神崎「あのーそろそろ産まれたいだが」
天照や三種の神器、ゼウスやヘラの前から忽然と姿を消した神崎。
しかし神達は驚くことも悲しむこともない。
これは本来迅速に行われてきた業務なのだから。
ヘラ『地球からの転生って言うのは珍しくないけど私達に干渉してきた人間は珍しかったわね。』
ヘラは感慨深くこれまでの業務を振り返る。
多くの転生者を送り出し、また生まれ変わりを執り行ってきたが、殆どお役所仕事のような形で書類にサインをしてもらいその場で転生してもらうのが効率よかった。
しかし神崎は違った。
出会ったきっかけはゼウスの浮気かと思って飛び込んだ天照の執務室。
そこにいたのはただの人間で、異世界転生か地球での誕生を選び旅立つ人間。
しかしどうだ、人間でありながら神である天照と対等に話し、天照に伴侶とまで言わしめる器。
ただ一言にして、興味が湧いた。
かつて戦いを好み、戦いを楽しむために「人の身」になって戦場を駆けた息子アレス。
地球の文献にはこう記されていることだろう。
戦神アレスに特筆すべき逸話はない。
と。
その通りだ。あの子は人を知り、人と同じように振る舞い、ロムルスに後を託したのだから。
その後ロムルスは国を作った。
その国の名は【ローマ】。ロムルスはこう呼ばれるようになった。
【神祖】ロムルス
神らしからぬ神、それがアレス。故に逸話が無い。
特筆すべき逸話と言うよりは、神らしからぬ逸話ならあるだろう。
自分の娘が他の神に乱暴された際には父親としてその神を討ちに行った。
そこには他の神には持ち合わせない【人の感情】が込められていた。
人の身で人と対等に渡り合い、戦いを楽しみ打ち滅ぼした神のみぞ知る。
神でありながら人間と対等に渡り合おうとしたアレス。
人間でありながら神と対等に対話する神崎。
ヘラ『あぁ、だからあの人間にアレスの面影を見出したのかもしれないわ。』
ゼウス『ワシらが未だ地球に居を構えておった頃、アレスは人間と戦争に大層興味を示していたからな。逆もまた然りじゃろう。』
ヘラ『可能性は無くは無いわね。アレスは残虐な面が多かったけど、家族に対しての愛情は他の神よりも持っていたわ。だから人間臭いなんて言われていたけれどね。』
『あーーーー!!!』
三種の神器『『『どうした天ちゃん!?』』』
『神崎…転生先の性別が女になってる。』
剣『女…ぶふっ!あいつが女!?あははは!』
勾玉『笑い事じゃないでしょ!どうしよっか天ちゃん』
『えー?なんで?なんで女の子なの?あ!見る目麗しい姿にしてって頼んだからだ!!」
鏡『原因究明おめでとう。そのうち神崎さんから怒りの電話がくるよー。』
『うわぁぁあぁ!』
天照は頭を抱えた。
ゼウス『ほう!女とな!!これは逢いに行かねば!!息子、いや娘に逢いに行かねば!!』
ヘラ『あぁぁぁなぁぁぁたぁぁぁ???』
ゼウス『違う!これは親心だ!子供の行く末が心配じゃろう!?なぁ!ヘラよ!』
ゼウスの精一杯の言い訳はヘラには通じない。
ヘラ『……そうですね。我が子ですし気にもなりますからたまになら逢いに行きましょう。』
通じてしまった。ヘラは神崎という人間に興味を持ったのだ。
ヘラ『ただし!私も同行しますからね!!』
ゼウス『ぐぬぬぬ……まぁ…いいじゃろう。』