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第31話《何故彼らは消えたのか…》

ワープを起こす少し前…シャリムのうしろに立っていたポチが、

「なんか…

まわりが、グニャッと曲がってるように感じて…気持ち悪いんだけど…」

そう言っている通り…

ポチやシャリムが立っている場所一帯にゆがみがしょうじた事で…そのまわりにある空間そのものに、魔法の影響が及びやすくなっていた…。

だが、その中でシャリムは…

「ポチさん。

これから大きなエネルギーが光と一緒に流れて来ます。

だから、わたしの肩をしっかり掴んで、目を閉じて下さい…」

そう話して、ポチを落ち着かせると…それから…

「分かった。」

そう言って、うしろから…両手でシャリムの肩を掴むポチの前で

(よし!ちゃんとアクセス出来た。あとは…)

うしろを振り向かずにシャリムは

「ポチさん。これから…わたし達の身体を元素まで、分解させます。

何も見えないし…聞こえなくなると思いますが…わたしの存在を感じ取ってください」

うしろから見下ろすポチにそう頼んで…

「よくわからないけど…とにかくシャリムを信じていればいいんだな…」

そう答えるポチに…シャリムが、

「はい!」

返事をしたすぐあとに…シャリムは、自分とポチの身体を…

頭から…両手…胸…腹…両足の順に、自分達の情報を含んだ、多くの光の記号へ変化させると…

その多くの光の記号が飛び散って、周囲にある円柱を構成する多くの光の文字と、一文字一文字…混ざり合い…

そして、分解を示していた円柱を構成する魔法文字が、記号と混ざり合った事で…円柱を構成する多くの小さな光となって…

その多くの小さな光が、次の瞬間…二乗三乗と、何倍も魔法を強化するための光の文字に変化する…

そして…強化を示す多くの魔法文字で出来た円柱は、天井にある…ビームライフルの先端のようなものの発射口のところから発射される光と融合して、

ずごおおおん!という轟音と共に…目標地点まで転送されるのだった…

・・・・・・

シャルム

「……と言う訳だ…」

そこまでがシャルムの予想した話だったのだが…

そんな途方のない話が簡単に信じろというのが無理な話だった。

だから2メートル近くまで、シャルムに近づかれてもナインクールは

「バカな…仮に魔法の影響が強まった事で、奴らが気体レベルまで分解できたのは、本当だったとしても…ワープなんか出来る訳がない…。

第一、理論的には可能でも…それを実行できるほどの力は、この世には無いと言われているじゃないか」

それを実行するには、世界を100回以上滅ぼすほどのパワーが必要だという…魔術師達の見解を持ち出すと…

その見解については、確かにシャルムも

「そうだな…確かに理論的に説明できても…それを実行できる力は、この世界にはない…

だがこの世には、私達にも予測できない不確定な力があるだろう…」

そう話すのだが…それでもナインクールには

「魔法か…だが魔法は、この世界の大気を構成する元素と呼ばれるものを…オレ達の意思で変化させる事で起こるものだ…。

だがワープを起こすには、この世界の大気のエネルギーをすべて使っても…まだ全然足りない事になる…

なのに、それほど大きなエネルギーを…どうやって呼び出したんだ?」

その部分が分からないので、説明を求めると…シャルムは

「ワープが起こる前と…起こったあとで、何か変化した事はないか?」

そんな事をナインクールに聞いてくるので

「暗闇が急に明るくなった事か…」

そこまで言うと…

今、背中を向けている方向の先にある…穴の方から光が出ていた事を思いだして…

(待てよ…

ワープする前も、確かに薄暗かったが…うしろの穴の方から光が出ていた事で、視界には困らなかった)

そんなナインクールの考えを読んだかのように…シャルムは、

「どうやら思いだしたようだな…」

そう言って、さらにシャルムの、はるか前にある穴について

「あそこにある穴の中には、ブラッディーライト《光の血》と呼ばれる…強い魔法エネルギーを含んだ液体が貯蔵ちょぞうされていた…」

ワープを起こす前…穴の中で池のようにまっていた、光る液体の正体を話し…

それを聞いたナインクールが、

「それで、転送させるための魔法をエネルギーを増大させた事で…

ワープを起こす力の源になったというのか…だがそれだけでは…」

そこまで言うと…シャルムも…

「説明がつかないか…

確かに、いくらブラッディーライトで、大きな魔法エネルギーを出せるとしても…

ワープを実行できるほどのパワーなど、あるはずがない…」

ナインクール

「だったらどうして?」

シャルム

「そうだな…理論的には、可能だと思って作られたワープシューターだが…

あきらかに出力不足な事が判明して、過去に一度も使われた事がなかったといわれている…

だからシャリムは、自分を光情報に変身させるために作った文字型の魔法陣を…自らの情報を加えたブースターへと変化させて、

天井からワープさせるために発射された光のエネルギーを高めたんだ…

これは、あくまで私の予想だが…その光が及ぶ範囲を圧縮した事を考えれば…その時のエネルギーは、元のエネルギーの10乗以上になっていたと思う…」

シャルムは、つまり…空気を圧縮して発射する空気銃を…

考えの及ばない程の威力に改造して、目標に向けて発射した状態だという事を話したが…

それでもナインクールは

「だが、それほどのエネルギーなら…奴ら自身も蒸発されてもおかしくないはず…

それに仮に蒸発せずに光と融合したとしても…融合されたさまざまな物の中から…どうやって自分達の存在を保つつもりだ?

目標地点に着いたら、役目を終えた転送の光と一緒に消滅してしまう可能性もあるじゃないか…」

そんな状態から身体の再構成する事など…とても無理ではないかと話し…

それを聞いたシャルムは

「確かにな…だからシャリムは、魔法を使う直前に精霊に呼びかけ…

それに応じた精霊を術者とする事で…その問題を解決したんだと思う…」

だから術者となった精霊が、シャリム達の存在を保存して、再構成もするのだろうと話すと…ナインクールは

「バカな…純粋な力の結晶である精霊が、意思を働かせたというのか…

そんな事は、伝説のエルフでもない限り不可能だ。

それともまさか…あの娘がエルフだって夢物語を話すつもりじゃないだろうな…。」

さすがにそれは、とても信じられないと話すので

シャルム

「確かにシャリムは、エルフじゃない…

でもエルフほど強大な力がなくても…シャリムには、精霊と接触できる訳があるんだ…」

ナインクール

「なんだ?それは…」

シャルム

「シャリムは、ニンフなんだ。」

《32話へ続く…》



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