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道三との再会

「待て! 何者だ!」

「斎藤道三様に時田光が会いに来たとお伝え下さい。そうすれば、分かるはずです」

 

 厳戒態勢となっていた大桑城へ時田達は足を運んだ。

 門番に対し名を名乗ると、門番は時他の顔を今一度よく見る。

 

「時田……もしや、帰蝶様と共に織田家へ行った……あの?」

「はい。その時田です。この眼帯にこの手を見れば本人だと分かる筈。この風貌を道三様にお伝え下されば分かるはずです」

「いや、その必要はない。実はお主のことは見たことがあってな。かなり昔のことだし、ほんの少しだけ見たことがある程度だったから忘れていた。少し待っておれ。道三様に取り次ごう」

 

 門番はそう言うと、すぐさま道三に伝えに走った。

 

「へぇ。有名人なんだな」

「まぁ、この風貌ですから。望んだ訳では無いのに、見た目が特徴的になってしまいました」

「わ、私は良いと思いますよ! 格好良いです!」

 

 何故かお冬がフォローする。

 

「いえ、そんなに気にしてませんよ? 色々と不便だなとは感じますが、もう大分慣れましたから」

「そういえば、話によればその傷のせいで明智光秀様から戦場に出ることは禁ずると言われたそうですが……どうするんです?」

「……あ」

 

 孫次郎のその言葉で、時田は光秀のその指示を思い出した。

 

「……尾張にいるときはバレないから大丈夫と思ったけど、今回ばかりは……でも、出ないわけにも行かないか……というか、何で知ってるの?」

「実は、美濃の支部では明智城周辺の情報を集中的に集めていたそうで、時田様の周辺の話も入って来ていたそうなんです。こちらに来てから色々と聞きました」

「そうだったんだ……」

 

 時田は暫く考え、頷く。

 

「よし。怒られるのを覚悟で今回も最前線で戦おう。鳴海城の時みたいに潜入とかじゃないと思うから不慣れな点も多いとは思うけど、康高殿、そう言うところは支えて下さいね?」

「おうよ。任せてくれ。因みに、小次郎殿もそういった教育は施されてきているだろう?」

「はい。多少はお役に立てるかと」

 

 小次郎がそう言うと、時田はすぐさま編成を考え始める。

 

「じゃあ、今回は三班に分けられるか……平松殿と康高殿。小次郎君にそれぞれ指揮権を与えて……」


 等と考えていると、先程の門番が帰ってくる。


「すまぬ! お待たせした! ついてきてくれ。道三様がお会いになるそうだ」

「お。来たな。じゃあ行くか」

 

 一同は大桑城へと入って行った。

 

 

 

「久しぶりだな。時田光」

「お久しぶりでございます。道三様」

 

 道三と面会を果たした時田は深々と頭を下げた。

 そして、そのまま顔を上げない。

 

「どうした? 何故頭を上げぬ?」

「……今回の騒動の一因が私にあるとお聞きしたので……申し訳なく……」

 

 時田がそう言うと、道三は大きな声で笑う。

 

「はははは! そのような事を気にしておったのか! 安心せよ。お主が仕事をしてもしなくても、いずれこの目で信長殿を見定めようと思っておったのよ。そして、結果は変わらなかったであろうな」

「……道三様」

 

 時田は顔を上げる。

 道三は声こそ笑っていたものの、顔は笑っていなかった。

 

「しかし、仕事をしなかったのは事実だ。反省せよ」

「……はい! 反省して、次に生かします! 今後も、道三様のお役に立てるよう、一層努力します!」

 

 時田のその言葉に道三は反応する。

 

「今後も、か。時田よ。この状況、打開する策があるのだな?」

「はい! 私が連れてきたこの者達、それが策そのものでございます!」

 

 時田は自信満々に、策を話し始めるのであった。

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