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09 流れる時間
それから何年もの時が流れた。
エマは少女から娘になり、娘から女性になった。ヴィクトルは毎夜、彼女の店を訪れた。エマが恋をしたとき、話を聞いた。エマが失恋したとき、黙ってそばにいた。
有限な時間の中で、エマは輝いていた。彼女の一日一日はかけがえのない宝石のようだった。
ヴィクトルはそれを見ていた。永遠の中にいながら、彼は初めて時間というものを感じていた。エマの髪に白いものが混じり始めたとき。エマの手に皺が刻まれ始めたとき。
それは悲しいことのはずだった。しかしヴィクトルは、それを美しいと思った。限りあるものだけが持つ輝き。終わりがあるからこそ生まれる切実さ。彼はそれを、エマを通じて学んでいた。




