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第5戦《その光は、頭の中の幻覚さえも破壊する》

お腹を氷で出来た槍に貫かれたシャリムは、ポチの方を振り向き

「大…丈夫ですか…ポチさん…」

…そう話す途中で…

お腹に刺さった氷の槍が…役目を終えたら、一気に溶けて、ただの水となり…

血と一緒に流れ落ちるのを感じると

そんなシャリムのうしろ姿を見ながら…ポチは、立ち上がって

「だだ大丈夫じゃないだろ!お前が!」

どうしよう!どうしよう!と混乱していうちに、頭の中に…シャルムから

【ポチ!早くシャリムを連れて!ここから離れるんだ!】

そのための方法を伝えられて…

それを察したように…ナインクールが

「逃がすと思うか…」

突き出した右手の手の平を、ポチに向けると

そのナインクールをねらって、9メートル離れた場所から…右手を突き出していたシャルムが

「そうは、させない!」

叫んだ途端とたん

ナインクールの足元に光の円が出現して

「何!?」

そこから出た白いけむりのようなものがナインクールを囲みこむ

そして、それが白い雲の弾幕だと知った…ナインクールは、右手を下ろして

(なるほどな…

オレと子娘こむすめが話しているあいだに…雲の弾幕を出すための魔力を集中させていたか…

別の手を考えていたのは、オレだけじゃなかった訳だ…)

そこまで考えると

「だが!」

…その言葉と共に、

ナインクールが左肩の方に近づけた右手を、バッと、右横の方に伸ばすと…

その右手を払った時にしょうじた突風が、周りの雲を吹き飛ばしてくれたおかげで…

全身を包み込む程の青いオーラの光を放つ…シャルムの姿が、はっきりと見えるようになったので

ナインクールは、突き出した右手の手の平を、シャルムの方に向けて

「足止め程度にも、ならなかったな…」


…そう言って、

右の手の平から、光弾を発射するが…

その光弾は、スカッ…と、シャルムの胸をすり抜けて…そのシャルムが幻の用に消え去ると

今度は、そこから右に1メートルくらい離れたところに…またシャルムが現れたので…

そこからナインクールは

「ビジョンか…」

また突き出した右の手の平から…光弾を発射するが

またシャルムの胸を光弾がすり抜けて…

そのシャルムの幻が消えると…

その幻が消えたところの、1メートルくらい前に…

1人、2人、3人と…3人のシャルムの姿が現れたので

横に3人並んだ…シャルムの分身の術を見せられたナインクールは

(そういえば幻影が…その姿が幻にもかかわらず…

身体から、なぜか?オーラの光を発していたな…)

いくらなんでも変だ…と思ったので、

ふと…ポチやシャリムのいた場所に目をやると…予想通り

(逃げたか…)

ポチとシャリムの姿は、なかったが

(おかしい…

あれほどの傷で先に進んだのなら…しばらくは、地面に血のあとが残るはずだが…)

血の跡が残ってない事で…ナインクールは、ハッ…と、ある事に気づき

(そうか…そういう事か)

「なるほど…さっきの雲の弾幕は、今オレの見ている世界が幻だと気づかせないようにするためだったとは…

いい仕事をするじゃないか…少年」

実は、先ほどの周りを囲んだ白い雲は…

その時に、幻覚を見せる魔法を使ったのを…気づかせないようにするためのものだ…と、

幻の世界の外側にいる…シャルムに向かって話しかけたナインクールは

右手の人差し指と中指を立てて…

その立てた2本の指先で、ササッ…と自分の前に、五芒星を、一瞬で描いてから…

続けて…右側、後ろ、左側…と、時計まわりに五芒星を描くと…

ナインクールが正面に戻った時に…前、右、後ろ、左…と、

ナインクールの周りを囲むように現れた…4つの大きな五芒星が燃え上がり

ナインクールが、バッ…と天井に向かって上げた右手の手の平の、

3メートルくらい上の方では、光り輝く大きな六芒星が回転し…

右手を、上の方に伸ばしたナインクールが

「我が前にラファエル、我が後ろにガブリエル、我が右手にミカエル、我が左手にウリエル。我が周りに五芒星は燃え、我が頭上に六の星が輝く…」

ホーリーライトの詠唱えいしょうを終えると…

前、後ろ、右、左…と、ナインクールの周りを囲む、4つの五芒星のところに…それぞれ天使が現れ

「降り注げ!フォオリィルァイッ!」

その言葉と共に…頭上に光り輝く六芒星が止まり…

その止まった六芒星から、カッ…と、光が発射されるが…

その光は、だんだん細くなっていって…とうとう円錐えんすいの形となった、その光は…

ナインクールの上に伸ばした右の手の平に吸収されていき…

右手に吸収されたせいで…ナインクールの身体中が、破魔の光のエネルギーで満ちあふれ

全身を包み込む…青白い破魔の光が、少しずつ広がる中で…

両足の間を開いたナインクールが、両腕を胸の前で交差させてから

「見る者すべてを焼き尽くす神の光よ…

聖なる光をにえに巻き起これ!」

そう言って、集中させた魔力を…

バッ…と、交差させた両手を、力一杯ちからいっぱい横に広げて

「フォオリィルァイッエクスプルォオジョン!!」

その力強い言葉で…大の字になった全身と共に、魔力を解放した時…

その解放した魔力を起爆剤きばくざいにした光の爆発を巻き起こし

カッ!!…と、そのまぶしい光の爆発と共に…シャルムの作り出した幻想の世界を吹き飛ばしてしまう…

そして幻想の世界を、ぶち壊した…その光の爆発は、現実の世界でも…天井に、その光がとどくほどの爆発を起こし…

その現実世界での光の爆発は、8メートル離れた場所にいるシャルムでさえ

「うわああぁっ!」

3メートル後方まで吹き飛ばしてしまった。

そして、吹き飛ばされたせいで…仰向けに倒れたシャルムが

(バ…バカな…ホーリーライトを右手に吸収して

その吸収したエネルギーで、光の爆発を起こすなんて…)

ナインクールを幻の世界に閉じ込めていた時に…頭の中で見ていた映像を思い出しながら…

身体を起こして、立ち上がった瞬間に…

11メートル先のナインクールのいた場所から…光弾が飛んできて

飛んできた光弾が、とっさの事で…防ぐ暇がなかったシャルムの胸部に直撃すると…

シャルムは、

「がっ…」

焼けるような熱さを胸の方に感じながら…仰向けに倒れるが

(まだだ…まだ倒れる訳には、いかない…)

身体をブルブル震わせながらも…気力を振りしぼって、立ち上がるシャルムの胸部に、

無情にも…ナインクールの放った光弾が、また直撃して…

仰向けに倒れたシャルムが、もう立ち上がる事は、なかった…

そうして、動かなくなったシャルムのところに…

10メートル…9メートルと…近づいて来たナインクールが…

シャルムの倒れた場所のすぐ近くまで行くと

「よく頑張ったな…

褒美ほうびにとどめを刺してやろう…」

右の手の平を、シャルムに向けるが…

その時…

「むっ…」

何者かの気配を感じたナインクールは、

シャルムに向けた右手を下ろして

「誰だ…」

シャルム達が来た場所から、やって来る…何者かに声をかけると…

その何者かの影は、だんだん大きくなり

「子供を痛めつける、お前を見過みすごせなくなったんだチュウ…」

その大きな影は、やがて…後ろの2本足だけで歩くねずみの姿に変わっていく…

そして…ナインクールは、9メートル…8メートルと、自分の方に近づいて来る…灰色の鼠に、

「ベンチュウか…何しに来た?」

ここに来た理由を問うと

ベンチュウが前足を使わずに、立って歩きながら

「もちろん、お前を止めに来たんだチュウ…」

そう言って、ナインクールに近づいて来るので…

それを聞いて…ナインクールは、

「オレを止めに?」

身体の周りから…まがまがしい赤い光のオーラを発光させて、そのあと…

「ほう…

面白い冗談じょうだんだ…」

そう言って、不敵な笑みを浮かべるのだった…

《つづく…》



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