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何度目かの

「じゃ、元気でね」

「ええ、ありがとう御座いました。またお会いしましょう」

 

 時田は元信と将棋を指しながら昔話をし、別れた。

 そして、時田と小次郎は本来の目的である下見に移るのであった。

 

「さて……本来の任務に戻りましょうか!」

 

 実はまだまだ下見は終わっていない。

 下見の前に元信と遭遇してしまったが故、その目的が果たされなかったのである。

 

「……まぁ、別に良いのですが」

「どうしました?」

「……いえ、完全蚊帳の外だったので」

「あはは……ごめんなさい」


 そこで、とある事を思い出す。


「そう言えば、ドタバタしちゃってお里ともあんまり話せてないんだよな……よし、さっさと終わらせて美濃に帰ろ」

「さっさと終わらせてって……ちゃんと仕事はして下さいよ?」

 

 少し拗ねている小次郎をなだめ、任務に戻るのであった。

 

 

 

「……うん、この辺りが良いんじゃないかな」

「そうですね。人通りも多く、ここなら商いも捗るでしょう」

 

 ちょうど空いている土地を見つけ、目星をつける。

 因みに人通りが多く、話を聞かれているかもしれないので、商いの為の下見という体で動いていた。

 そして、商いが捗る。

 それはつまり、客が多く訪れるということはそれだけ情報も集まるということである。

 商いが捗ることは情報が多く集まることに直結するのだ。

 

「さて……他の下見に移りますか。次は……」

 

 小次郎があらかじめ作ったリストに目を通す。

 

「次の計画の為にも駿府城の城下町にもう少し支部を置いておきたいですね。東側にももう一つ支部を……」

 

 そして、時田が居たところに目を戻すと、そこには時田の姿は無かった。

 

「……時田殿……?」

 

 辺りを見渡すも、それらしき姿はない。

 そして、小次郎は察する。

 

「……これは……まさか、神隠しか!?」

 

 そして、小次郎はすぐさま辺りを見渡し、現在地を確認する。

 

(これまでの神隠しはその時居た場所に現れる……つまり、何年先か分からないが、時田殿は必ずこの場に現れる!)

 

 小次郎は報告書に仔細を書き記し、この地に必ず支部を設立するようにと書き記した。

 

(さて……時田殿がいなくなったことを支部の仲間に伝えて、任務を続行するとするか……一人だけど、頑張ろう)

 

 その後、小次郎は報告書を仲間に渡し、駿府城下町東側の下見をし、そのまま関東を下見。

 帰り道に甲斐、信濃の中山道の方面を通って帰るのであった。

 

 

 

「さて、次は……」

 

 振り返ると、そこに小次郎の姿は無かった。

 それどころか、先程まで無かった建物がそびえ立っている。

 

「……は?」

 

 その建物を良く見てみると、平松商会の建物であった。

 平松商会は建物で分かるように、統一されて設計されている。

 一般人が見た所で気にならないだろうが、関係者には分かるのである。

 

「あぁ……成る程」

 

 そして、状況を察する。

 

「またタイムスリップしたね、これ」

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