番外編 楓の1日
「ああ~・・・どこにいんだよ。あの馬鹿は・・・」
俺は沙良を探していた。今はまだ、異世界召喚されてから、次の日の朝の9時。
スタスタと無駄に広い(どうしてこんなに馬鹿でかいんだ?あー・・・ムカツク。)城の廊下を歩く。
と、曲がり角を曲がろうとしたとき―――
「あ。沙良じゃん。」
ラッキー!
沙良は全身の血の気が引いたような、青い顔をしていた。
「かっ・・・楓・・・!!」
後ずさりしながら、俺を睨む沙良。
・・・けんかを売ってんのか、逃げたいのかどっちかにしろよ。後ずさりされても俺から逃げ切れないだろうけど。
でも、あえてけんかを買っといた。俺が沙良を虐めたいから。
「あぁ、あの事覚えてる?」
わざと怒りオーラもつけておく。
と、ほら。うわー、面白い顔!どうしようか迷ってるよ。逃げたそうだなー。
「なっ何のこと??」
「えー?覚えてない?じゃぁ、俺がみっちり思い出させて「結構です!!!」・・・ちっ」
俺が舌打ちをした直後、沙良はもう逃げ出していた。
つまんねーの。もっと、慌てふためく沙良が見たかったのに・・・。
なので、疲れるまで追いかけてやろうとしたとき・・・
「あ!勇者様。探しましたわ!」
クレナに捕まった。人前では俺はうらの俺を出せない。
出さないのではなくて、出せないのだ。なんせ・・・二重人格だから。
「どうしたの?クレナ。」
「ええ、勇者様。それが、お母様が勇者を倒しに行くメンバーを発表するので来てくれと。」
また、この子に探すのをまかせるのか。だったらあの王妃が呼びに来れば良いのに。
俺はそう思いながら、クレナについていった。
***
「来てくれましたか。」
王妃が俺の前へ来る。
「これからあなたと共に魔王を倒しに行くメンバーを言います。」
めんどくさっ!べつにいらねーよ。(このころの沙良……魔道書と出会う。)
「では、まず、魔法使い兼光の巫女、アリー。」
俺がそんなことを思っているとも知らずに王妃はメンバーを発表する。言われたアリーはハイと返事をした。
「つぎに、騎士のグレン、カナン。」
「はい。宜しくお願いいたします。グレンです。」
「カナンです。宜しくお願いいたします。」
次に呼ばれたのは、グレンと言うやつと、カナンと言うやつだった。
グレンと言うやつは男で、体は細く、こんな奴が剣を持てるのかと思うほどだ。
カナンと言う奴は、女だが男っぽく、気が強そうな奴だった。
「そして、最後に魔剣士兼このナイトレイ王国の第二皇女クレナ。」
「はい。よろしくお願いいたします。」
こいつ、魔剣士だったのか・・・。
見た目では全然分からない。
だが、この王妃が無理やりやらせようとしたんだろう。(勘)
「これで以上です。では、これからあなたにはまず、魔法を覚えていただきます。
魔道書を選ぶので、書庫へ来てください。」
「はい。」
俺は王妃についていった。
***
「広い・・・。」
俺は書庫の大きさに驚く。(この頃の沙良……魔道書を開く)
「この中で気になる本があったら手にとって見てください。光の魔道書はあちらの欄です。」
「あちらの欄・・・」
俺は指を指された先を見る。
と。
「いやいやいや。」
あの中で選べとか。超無謀に近いだろ。
「選んで本の中の守り主と契約した後、全ての本は普通に読めるようになります。2回も契約は出来ないので。まぁ、あまり貴重ではない魔道書には守り主など、そもそも居ないですが。
貴重ではない魔道書はあちらにあります。」
王妃はそういい残したあと、仕事があるからとメンバーを残して書庫を出て行った。
「楓様。魔道書の守り主と契約をしたら、その魔道書の内容は全て読めるようになります。
そして、守り主と契約した契約者は守り主より高い存在となるので、どんな魔道書でも、契約をせずに読むことが出来ます。」
アリーがこう説明する。ふと、俺に疑問が浮かんだ。え?何?頭良いからお前それくらい分かるだろって?無茶言うんじゃねーよ。いくら俺でも異世界のことはわかんねぇよ・・・。
「命の危険はあるのか?」
「いえ。通常のですと、命の危険性はありません。ただ・・・」
「ただ?」
「異常のですと・・・命の危険性があります。」
・・・おい。異常のあったら俺、あぶねーじゃん。
そんな俺の考えていることが分かったのか、クレナは慌ててこう言った。
「あ、大丈夫です!『異常』のは、危険物置庫においてあるので。」
「そうか。よかった。」
とりあえず、俺の身の危険は回避した。
「では、選び始めましょう。しっかりとした守り主と契約すると、いいアドバイスなどが貰えます。」
「そんなことを言われても・・・。」
困るんですけど。俺、選び方とか全然わかんねぇよ・・・。
「しゃーないか・・・。」
俺は本を選び始めた。
***
「『炎よ。われの思う物を燃やし尽くせ。』」
俺がそう唱えると、俺の前にあった木が燃やされる。
「わぁ!すごいですね!たった7時間で魔法を全て習得してしまうなんて・・・!」
アリーが頬を紅く染めながら言う。(7時間のうち5時間は本読み)
たった・・・なのか?
「では、次は剣の修行です!」
「え?」
ちょ、まじ?もう勘弁しろぉぉぉぉぉ!!!!!!!!
こうして、俺の一日は。
大変としか言いようが無かった。
ついでに。
俺、剣、超得意かも。
楓君の一日です。
完璧な楓君も勘弁した一日って・・・。
僕だったら、本読みのとき集中力が切れて、
たぶん寝ていると思います・・・。←おい。
そして、そろそろ更新が安定してきたので、毎週月曜日に更新しようと思います。まぁ、気まぐれで、2回一気に更新したり、月曜以外にも更新することもあると思いますが・・・。