10 静寂
短い間でしたが、最後までありがとうございました。
読んでいただいたあなたにありったけの感謝を。
「プリム、見て見て!美味しそうな木の実を見つけたの!」
笑顔で駆け寄ってきたのは、レイア・セリシア・フォーセル。
人懐っこい彼女の顔には、晴れやかな笑顔が浮かべられていた。
この地で、至福を手に入れたのだ。
プリムは、涼しい木陰のハンモックに腰を下ろし、大きくなってきたお腹を摩る。
二人は、アルフォンス家の統率する帝国から遠く離れたある国へ、移り住んだ。此処では誰も差別をしないし、人の不幸を自分の事のように悲しみ、幸を自分の事のように喜ぶ、心優しい民ばかりだ。
プリムは、この国、この町で出会った、ヨハネス・リルクヴィストと結婚し、子供を授かった。レイは、先日オスヴァルト・フォーセルと結婚したようだ。金の指輪を大切そうに薬指にはめるレイは、恋する乙女だ。
「そのまま食べてもいいけど、ジャムにしてみてもいいかも。よく熟れてそうだし、相性いいんじゃないかな」
「美味しそう。明日、作って持ってくるね!」
何気ないこの日常をどれだけ欲した事か。愛情の繋がりを何年追い求めた事か。今となっては空白の十六年が惜しくて堪らない。
そうそう、あの帝国は、統率者を失った事で崩壊し、争いが耐えない地域となった。今も、紛争は続いている。
「いつくらいに生まれるんだっけ?」
「三ヶ月後くらいかな。ほら、触ってみて。動いてる。生きているんだよ」
生命体の持つ温もりは、他に変えられない程、プリムの心を癒してくれた。
愛する人との間に授かった、尊い命。それは、とても愛らしいものだ。
私たちは、掴み取った幸せを噛み締めながら、この一瞬を、ひとときを重ねて生きていく。
——命の尽きる、その時まで。
-完結-
tx!:)
ありがとうございます(╹◡╹)




