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04 永遠はいらない


「ヴィクトルさんは、ずいぶん長生きしているんですね」ある夜、エマはそう言った。「目を見ればわかります。すごく遠くを見ているような目。たくさんのものを見てきた目」


ヴィクトルは黙っていた。


「怖くないですよ」エマは言った。「ヴィクトルさんが何者でも、私は怖くないです。だって、悪い人じゃないから」


「なぜわかる」


「パンを焼いている私を、ずっと見ていてくれるから。まるで、大切なものを見るみたいに」


空が少しずつ白んできている。「もう行かなければ」


「エマ。お前は永遠に生きられるとしたら、どうする」


エマは少し考え、ゆっくりと首を振った。「いらないです」


「なぜだ」


「だって、それじゃあ今日が特別じゃなくなるから。今日しかないから今日が大切なんです。もし永遠に時間があったら、私はきっとパンを焼くのをサボっちゃいます。明日やればいいやって思っちゃいますから」



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