番外編 レイア
プリムと同じくあとがきにあぶれ話があります。
レイに関しては設定を書き綴ったノートを見たのですが、あまり詳しい設定を考えておらず、本編に書かれていることでほとんどでした。
そのため、クロフォード家をピックアップしています。
そして、厄災の子は産まれた。
産声を上げる、左右の瞳の色が違う子供。片方は深紅色で、弱視であった。母親の目を受け継いだのであろう。髪や肌の色、右目の色を除き、顔立ちや、その瞳の色は母エーリアと瓜二つである。
生後間もない赤子に、非情な言葉がかけられる。
「剣を持ってこい。殺してやる」
声の主は彼女の父親であり、有力な貴族の次期当主、グレイル・リー・クロフォード。彼を一言で表せば、植物だ。感情の起伏がなく、口数も少ない。だからこそ、彼が、「迫害対象である少女」を欲した時には、誰もが喫驚した。
赤子はより大きな声で泣く。
「やめて!この子は息をして、必死に泣いて、命に縋りついているの!」
グレイルはその言葉に臆する事なく、剣を振り下ろした。
その剣は、赤子を守ったエーリアの肩を切り裂いた。
後にレイアと名付けられ、貴族として育てられることになる。
またエーリアは、屋敷の病棟で療養すると決まった。この時、事件は起こった。
真っ新な室内に消毒液の匂いが充満している。そんな中、静寂のイメージを持つ光景に見合わない、怒鳴り声が響いた。
「何故だ。何故奴が生きている!皇女の、呪われた子が!」
「知らなかったんです。それに、流れに揉まれる姿が苦しそうで、見捨てられず…」
最新の医療技術を集中させているクロフォード家の病棟には、高貴な患者も訪れる。
——例えば、皇族とか。
プリムローズを匿った彼女は……
「——レイア。貴女に幸あれ」
金色のヘアピンを握りしめたまま、真っ白な長髪を鮮血で濡らした。
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レイアはうんざりしていた。学園の生徒たちは、彼女を嫉み、嫌う。気持ち悪がる。唯抜きん出た才覚を発揮し、好成績を納めただけなのに。そして、片方の紅い瞳を持つだけなのに。
レイアは人知れず困っていた。素晴らしい剣技と俊敏さを持ち、戦闘にも長けているはずなのだが。
対人戦となると、如何にも躊躇ってしまう。
幼少から、『死』というものがとても近しい所にあったからだろうか。これではせっかく習得した技術も、実用できない。
初等学園を卒業する12歳の春。彼女はとある計画を立てた。
——母親の、エーリアの仇を討つ。
母が差別によって殺されたと聞かされた時には怒り以前に、悲しみが押し寄せた。犯人を恨んでいるわけではない。この世の「常識」とやらをそしているのだ。
その矛先は帝国へと向き、叛逆を始めるうえで必要な人材を4年かけて集めることとなる。
レイアは持ち前の頭脳と貴族の顔の広さで、兵士、武器職人、帝国政府に内通するものまで仲間に取り入れた。
後は、実行に移すだけだ。
16歳の誕生日、レイアは、「街に買い物に出る」と言って屋敷を出ようとした。
すると、グレイルが彼女を引き留め、こう言った。
「俺もついていこう」
そして、物語は始まる。
レイが協力者を集められた理由は、自身の能力の高さもありますが、父であるグレイルも関与していた為です。
グレイルはエーリアを見かけ上は側室として置いていましたが、実際には本妻のように大切にしていました。一人の女性として愛していました。
レイを庇ったからだとは言え、エーリアを傷つけてしまったことは本当に後悔していたようです。普段信じてはいなかった神様にも祈り、快復を願っていました。しかし、それが叶うことはありません。
グレイルはレイとは違い、明確に犯人を恨んでいました。犯人は当時の女帝の夫である皇帝。当然、女帝がすべての権力を持つこの国で、まともに司法が働くわけがなく、殺人犯に言い渡された刑は廊下掃除。
軽いどころの話じゃありません。
グレイルは軍事の才覚が絶望的になかった為、娘であるレイに託したのです。
また、グレイルは生涯で他に妻を娶ることはありませんでした。愛したのはエーリアだけです。
エーリアが亡くなってからは、代わりにレイに気をかけていました。
周りの目を気にして、少々当たりは強くなっていましたが、本心ではなかったはずです。
物語の冒頭であえてプリムを差別する発言をしたのは、レイが未練を残して屋敷を去るのを危惧したからです。愛らしい娘だからこそ、狭苦しい場所に居てほしくはなかったのかもしれません。
分かりにくかったらすみません。
因みに、テーマは「差別」と「友愛」(のつもり)です。
ほんの少しだけ歴史を意識してます。
tx!:)
ありがとうございます(╹◡╹)




