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我儘魔女姫は運命に逆らいたい  作者: 片岡トム
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プロローグ

昔々、あるところにそれはそれは美しく、正義感のあふれる女の子がいました。


ある時、その女の子の家族が悪人にだまされ、女の子は家族と離れ離れになってしまいました。


女の子は孤独に悲しみながらも努力し、強い魔法の力を手にいれます。


ある日、女の子は美しい王子様とお互いに一目惚れします。


ところが王子様の婚約者の我儘で傲慢な魔女姫がその王子様を手に入れるため、女の子をいじめ、殺そうと画策します。


女の子は王子様と仲間とともに魔女姫を倒し、王子様と幸せに暮らしました。




めでたしめでたし。



――――――――――― 



……と、あらかたこんな話だったと思う。わかりやすい主人公が苦難を乗り越え幸せになる勧善懲悪、ハッピーエンドの物語。ありきたりすぎて登場人物の名前さえ思い出せない。今後の事を考えようにもあやふやすぎてどうにもならない。



「どうすればいいのよぉ。」



情け無い声を出し、机に突っ伏した。



どうも、我儘で傲慢な魔女姫ことスカーレット・へーネル・シュタートリアです。現在12歳。

燃えるような赤毛に白い肌、ちょっと釣り上がった碧眼が誰が見ても我儘美少女。

このシュタートリア王国の王女だ。ちなみに5歳上に王太子であるエイダンお兄様がいる。

ご想像の通り、転生者。この流れでいくといわゆる悪役令嬢いや、王女か。



でも私がこんなうろ覚えであったとしても責めないで欲しい。この世界は別に私が好きだった小説でも乙女ゲームの世界でもない。

多分、学生の頃に勉強の一環で読んだ、外国語の原書の児童文学的なもの。そこまで勉強ができた訳でもなかったので悪戦苦闘し、わけがわからないながら何とか読んだ。そんな程度の本。勉強の一環なんて過ぎたら普通すぐ忘れる物でしょ⁈


こんな事になるとわかっていたなら私だってもっと気合い入れて読み込んだわ!


ああ、せめて主人公の名前ぐらい覚えてれば…。


「もうちょっと何かなかったの?もう!」


まとめた紙を見ながら何度目かのため息をついた。





わかるのは大体のストーリー、と登場人物の特徴



○主人公の女の子

   輝く金髪に紫の瞳天使のような美しさの少女


○王子様

   銀髪青眼。『氷の貴公子』と呼ばれる美貌


○魔女姫

   燃えるような豊かな赤毛。国内随一の魔力を持ち好き放題。彼女の我儘で何人もの人が城を去る。



○なんかの悪役

   黒髪。酷く痩せて長身。悪魔のような笑顔。魔女姫と一緒に主人公を亡き者にしようとする?


                       …etc




うん、無理。


実際、他にもところどころ覚えてる気がするが、当てにならない。



実際、転生したという事は物心つく頃からなんとなくわかっていた。

それでもはっきりわかっていた訳ではなく、何となく「あ、これ知ってる」レベル。精神年齢は実年齢より上だから余裕!なんてことはなく、逆に他の人が知らない物を言って周りの人達を困らせるほど。


私だって、まさか3歳の時、オヤツに「どら焼き食べたい」と言ってパティシエが解雇されるとは思いもしなかった。だって記憶はあるけど感情はまだ3歳児。自分の一言で何が起きるかなんて考えられるわけがない。前世の便利な世の中に慣れ過ぎて無茶振りしまくった。

「ラーメン食べたい」で一体どれだけのシェフが消えたんだろう…。


とまぁ、そんな感じで我儘放題の傲慢姫と呼ばれるようになった。


もちろん今はそんな我儘なんて言わない。ちゃんと自分の立場も考えて行動してますよ!だけど、やっぱりまだ我儘姫のインパクトが強すぎてコソコソ言われることも多い。



はぁ。


「つらい」


城内では我儘姫と言われ、婚約者には愛想尽かされて最後に死ぬなんて…


死にたくない





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