お母さんに嘘はつけない
目が覚めたら見知らぬ天井だった。
そりゃ異世界だもん何もかも見知らぬ光景なんだけどねww
さて、現状の把握をしよう。
「んっ。」ガシャン
両手には鎖が繋がれている。
目の前には鉄格子。
うーん…犯罪者の扱いだな。
まぁ殺すつもりで殴ってたしなぁ…
「目が覚めたようだね。ルシア・ファルアード」
悶々と考えたたら鉄格子の前に大人の天使が2人いた。
うまく情報を聞き出さないと…
「あの…シャミアさんは…?」
天使A「あぁ、シャミア・エルンストは無事だよ。」
天使B「あれだけ殴打しておいて死に至らないのはシャミア・エルンストが丈夫なのか、君が非力なのか。」
確かに…頭突き→馬乗りタコ殴りのコンボで死なないは格ゲーじゃない限りは有り得ない。
「あ、遅延呪文…」
天使A「ん?遅延呪文がどうしたんだい?」
「いえ、もし相手に怪我をさせたら申し訳ないと思い試験開始と共に回復魔法を遅延呪文で準備していたんです。試験終了と共に回復魔法が発動するようにしていたんですけども…」
天使b「それだ!シャミア・エルンストが生存しているのは君の魔法のおかげだったのか!」
天使A「しかしどうしてシャミア・エルンストにあんな過度な攻撃をしたんだい?」
やっぱそこ聞いてきますよねぇ。
どうやって言い訳しようか…何も考えてないぞ…
天使B「ルシア・ファルアードのあの行動は魔力の暴走かとも思ったんだがなぁ…」
そ の 手 が あ っ た か !!
「実は……あまりよく覚えていないのです。シャミアさんに魔法を放たれた時、自分が神子に成れないかもと言う焦りでいっぱいになって…どうにかしなきゃって…」
うーん、我ながらそれっぽい言い訳完成!!
効果の程はどうかな?
天使A「なるほど…焦りから来た暴走ならシャミアを執拗に攻撃したのもわかる。」
天使B「そうだね、あの試験は勝ち抜き制だから相手を倒さないと次に進めない。」
納得したぁーーー!?
今ので納得するの!?
あれでいいの!?
天使A「もうすぐ君のご両親が面会に来る。さっき話してくれた事は上に伝えておくよ。」
天使B「じゃあね、ルシアちゃん」
なんだって?両親がくる?
うちの母親は嘘を見抜いてしまう天使なんだが!?
ヤバイヤバイどうするどうする…俺が地球からの転生者ってバレるのか!?
いや…もしかしたら知ってるのかも…?
そんなことよりあの母親をどうにかせねばーー!!
母「あぁ!!ルシア、ルシア!!こんな姿になって…」
父「鎖は外せないのか?」
看守「まだ上からの許可が下りておりませんので。」
とりあえず弱ったふりしとこうかな。
「お…とうさま、おかぁ…さま?」
母「弱ったふりしてもダメですよ。シャンとなさい」
ピシャリと厳しい声が飛んできた。
くそぅ…嘘発見天使が…
「はい…ごめんなさい。とても眠くて。」
母「なぜ、あんな事をしたの?」
素直に言うべきか…いや遠回しに言ってみるか。
「シャミアさんから魔法を放たらた時、負けると思ってすごく焦りました、しかしそれ以上に許せなかったのです。」
母「…なにが?」
あ、通じてる。嘘を見抜いてたら即刻嘘ですって言われるからな。
「かの世界の住人を殺すと…そう聞いたのです。」
父「それは本当か!?」
母「えぇ…この子は嘘は言ってませんわ。」
そりゃそうだ、天界に召喚された地球人だって歴とした「かの世界の住人」だ。
そいつが反発したら殺すとのたまったシャミアは何様なんだと思ったね。
「生きる世界は違えど、命あるもの。祝福されて生を受けています。それを無慈悲に奪うなど許されましょうか……?」
母「ルシア…あなたはとても優しい子に育ったのね…。」
父「なるほど、それで先ほど聞いた暴走に繋がる訳か。」
通じた?俺が地球人ってバレてない?
ギリセーフ?
看守「ファルアード様、そろそろお時間です。」
ん?面会時間ってことか?
父「わかった。ルシア、お前はこれから天使長達による裁判を受けることになる。」
「そんな…」
父「天使長達は此度の件を【共生派】によるものと見ているようだから言葉に気を付けなさい。」
「わかりました。」
母「ルシア、あなたはいつまでも私の可愛いルシアなのだからね。」
「はい、お母様」
そうして両親は鉄格子の前から去っていった。
天使長…つまり地球に侵攻しようと決めた張本人達か?
いや待てよ…コイツらを始末出来ればヘラの言ってた地球の危機ってのは排除できるんじゃ…?
アレスの権能をフル活用しても勝てないかな…
そういやアイツなんか変な事言ってたな。
ただし頭だけな。だっけ?
どう言う事だ?
ヘラがくれた権能は戦闘体躯、身体を一時的に神の身体に変えることが出来る。
頭だけ神!?
なんだそれ!!!
ふざけすぎだろ!!!