火と眼球とチョコレート。
火と眼球とチョコレート。
掴むことができない。
触れることはできる。
少女の固い膣に、そっと指を差し込む様に。
ねぶるように指をあてる。
甘く、赤く、奥歯のすき間から愛が漏れる。
溶けた薔薇のように、ゆっくりと、ゆっくりと体を包む。
唇を立てて、歯を這わせる。
黒は青く、青は赤く、赤は冷たくなっていく。
バターのような甘さが、蝋を舐めたように口を犯す。
飲み下す。
喉は泥に沈む音をあげる。
あばら骨は、溺れる虫の足のように、暴れる。
腹は、膿が溜まったよう。
いやに平たいゴキブリの、無数の卵で膨れた腹のごとく。
油が染み出す。
背中の肉は、翅が生えたように引きつる。
チョコレート。
私はチョコレート。
この世のすべては、火と眼球とチョコレート。