
案内された中庭の庭園では、大きな白いテーブルにお茶会の用意がされていて、
其処にある椅子に座っていた青年が、この国の王子ライオルディだった。
彼こそがアデル様を保護してこの国に住まわせた人物。
そして現在は、アデル様の友となれた人間。
(この人が……ライオルディ王子様)
ライオルディ王子様の存在は、アデルバードルートで出てきたので多少知っているが、
声優さんについては余り詳しくないので、製品が出来た時に少し調べた事がある。
相手と親しくなる時、また監督さんや先輩と仲良くなる場合、
事前知識として知っておくべきは、個人の関わった作品なので、
仕事として今後話す機会があるかどうかは別として、事前に知っておくといいそうだ。
はい、これ、先輩からの伝授でございますよ。
普通は先輩でも、こういう事を親切に教えてくれる方の方が稀なので、
とてもありがたく思っております。後輩と言えども本来はライバルですものね。
さてさて、ライオルディ王子様の声優をされた方なんですが……。
こちら、「王子様と言えばこの人に任せれば間違いなし」というイメージが定着している方で、
若手ながら、子役時代から実績を積まれた大手事務所のベテラン声優、
「流山智広」さんという方が演じております。
私の事務所の大先輩である、青柳先輩と同じく人気を誇る方で、
先輩はよくこの方と作品の共演をする機会も多いらしく、ビジュアルでも勝負できるルックスの良さ、
イベントでも華麗な歌唱力とダンスを披露しているそう。
少々気だるさのある語りで、まるで耳元で囁きかけるようなその喋りに、
一体どれほどの女性が酔いしれたかという……。
要するに「大人の落ち着いた色気のある美声」に定評のある声優さん……だそうです。
以上、調べて分かった事前知識でした。
(やっぱりこの人の声は流山さんの声だ……ひいい、別の意味でも緊張する。
大先輩が目の前に居るかのような、そんな影響力を感じる声ですっ!)
「ふふ、震えているとは愛らしいな。まるで子猫のようだ。
別に取って食べたりはしないから、そう怯えないでくれないか?」
「はっ、はいい……」
そうは言われましても緊張しますよ。声は先輩の流山さんとは思っていても、
自分は面識ありませんし、会ったとしてもペーペーな新人ですからね私。
アデル様の様に、慣れ親しんだ青柳先輩の声とかだったら、まだ大丈夫なのですが。
青柳先輩の場合は……兄の幼馴染でもありましたからね。
小さい頃から関わってきた分親しみがあり、もう一人の私の兄のような方でしたから、
だから他の先輩方と違い、余り抵抗が無いんです。
でも流山さんの声はもう……なんと言いますか、
普通に話しかけて貰うだけでも、威厳があるというか、
高貴な大人の男性の落ち着いた雰囲気が伝わってきます。中身違うけどね。
そして目の前のキラキラな姿なんかもう……。
金糸を思わせる金髪を後ろに流した長髪に、きりっと整った空のような澄み切った青い瞳といい。
まさに王子様、リアル王子様ですよ。
男性の長髪姿はリアルだとちょっとねー……なんて思っておりましたが、
本人は中性的な整った顔立ちで、全然違和感がありませんでした。
むしろ彫刻のモデルにされたとしても、可笑しくない程の美しさではないですか。
許される事ならば、ここにアデル様を隣に並ばせて拝みたい位ですよ。
ええ、これ程にイケメンのお兄さんと遭遇する機会もありませんからね。
目の保養とさせて頂きたいなあ……で、遠くから生温かく見守っておきます。
決して、決して深く関わり合いたいなんて思ってはおりません。
はい、思ってなんかおりませんですよー? だからもう会ったし帰っても宜しくて?
駄目ですよね? そうですよね……がっくり。
(実はこの王子様……実は見かけによらず曲者なんですよね。
ゲームの攻略対象の中で一番、攻略条件が煩いという。
ハイレベルなステータスと容姿が必要なんですよ)
金の髪に青い瞳、そして流れるような物腰。
美形で声も素敵で……実は発売前の事前調査では王子様が人気一位だったそうです。
普通なら彼がメインヒーローになるべきなのに、なぜかサブヒーロー枠なんですよね。
でも、その個人の設定が、かなり無茶振りが過ぎたというのが後に判明。
しかも、イベント発生条件もかなり厳しく、最終イベントはなんと一日限りのチャンス。
それを見逃すとクリアーが出来なくなるという、
再起不能のトラップまで仕掛けられているんだとか。
執念に燃えて攻略する方もいらっしゃるそうですが、大抵は見切りを付ける。
その為か、声優さんの人気で保たれているという、残念キャラになっておりました。
(……この作品を作ったスタッフの皆さんは、
金髪のイケメンさんに何か恨みでもあるのでしょうか?)
なんて、人事のように考える私が居ます。
「実は君と話をしてみたくてね。あの堅物で人嫌いの多いアデルバードが、
珍しく自分から年若い娘を積極的に保護したと言うから、
何か困った事がないかと思ったんだ」
会った瞬間に頭を下げて、お辞儀をしていた私を制し、
彼に席を勧められて、同席はと戸惑いながらも断ると再度進められたので、
大人しく目の前の椅子に座ると、給仕として控えていた女官さんが、
私の目の為にやってきてお茶を注いで置いてくれた。
……立場的に言えば、お城の女官さんの方が、
私よりも遥かに格が上なのに、あろう事か給仕をさせてしまったではないですか!
いつもらしからぬ失態に、慌てておろおろと、
「申し訳ございません。お屋敷のメイドがこんなおもてなしをされるなんて」
と、すぐさま謝った。むしろ、給仕はやれと言われなくても、
私から自発的にやった方が良かったのではないか。
(ああっ、新人としてあるまじき行為をしてしまいました。
新人はベテランの方のお手を煩わせないように、
常に先に動いて、相手に気を配るのが当たり前だったのに。
何時も養成所の先生に言われていたのに……っ)
緊張していたとはいえ、大切な事を忘れていた失態です。
ぺこぺこと女官さんに謝ると、王子様も女官さんもそんな私を見て、
急にクスクスと笑い出したではないか。
「いや、君は私が招いた大事な客人だから、そんな事を気にしなくても良いんだよ。
これはごくプライベートな事だから、どうか気を楽にしてくれるかい?
しかし、なるほど、アデルバードがなかなか手放したがらないと聞いていたが、
少し分かった気がするよ……確かに変わった娘さんのようだ」
「え?」
「普通なら、招かれた客人だからとさも当然と言う態度をして、
女官に目も向けない娘が殆どだからね。気を配るなんて皆無だ。
君は記憶が無い上で働いているというから、先入観が無いだけなのかもしれないが」
「ええと……何処まで私の事をお調べに?」
「ああ、失礼、話がそれたね。さ、気にせずお茶が冷めないうちにどうぞ口にしてくれ。
女性の好みそうな茶菓子も用意して貰ったんだ。君の口に合うといいんだが……」
……くっ、はぐらかされた! けど深く追及はそれ以上出来そうにないな。
(意図はなんなのだろう……?)
お茶菓子のセッティングは、英国のアフタヌーンティーと同じ形式のようだ。
三段になったケーキスタンドには、スコーンやタルト、
プチケーキや季節の果物が並んでいる。
(美味しそう……お屋敷では見ないものばかりだ。
見た目は同じように見えるけれど、私の世界のものと似たような味かな?
こんなデザートをアデル様に普通に提供できるようになったら、
きっとアデル様も喜ぶんじゃないかな、アデル様、甘い物が大好きだものね)
そう思った所で、腕の中の黒猫と肩に居たリファが、もぞもぞと動いて反応した。
「みい、みい~」
「クウン~」
「……」
目を輝かせている二匹に、自分だけ頂くのも申し訳なくて……。
この子達にも少し分けてあげても良いか、一応聞いてみようかと顔を上げると、
私の意図を汲み取って下さったのか、
ライオルディ……ルディ王子様はニッコリと微笑んだ。
「ああ、そうそう、使いのティアルまで一緒に連れて来てくれて感謝する。
この子はまだ小さいし、無事に辿り着けるのか、心配もしていたんだよ。
今回、初めてお使いを頼んでみたんだが……お帰りティアル。ご苦労だったね。
リファの方は久しぶりだね。良かったらティアルとリファも何か食べるかい?」
「クウン!」
「みいみい!」
「じゃあおいで? 君達の分も取り分けてあげよう」
二匹そろって「はい! 食べる!」と言っている気がした。
リファは急に大きくなって、ルディ王子様にすりすりと甘えているし、
ティアルと呼ばれていた黒猫さんも、今は私の腕の中から降りて、
ルディ王子様の膝に飛び上って愛嬌を振りまいている。
(――分かりやすいな……君たちよ……)
傍の愛でる対象が居なくなって、私の方は思わず手をワキワキと動かしていました。
「ふふ……リファも漸く懐いてくれたか、長かったな」
「え?」
「出会った頃、私はリファに敵認定を受けていてね。よく傷だらけになったものだ。
この国で白い獣は、神の使いとも言われている神聖な生き物だから、
王族の私としては、リファとずっと前から仲良くなりたかったのだが……」
「リファが……?」
「まあ、そう考えると、アデルバードも似たようなものだったが。
実は信頼されるまでに何度も根気よく接してきたんだよ。彼にもリファにも。
会う度に返り討ちにされていたからな、なあ、リファ?」
ライオルディは嬉しそうにリファの頭を優しく撫でながら、そう私に話していた。
直ぐに仲良しになった私やローディナ達とは違い、
この人は、努力でアデル様やリファと理解しあい、仲良くなった人物らしい。
ヒーローなら誰でも仲良くなれると言う訳でもないのは、
紅炎龍であるラミスさんを見て、なんとなく確認済みだけれど、
まさか、其処までして交流を頑張っているとは、王子様の根性恐れ入りました。
野生の生き物にまで社交能力を発揮しているとは。
(確かにリファは頭が良いから、有害だと思う者は遠ざける傾向がある)
王子様ならば、人の頂点に近い存在になるだろうし、
それを考えるとリファは警戒したのかもしれない。
だからルディ王子様は、自分を知って貰うだけの努力をしたのだろう。
嬉しそうにリファの頭を撫でる彼は、まさにこの国の王子様の気質である。
違う種族とも分かり合おうとするその姿勢は、尊敬に値すると思った。
「クウン! キュウキュウ!」
「みい、みいみ~」
「ああ、いいから食べなさい」
リファとティアルが、テーブルに用意された焼き菓子をお皿に盛ってもらうと、
二匹は嬉しそうにそれを食べ始めた。その様子を見守る私達。
動物が食べている姿を見るのは大好きだ。王子様もそうらしい。
(この様子なら、怖い話ではなさそう……)
私は肩の力を抜く。
「さあ、君も遠慮しないでどうぞ?」
「は、はい。では頂き……ます」
出されたお茶は、薔薇の模様の入ったカップが使われており、
一口飲むと、ふんわりと花の香りが鼻腔をくすぐる。
お茶の中では小さな赤い花がゆらゆらと揺れていたが、
私が口を付けた途端に弾けて消えた……。
どうやら花は砂糖だったようだ。それも糖蜜でもなく精製されて加工されたもの。
なんて精巧で良くできた花なんだろう……本物の花にしか見えなかったのに。
「わ……おいしい……っ!」
こっ、これが本物の給仕の違いでしょうか。
是非とも美味しいお茶の入れ方のコツを教えて貰いたい。
メイド道を極める私としては、知りたい事が多いなあ。
でも知りたい事は自分で調べるのが役者としての基本ですので。
此処は見て覚えるだけで良しとしましょう。
知識や技術っていうのは年月と経験を重ねて習得するから、
安易に「教えて」なんていう厚かましさは持ってはいけない。
それらは彼女達が得た財産になるのだから。
「それは良かった。何か屋敷で不自由な事は無いだろうか?
アデルバードは、まだ若い娘に不慣れな点があるから、
何か困った事があれば私の方に遠慮なく言って欲しい……つ、辛かっただろう……?」
「……はい?」
なぜだろう……話しながら段々と王子様の声のトーンが落ちているなと思ったら、
王子様は私を見て、哀れんだ目で見つめているんですが……。
そして涙ぐんだ目をそっとハンカチで拭いてますよ?
な、なんだか、いたたまれなくなるのですが?
「聞けば、アデルバードが気を失っている君に一目惚れをして、
君の意志を聞く前に、自分の屋敷に無理やり連れ去ったとか。
孤独な彼に大事な女性が出来たのはとても喜ばしいが、やはり無理やりはな……。
もしも君が軟禁されて出て来られないのであれば、私が持つ専属の騎士達を連れて、
アデルバードの屋敷に助けに行こうと思っていたんだ」
王子様いわく、アデル様はこの国に住み着いてくれたは良いが、
他の者と余り馴れ合わない性格の為、何時も彼は気に掛けていたそうだ。
漸く気に入った娘が出来たかと思えば、
他所で無理やり攫って来たとか不穏な話を聞くし、
流石にこの国の王子としてそれを許す訳にはいかん! という理由で、
今日、事情を聞く為にこんな事態になった……というのが王子様のお話でした。
それで私が、アデル様の束縛から解放されるのを望んでいるのならば、
密かに保護して、お城に匿ってくれようとしていたとか何とか……。
(いや、相手は龍だし、それは流石に無理があると思いますよ?)
嗅覚で、私の居場所はまずバレるかと。熊と一緒です。
「せっかく彼とは友人になれたのだが、やはり種族の常識が違うのかもしれない。
悩みに悩んだが、私は友人との仲を違えてでも人道を守ると考えた。
君が望むなら、私のハーレムの一人に加えてあげてもいいと思っている!
だからどうか安心してくれるかい?」
「は、はいいい?」
貴方もですかあ!! 王子様~っ!!
――誰かー! ハリセン、ハリセンが緊急に必要です!!
(アデル様―っ! 貴方のご友人が暴走しておりますよー?
貴方、一体どういう交友関係を結んでいるとですか~っ?!)
今、私はアデル様に交友関係は選んで下さいと切実に訴えたい所です。
いや、教育すべきはアデル様本人かもしれないけれども。
これはきっと何か誤解を受けるような言動をしたに違いない!!
何時、何処で私が攫われて、閉じ込められて、監禁されていると思われたのか、
私か? 私が引き篭もりまくってメイドライフOH YEAH!!
……をしていたからなのか!?
(たかがメイド一人が、アデル様の屋敷で普通に仕事していただけなのになぜに!?
メイドとは、休みが一日も無く朝早くから夜遅くまで、
身を粉にして働かされるのが当たり前なんですよね!?)
それが三食昼寝つき(ついでにおやつ付き)で、入浴も自由。
事前に申請して許可さえ取れれば、お休みして自由行動もOKなんですよ。
労働条件と屋敷の中が快適すぎて、満喫しすぎたツケが回って来たのでしょうか?
ただ外に出て、トラブルに巻き込まれたら面倒くさいと思っていただけだったのに。
「元はと言えば、彼をこの国に招いたのは私だからね。
身寄りが分からない君を、私は責任持って面倒を見るとここに誓おう。
幸い、私にはまだ側室が一人も居ないから皆には歓迎されると思う。
喜んで欲しい。君はなんと私のハーレム第一号だ!!」
「いえ、あのですね? 謹んでお断りしたく……」
「アデルバードは耳も鼻も良いが、城の中は、匂いが混ざって誤魔化せると思うんだ。
君が護衛の出来る女官達と一緒に居れば、無事は保障できると思うし……。
彼の罪は私の罪だ。私は君の傷ついた心を癒すべく……」
――人の話を聞いて~っ!!
私は開いた口を縦にぽかんと開けている間に、王子様はドリーマーな話を展開、
それはまさに、友情よりも薄幸の姫を救出する方を選ぶ王子様、
……と言う状況に酔いしれている。
(いやいやいや違うから、あの人はただの心配性ってだけだから!
ガヤのおじ様達に廊下で正座させられて、お説教受けたりするご主人様だから!!)
決して無理強いなんて無いんですよ。本当ですよー?
下手すると悪い人に騙されないかと、私の方がヒヤヒヤする位で……。
そんな事を思っていた矢先、此処にはいない筈の人の声が、突然私の背後から聞こえてきた。
「――駄目だ。ユリアはお前になんぞにやらん。
俺に無断で彼女を呼び出すとは、一体何事だライオルディ」
「あっ、アデル様!?」
流石はデビル……いえ、ドラゴンイヤーを持つお方です。
騎士団は城に隣接しているとはいえ、私の居場所を捜すのは大変だった筈だ。
それを短時間で見つけたという事は、私、もしくはリファの気配か何かを感じ取って、
此処を特定して来たようですね。
(流石だ。ヒーローなだけはある。凄い能力です。)
「……」
えーと……あの、でもね。ちょっと言って宜しいでしょうか?
それ、下手したらストーカーですだからね? お兄さん。
あ、龍にはそういうこと分からないか、そうですよねえ~。
人間社会の経験が4、5歳位だものね。このお方。
5歳か……見た目が小さかったら、なでなでするんだけどな……。
「噂をすれば……か……出来れば穏便に済ませたかったんだけどね。
アデルバード、自分が何をしているか分かっているのかい?
ここは平和的に、お嬢さんを解放してやってはくれないか?」
「幾ら恩人であり友となったお前でも、それは出来ない。
ユリアは俺の女だ。勝手な事は誰であろうと許さん……返して貰うぞ」
――なんか今……聞き捨てならない事を言った気がした。
「あ、あ、アデル様……っ!?」
アデル様の言葉に、一瞬にして私の頬が熱くなる。
其処は「俺の女」ではなく、「俺のメイド」と言うべきですご主人様!!
まるで、恋人を取り戻しに来たかのような言葉に、動揺してしまいましたよ!
(……後で誤解を受けるような言い方は、絶対にしないようにと注意するべきですね)
流石の私でも一瞬だけドキッとしました。
あ、あれ? おかしいなあ、聞きなれた先輩の声なのに……。
何だか顔がとても熱いよ私。
「さあ、帰るぞユリア、来るんだ」
「へ……? ふわっ?!」
つかつかとこちらへ歩いてきたアデル様は、
私が持っていたカップを取り上げて、テーブルにさっと置くと、
軽々と私を麻袋のように肩に担ぎ上げてしまいました。お
……って、おおーいっ! 私は荷物ですか!?
アデル様は私を担いだまま、くるりと方向転換、
そのまま遠ざかるお菓子……いえ王子様達。
「ああ、おか、お菓子が……」
高そうなお菓子食べたかったと、私が手を伸ばす暇も無く……。
――後、もう少しで私の物になるはずだったものが遠ざかっていく……せつない。
リファは慌てて食べるのを止めて、去って行こうとする私達を追いかけてきて、
私はアデル様が背を向けた事で、ちょうど王子様達と目が合いました。
そうだ。これだけはきちんと伝えておかないといけません。
食い意地を張っている場合ではありませんでしたよ。
「あっ、あの、折角ですけど、側室のお話はお断りさせて頂きます!
私は自分の意思で、メイドとしてお屋敷で働かせて頂いているだけなので、
噂なんぞを信じないで下さいませね。王子様~!!」
必死に、本当にそれだけは伝えておきました。
いえね。この言葉が足らないご主人様だけの説明だと、
勘違いされてしまうと判断したのです。
上に立つ人程、そんな出所も分からない噂に振り回されてはいけません。
そう言う意味合いも込めて、私の意思をお話させて頂きました。
私、拉致られた覚えがあるのは「今」だけです。おーかーしーっ!
(でもまさか……王子様の耳にまで、妙な噂が入っているとは思いませんでした)
涙ぐみながら、「辛かったね。私が居るから大丈夫だよ?」なんて言われたので、
思わず、この国大丈夫か? と思ったのは心に秘めておきますよ。
良い子のみんな~?
お願いだから、まず本人から話を聞く事を真っ先に考えてねー?
「リファ、お前が付いていながら、なぜライオルディの好きにさせた!?」
「クウン……キュウウウ……」
庭園を離れ、廊下を歩きながらアデル様は私を担いだまま歩きます。
その隣では、耳をへちょんとしたリファが並んで、必死に言い訳をしているようだった。
そんな中、怒られてしょんぼりしているリファも、
なんだか可愛いなあ……と悦に入る私が居ますよ。
クリームが付いたお口がとても可愛らしいですが、後で拭いてあげなくてはね。
「……っ、そうか、確かにライオルディの出す菓子は美味いからな。
俺も初めて口にした時は、人間の食べ物はこんなに美味しいものがあるのかと、
感動すら覚えたものだ……あの魅力には抗いがたい」
「……え?」
今、アデル様が王子様と仲良くなれた訳が分かった気がする。
――って、餌付けされてどうするんですか、メインヒーロー!
流石は獣同士ということなのか? 相性ばっちりですね。
そう言えば良く吠える犬でも、毎日、餌をあげると懐くって言うよね。
アデル様もそうだったらしい……。
私の中でヒーローのクールなイメージが、ガラガラと崩れて行きました。
(衝撃の事実。メインヒーローは甘党だった!!)
……でもそうだよね。こういう感じが生きている者らしい所だよね。
むしろ石鹸の香りがする好青年とか、完璧すぎる存在だったら、
こうも私も懐かなかったと思う。不審がってまず避けたわ。
私はお城の外に出てから下ろして貰い、その代わりアデル様に手を繋がれて、
お屋敷に無事に連れて帰って貰いました。
「ユリア、今度からお城には呼ばれても、絶対に行くな」
「は、はい……」
いえ、私も別に行きたい訳じゃなかったんだけれども!
心配してくれたおじサマーズ、おじいちゃマーズも、
涙目で私の帰りをお屋敷の中で待っていてくれて、私は皆様に心配させた事を謝ると、
なんとか私は、無事にいつもの日常を取り戻す事が出来たのでした。
でもそれから……私の知らない所で、私が騎士団長アデルバードの女だと、
城に居る人達に思われたのを、後から知りました……。
(そう言えば……すれ違いざまにアデル様に抱きかかえられたのを数人に見られていたし、
あの問題発言も、きっと聞いていた人が他にも居ますよね。護衛の方とか。
白昼堂々、あんな事していれば流石に噂になるのは当然かと)
どうしよう、完全に誤解されているじゃないか。
アデル様には、教育的指導が必要だと感じた。今日この頃です。
※ ※ ※ ※
「――みい~みいみい」
「……あ、こないだの。えーとティアルだったよね?
また来てくれたの? おっと……」
「みい」
「ん? このお花、私にくれるのかな?」
数日後、ティアルは再び屋敷を訪れた。
それも、きちんとお屋敷の玄関のベルをちりりんと鳴らしてだ。なんてお利口なんでしょう。
で、先日は道に迷って、鳥に道を聞いたら襲われてしまったらしい。
なぜ分かったというと、ティアル……なんと人語を少し話せたんだ。
で、そのティアルだけれど、私に助けて貰った恩を返したいからと、
何度もご主人様であるルディ王子様にお願いして、
こうしてやって来た……との事だった。
翼でぱたぱたと宙を飛び……前足でピンク色のガーベラに似た花を一輪持って。
はいっと花をプレゼントされて、こう言ってきたのだ。
「みい、オンガエシ、ユリア、ゴシュジンサマ、ダメ?」
急に言葉を話して驚きましたよ。 いえ、飛ぶのも凄いなとは思っていたんですが、
まさか話せるとは……この世界の猫は知能が高いようですね。
私が驚きに固まっていると、前足を合わせてお願い、お願いして来るのです。
「ご主人様って……私がティアルの?」
「みい、ティアル、オンガエシ……シタイノ」
なんと言う一途さでしょうか、私は感動で涙目になりました。
私は魅惑のおねだりポーズで頼んでくるものだから、あっさりと陥落され、
アデル様にお願いして、このお屋敷に置いて貰えるようにしました。
大丈夫、リファとも仲良くなれるのなら、アデル様ともきっと大丈夫でしょう。
「えっと……ご主人様は大げさだから、お友達になって下さいな?
私、敬われる人間では決して無いと思いますので、
だから契約とかはなしですよ。ティアル。
貴方のご主人様は、ルディ王子様なのですから」
「みい? ワカッタ、アリガトウ、ユリア」
そんな訳で小さな黒猫さんとお友達になりました。
小さいこの子には、私の言っている事の半分も分かっていないと思いますが、
お友達になるという事は分かってくれたようです。
恩返しなんていりません。その素敵な肉球と毛並みを触らせてくれたら、
もうそれだけで十分私は幸せですとも! ええ、十分すぎる程の幸せです!!
(ところで……えーと……龍に、狼に、翼の生えた子猫……かあ)
うん、着実にビーストマスターへの道が開けている気がする。
誰が……とは、もうあえて口には出しませんけども。
(でも……この子も私の知る物語では出て来なかったはずなんだけど)
その後、アデル様にティアルの事を聞いてみたら、
ティアルは正確には猫じゃなくてケットシーの子供なんだって。
森で母親とはぐれてしまったのを、ルディ王子が見つけて保護したそうだ。
おおい! そう言う事は早く言って下さいよー! 猫の妖精さんじゃないですかー!
猫の飼い方を調べようと思ったのに、妖精さんの飼い方なんて分からないよ!!
……そんな訳で、アデル様とティアル経由でルディ王子様との人脈が出来ました。
育て方を聞かないと無理ですからね。流石に。




