第3話《寝室までついてる子供部屋》
―――《2話の続き…》――――
。
子供達が軟禁されていたらしき場所の中で、ポチが
「さてと…」
あらためて、少年の方に目を向けると
…
シャルムは、目を離しているあいだに…
ビスケットみたいな物が、何枚も乗せてある皿を用意していた…
。
シャルム
「食べていいよ。」
、
それを見て、ポチが
、
(シャリムといい…
子供なのに…何でそんなに手際が良いんだ?お前らは…)
などと…考えていると
…
シャリム
「お茶の用意が出来ましたよ。」
…
白いローブを着た少女が、手際の良い動作で、2人のマグカップと…
ポチに頼まれた皿を配っていく
…
円形のテーブルの上で…シャリムのカップは、
シャルムのカップの左隣にあり…
ポチのアップルティーを入れた皿の向かい側にある
…
つまり席に着くと…シャリムとポチは、向き合うようになっていた…
。
そして、シャリムが
「お茶でもしながら…お話ししましょうね。」
…そう言ってから
…
お茶を乗せていた、お盆を置いて…椅子に座ると…
ここに至るまでの殺伐としたものが消え…
ほのぼのとした雰囲気が、ただよう…
。
ポチ
(…たぶん…この子のせいなんだろうな…)
。
左手にマグカップを持って、お茶を飲んでいる少女を見ながら…そう思う…
。
ポチ
(しかし…)
…
ポチには、他にどうしても気になる事があった…
。
ポチ
「この皿、重いけど…
いったい何で出来てるんだ?」
、
それに…白黒でぼやけた視界なので、見間違いかもしれないが…
ポチには、皿がキラキラしたもので…出来ているようにも見える…
。
そして、それについては…シャリムの隣の席に座っていた、シャルムが
…
「ああ…実は、その皿、金で出来ているんだ。」
…そう言うので
、
ポチ
「金で?なんで、そんな高価な物が…」
、
席に座ったままで…不思議そうに、ポチが尋ねると…
シャルムは、チラッ…と金の髪の少女の横顔を見て
…
「実は、シャリムは…右手に宿る金の光を解放すると…
石化のように…触れるものすべてを…金に変える事が出来るんだ。」
、
ポチ
「うぉふ?」
、
話の内容が不思議すぎて…よく分かってないポチに、シャルムは
…
「やっぱり…口で言っても分からないか…」
…そう言ったあと
…
右手に持ったマグカップを、ポチの右手に手渡して、重さを確認させると…
今後は、ポチからマグカップを返してもらって
…
その返してもらったマグカップを…さらにシャリムの右手に預けたあとで…
「シャリム…」
。
シャリムに声をかけて…それでシャリムが、
「はい。」
・・・・・・
両目を閉じて、意識を集中させると…
なんと、シャリムの右腕のまわりに黄金の光が輝くではないか…
。
そして、その金の光が…シャリムの右手から、フッ…と、収まった時
…
シャルムは、シャリムに預けたマグカップを返してもらって
…
シャルム
「ほらっ、持ってみて」
、
その返してもらった、マグカップを、もう一度ポチの右手に手渡す…すると
・・・・・・
ポチ
「うおっ!?確かに重くなってる!」
、
それに、白黒のポチの視界にも…
マグカップがさっきより…ピカピカになっているように見えた…
。
シャルム
「これが…僕達が、ここに軟禁されていた理由の一つさ…」
。
椅子に座ったままで話す、シャルムの隣で…
少し疲れた顔で、シャリムが
、
「でも…あまり大きな物は、金に変える事は、出来ないし…
ほかの魔法より何倍も魔力を消費するから…
連発できない欠点があるんですけどね…」
。
そう話してから…左手に持った自分のマグカップに、口をつけて…
それをカタンと、テーブルの上に置くと
…
「それより…ポチさんは、どうして?ここの牢に、閉じ込められていたのですか?」
、
ポチが何故あそこに、閉じ込められなければいけなかったのか?
その理由が知りたいと、聞いてくるので…
、
ポチ
「もう気づいてるかもしれないけど…
実は、俺は自然にうまれたコボルトではなく…
かつては、ここから…はるか南の方にいた部族の人間だったんだ…」
。
シャリム
「それがどうしてコボルトに?」
…
そんなシャリムの問いに、ポチが
「騙された…」
…それだけ言うと…
シャリムは、すべてを悟ったように…両目を閉じながら
…
「わかりました…」
…それだけ言って…両目を開くと
…
もうポチに…それ以上、尋ねようとは、しなかった
…
《第4話へ続く…》