表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/59

第25話《その希望は、見方を変えれば絶望となる…》

ポチと一緒に、子供達がいた場所を追い越したシュナウゼンは、

そこからさらに50メートルくらい先に進むと…そこで一度、立ち止まり

「うん。この場所だな」

…そう言って

そんなシュナウゼンの隣で立ち止まって、ポチが

「どうしたんですか?」

シュナウゼンの足元を、光の球で照らすと…

シュナウゼンから

「ここの下に希望の箱がまっているんだ。

オレは、つかれてて…あまり体力が残ってないから…君がり出してくれないか?」

そう言われたのだが…ポチとしては、地面が固そうなので

「やっては、みますけど…掘れないかもしれません…」

右手に持った光の球をシュナウゼンに渡してから…

あまり期待しないで下さいね…と言おうとした時…シュナウゼンに

「大丈夫だ。穴を掘っても…手がいたまないようにオレが魔法をかけるから…

まずは、リュックを置いて来てくれるか?」

シュナウゼンにそう言われて…ポチは、

「うぉふ。」

…そう返事をしたあと、

少し離れた場所に行って…そこで、背中に背負ったリュックを地面に置くと

そこから元の場所に戻ったところで…

ポチに向かって、広げた右手を突き出している…シュナウゼンが

「英雄の母たる銀足の女神よ…鋼の源たる汝の息吹を我が手に集め…

鉄の器となるための祝福を彼の者に与えよ」

突き出した右手の手の平から青白い光を

「オーラメタリオン!」

…ポチに向かって放つと

その放たれた青白い光は、次第しだいにポチの全身を包み込んでいく

そして、魔法を使ったあとで…シュナウゼンが、その場所を離れる中

その青白い光に包まれた両手を広げて…その手の平を見ながら…ポチは

(なんだろ?身体の周りを何かが包み込んでるような…この感覚は…)

これなら思った通りに穴を掘れるような気がする…と、自分の着ている茶色の服の両手の腕のそでくし上げてから

その場所に両足の膝をついたポチの両手が

「俺の両手よ!モグラのように突き進め!!」

ココホレワンワン!!ココホレワン!…と両手を使って、地面に穴を掘ると

その両手が…まるで畑の中をたがやくわのように…地面を、サクサクと掘り進んでゆく

シュナウゼンは、そのポチの雄姿ゆうしを見ながら…両手をギュッ…と握りしめて

「頑張れポチ!ここが君の最大の見せ場だ!!」

…と、叫び声をあげるのだった…

―――――――――――――――

ちょうど、その頃…

地面の上に正座したシャルムの膝の上で…横になっていたシャリムが目を覚まして…

緑色に戻った瞳を、うっすらと開けると

「シャルム…」

膝をかしてくれたシャルムの名前を言ってから…身体を起こして…

そのあと…キョロキョロと辺りを見てから…シャルムに

「…ポチさん達は?」

珍しく少し動揺どうようした顔で確認すると…

それを聞いたシャルムが

「シュナウゼンさんと一緒に、先に言ったよ」

それがどうかしたの?…と聞こうとした瞬間

シャリムは、あわてたように

「いけない!」

駆け出そうとするが…その時

「うっ…」

右足に、ズキィン!…と痛みが走り…

そのせいで前の方に転んでしまう…

そして…近くで、それを見ていたシャルムが

「シャリム!」

うつ伏せに倒れた金の髪の少女の名を叫びながら…そばに寄ると…

その少女であるシャリムは、ググッ…と立ち上がりながら

「シャルム!!肩をかしてください!」

自分の身体の左側にまわりこんだシャルムに頼んだシャリムは、シャルムの左肩に左手を置いて

そのまま肩をかして一緒に歩いてくれるシャルムに

「え?い…一体どうしたの?」

…と聞かれた事に対して、シャリムは

「説明は、あとです!今は、とにかく急いでください!!」

そう答えながら…身体の右側で支えてくれるシャルムに…

「わかった」

歩いている足を早めてもらうのだった

シャリム

(ポチさん…)

―――――――――――――――

一方、20センチくらいの深さに掘り進んだ時だろうか…

両手を、犬かきのように…使って、地面を掘っていたポチの右手に、その時…カチッ…と何か当たった

どうやらそれは、石で出来た何かのようなので…ポチは

「これか…」


それが取れるように…周りを掘った事で…

ポチの掘った穴の中から…20センチくらいの石で出来た箱が姿を現す

ポチは、土でよごれたコボルトの両手で、それを穴の中から取り出して…地面の上に置くと

その石で出来た箱のフタのところに…

古代文字のようなものが、数多く刻まれていたので…シュナウゼンに

「もしかして…これって、シュナウゼンさんが昔、埋めてた物なんですか?」

タイムカプセルみたいな物じゃないか?…と、近くにいたシュナウゼンに聞くと…

黒いくついた…長身のシュナウゼンは

「まぁそんなところか…

実はさ…その箱に、オレは、あるジンクスをかけてるから…出来れば、その箱を埋めたオレ自身は、開けたくないんだ。

だから君が、その箱を開けてくれないか?」

そうポチに頼むので…

頼まれたポチは、その箱を両手に取ったまま

「うぉふ。わかりました。」

立ち上がった、その時に

(あれ?思ったより軽いな…これなら片手でも…)

そう思ったポチは、そのあと…右手の上に置いた

その箱のフタに左手をかけて開けると

ピカッ!!

突然!開けた箱の中から光が飛び出してきたので

「うおっ!」

思わず目を閉じたポチが、それで、びっくりしたせいで…思わず左手に持っていたフタも落としてしまう

しかし…ポチの間近にいたシュナウゼンが…

「この時を待っていた!!」

その光を浴びながら…目を閉じると

・・・・・・

ファサ…と、腰まで流れる白い髪は、漆黒しっこくの色に染まり…

黒い魔法衣は、その色とは逆の…純白の色に染まる

そして、そんなシュナウゼンが、閉じた目を開いた時…

青かった瞳の色は、血のような…赤い色に変わっていた…

一方…白黒の視界だったにもかかわらず…

箱を開いた時の光が、あまりに強かったために…

びっくりして、目を閉じたポチが…目を開けた瞬間

!?

ゴオォ!…と、突然吹いた強烈な風が、ポチを周囲の壁の方へ吹き飛ばし

吹き飛ばされたポチの背中が、ドン!…と壁にぶつかった時…その衝撃で

「がっ…」

犬のような口を開いたポチが…

そのまま、ズルッ…と、壁にもたれかかるように…くずれ落ちる

そして…ポチを吹き飛ばした強風が影響してか…

リュックと一緒に置いた光の球が、コロコロ…と地面を転がっていく中

ポチが壁にぶつかった時に、ポチの右手から離れた…石の箱が地面に落ちた時

「ポチさん!」

少女の声と共に、黄色の光と青白いオーラの光が近づいてくる

そして…青白いオーラを放つシャルムに

身体を支えられたシャリムが10メートル近くまで近づいた時…

シャルムに肩をかしてもらいながら歩くシャリムは

「やっぱり神の見えざる手は、あなただったんですね…

シュナウゼンさん…いえ…ナインクール=シュナウゼン…」

シャルム

「えっ!?」

驚く、少年の青い視線の先で

光の球が遠のいたせいで…薄暗い闇に包まれた男は、口元に、ニヤッ…と笑みを浮かべた…

《26話へ続く…》



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ