童話の神様が人気獲得に本腰を入れたようですよ(笑)
誰もが知ってそうな昔話は、意外と少なかったです。
「あー、ボクの世界って、超過疎ってるっすー!?」
この世の終わりみたいに叫んだのは、新神のムリグゥ。
新神研修を終え、なろう神界に配属された彼は、童話世界を任された。
そして担当世界の現状を理解したとき、叫ばずにはいられなかったのだ。
「これは、ptを増やさなきゃヤバいっす!」
なろうに投稿された作品が獲得したptは、そのジャンルを担当する神の力になる。
人気世界の神は絶大な力を得て、いろんなことができる。一方、過疎世界の神はロクに力を得られず、なにもできない。
神にとって、担当世界が獲得するptを増やすことは、最重要事項なのである。
「ptを増やすには…、とにかく人を増やすことっすね」
世界を訪れた人が1作品に与えられるptの最大値は決まっている。ブックマークで2pt、満点評価で10pt、合計12ptである。
最大値を増やすことは、一介の神には不可能だ。また、ブックマークや評価を強制することは、固く禁じられている。
彼にできるのは、訪問者を増やすことだけである。
そのためには、どうすればいいのだろう?
少し考え、ムリグゥはひらめいた。
「人を集めるには、やっぱ異世界転生の話っすかね?」
異世界転生は、なろうの人気作の多くに取り入れられている要素である。ハイファンタジーと恋愛(異世界)という超人気世界を成り立たせる要素の一つでもある。
これを童話に取り入れれば…、ムリグゥは、そう考えたのだ。
『ぬぁーっはっはっはっはっ! ムリグゥくん、それはダメなんだぬぁーっはっはっはっはっ!』
「えっ!? あ、ラン王様!」
ムリグゥの頭の中に直接語り掛けてきたのは、なろう神界を管理する神の一人、通称ラン王である。
「ラン王様、ダメってのは、どういうことっすか?」
『いいか、ムリグゥくん、よーく覚えておきたまえ。異世界転生の話は、ランキングで隔離されるんだぬぁーっはっはっはっはっ!』
「えっ!? あ、じゃあ…?」
『その通りだ。ptが入っても童話ランキングに載らないんだぬぁーっはっはっはっはっ!』
異世界転生か異世界転移の要素を持つ作品は、投稿時にキーワードのチェックが義務付けられている。
そして、超人気世界以外に投稿された作品は、専用のランキングで管理される。
専用ランキングで管理される作品に入ったptは、各世界の神には還元されない。それでは意味がないのだ。
「そ、そんなぁ…。じゃあ、どうすればいいっすかぁー!」
『それを考えるのがムリグゥくん、キミの仕事なんだぬぁーっはっはっはっはっ!』
「あー、確かにそうっすよね。わかりましたっす。ボク、頑張りますっす」
ムリグゥは考えた。
今の自分が使える、少ない力でできること。それは…。
「よし。誰もが知ってる昔話を今風に改造して、それで人を呼ぶっす」
ムリグゥは昔話の改造を始めた。
といっても、少ない力でできる改造など、たかが知れている。
長い話をショートショートで落とすぐらいのことしかできない。
だったら小噺を作った方が早くね? ってレベルである。
はたして、彼の努力は報われるのか?
それは、読者の皆様方の行動にかかっている……かもしれない(笑)
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
よろしければ、ブックマーク、評価、感想などお願いします。
ムリグゥの力が高まれば、新しい童話が生まれるかもしれません(笑)