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癒えない少女は。  作者: 佳音
本編
10/12

10 静寂

短い間でしたが、最後までありがとうございました。

読んでいただいたあなたにありったけの感謝を。

「プリム、見て見て!美味しそうな木の実を見つけたの!」

 笑顔で駆け寄ってきたのは、レイア・セリシア・()()()()()

 人懐っこい彼女の顔には、晴れやかな笑顔が浮かべられていた。

 この地で、至福を手に入れたのだ。

 プリムは、涼しい木陰のハンモックに腰を下ろし、大きくなってきたお腹を摩る。

 二人は、アルフォンス家の統率する帝国から遠く離れたある国へ、移り住んだ。此処では誰も差別をしないし、人の不幸を自分の事のように悲しみ、幸を自分の事のように喜ぶ、心優しい民ばかりだ。

 プリムは、この国、この町で出会った、ヨハネス・リルクヴィストと結婚し、子供を授かった。レイは、先日オスヴァルト・フォーセルと結婚したようだ。金の指輪を大切そうに薬指にはめるレイは、恋する乙女だ。

「そのまま食べてもいいけど、ジャムにしてみてもいいかも。よく熟れてそうだし、相性いいんじゃないかな」

「美味しそう。明日、作って持ってくるね!」

 何気ないこの日常をどれだけ欲した事か。愛情の繋がりを何年追い求めた事か。今となっては空白の十六年が惜しくて堪らない。

 そうそう、あの帝国は、統率者を失った事で崩壊し、争いが耐えない地域となった。今も、紛争は続いている。

「いつくらいに生まれるんだっけ?」

「三ヶ月後くらいかな。ほら、触ってみて。動いてる。生きているんだよ」

 生命体の持つ温もりは、他に変えられない程、プリムの心を癒してくれた。

 愛する人との間に授かった、尊い命。それは、とても愛らしいものだ。

 私たちは、掴み取った幸せを噛み締めながら、この一瞬を、ひとときを重ねて生きていく。

——命の尽きる、その時まで。


-完結-

tx!:)

ありがとうございます(╹◡╹)

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