第4戦《解ける秘密と新たな秘密》
シャリム
「あのメタルグリーンさんは、幻です。」
、
隣にいるシャルムに、そう伝える
シャリムの白いローブの下の方が、上昇する風になびいて…フワリと舞う。
、
シャリムは、まるで、風で舞い上がる、スカートを抑えるように…
…白いローブの、お腹の下のところを…
「きゃっ。」
必死に両手で、隠しながら…うしろにいる、シャルムに
「良く見てください。」
…と、説明を続けると
…
シャルムは、恥ずかしそうに…シャリムから、顔を反らしながらも…
、
「見ろって、そんな大胆な事を言われても…」
…出来る訳ないよ。…と、なんとか話すので…
、
それで、シャルムが、何を言いたいのか…分かった、シャリムの頬は、みるみる薄紅色に染まっていき…
、
「違います!どこを見てるんですか!?」
、
シャルムのいる、後ろを向いて…
上昇する風が、止むまで…ローブの、お腹の下の所を、ずっと両手で抑えて
…
風が止んだ事で、風の壁がなくなると…
お腹の所から、両手を離した、シャリムは、身体の向きを、鎧剣士がいる方に戻してから…
、
「わたしじゃなくて…前を良く見てください。」
、
うしろにいるシャルムに、ここから…9メートル先にいる…鎧剣士を見るように、強い口調で話すので
…
シャルムは、シャリムの隣に進んでから…
9メートル先にいる鎧剣士の方に目を向けると…
…
なんと!鎧剣士は、腹の方が切断されたはずなのに……
そのまま…右手に持った刀を横に構えて…
その横に構えた刀に、左手をそえる、格好を維持しているではないか!
、
どう見ても、不自然な…9メートル先にいる、鎧剣士を見ていたシャルムの視界が…
(あれ?)
だんだん、ぼやけていくので…
そこで、シャルムは
…
―――――――――――
シャリム
「あのメタルグリーンさんは、幻です。」
…という、隣の少女の言葉を思い出し…
…
シャルム
「うすうす感づいていたけど…」
、
くやしそうな顔で…敵の作戦に、かかっていた事を、自覚する
…
やがて…
シャルムの視界が元に戻ると…
10メートル先で…
右足の膝を立て…左足の膝を地面につける、しゃがみ方をした…鎧剣士の姿が見え始め…
、
シャルムは、10メートル先の方で…
その、しゃがんだ鎧剣士の刀を持った右手が、右側の方に伸びているのを見て
…
(剣が、右側の方に伸びている…
やっぱり、あの時…剣は、振られていたんだ…)
。
シャルムは、さっき飛んできた風の刃が…
鎧剣士が、しゃがみながら…
横一文字に、刀を振った事で、出来た衝撃刃だという事を、知って
…
隣にいる、金の髪の少女に…
、
「シャリムは、知っていたの?」
…と、聞いてみると
…
それを聞いたシャリムは
「はい。」
そう頷いて……それから…
…
「わたしとシャルムがレーザーフレイムを使った時、メタルグリーンさんの両肩を、すり抜けましたよね。」
、
前にあった出来事を、シャルムに確認して
…
それにシャルムが
「うん。」
…と、頷くと……隣から、シャリムが
「おそらく…あの時
わたし達の目に見えていたメタルグリーンの後ろで…本物のメタルグリーンさんは、しゃがみながら…
攻撃する機会を狙っていたのでしょう…」
。
先程まで…シャルム達の目に見えていた鎧剣士は、幻みたいなものであった事を説明したので
…
シャルムは、それから
…
(なるほど…つまり…あの真空刃は…
僕達の目に見えていたメタルグリーンの後ろで…
本物のメタルグリーンが、しゃがみながら、剣を振るった事で、出来たものだった訳か…)
。
そこまで考えると
…
そこで、待てよ…と、ある事に気づいて…
、
(…剣を振るう…剣…!!そうか!?そういう事か!)
、
シャルム
「前に、剣が光った事で、なんか違和感があった時があったけど…
あれは、魔法をかけられていた感覚なのか…」
。
思い出したように話すと
…
隣から、シャリムが
「そういう事です。」
…と、それが言いたかったのだと言いたげに
…
「シャルムの言う通り…
…おそらく…わたし達は、あの時…メタルグリーンさんの持った剣から…催眠術のようなものをかけられて…
メタルグリーンさんが、ずっと、あの場所にいると…思いこまされていたのでしょう…」
。
仮説も、おり混ぜて話すので
…
その話を聞いて、シャルムは
…
「つまり…メタルグリーンが、魔法で幻を作りだしたのではなく…
魔法にかかった僕達の意識が、メタルグリーンの幻を作り出していたって、事?」
。
だから、一定の位置に、鎧剣士がいる…と思いこんでいたのか…と、理由を知るが…
、
シャルム
(だけど…それなら…なぜ?すぐに、メタルグリーンが、かけた魔法が解けたんだ?)
、
それに…その催眠術のようなものに、かかっている間…シャルムは、一瞬だが、意識を…他の誰かに乗っとられていたような気がした…
。
(あれは、一体?)
…と、シャルムが考えているあいだに
…
シャリムは、10メートル先にいる…鎧剣士が持った刀の方に、視線を集中させて…
。
「たぶん…あの剣そのものが、魔法の力を秘めているのでしょう…。」
…と、そう話しかけてくるので、
。
シャルムもまた、鎧剣士の方を見て
…
「でも…武器で使える魔法って、確か…使用回数が決まっているんだよね…」
。
だから…すぐに次の魔法を使わないんだよ…と、隣にいるシャリムに確認すると…
、
シャリムも…
「はい。」
…と、シャルムの考えに、同意して…
、
シャリム
「それに、あの魔法を、
一度使えば…相手も警戒するのが、分かっているでしょうし…
そう何度も、使えないのでしょうね…」
。
そう話すのを、聞いて…シャルムは
、
「じゃあ…このまま離れたところで、魔法を使えば…」
…大丈夫かも、しれない…と言いかけると
…
シャリムは、それを聞いて…
「それは、どうでしょう…。」
…と、金色の眉を寄せるので
…
シャルムは、隣の方に顔を向けて…
「どういう事?」
…と、シャリムに聞くと……シャリムは
、
「わたし達が、このまま…魔法で遠距離攻撃を続ければ…
メタルグリーンさんも、それが、はね返されるのを覚悟で…また真空刃を使ってくるかもしれません…」
。
はね返された真空刃も、
左腕の、あの盾みたいな所で防げば、いいわけですし…と、シャリムなりの予測も含めながら話し…
、
そのシャリムの理屈を聞いて…
シャルムは、シャリムの方に向けていた顔を、鎧剣士の方に戻してから…
、
シャルム
(消耗戦になるかも、しれない訳か…)
。
「一体どうすれば…」
有効な手になるのか…考えこんでいるところで…
、
隣から…シャリムが
「羽つきを使いましょう…。」
…と、突然、言い出す
。
それを聞いたシャルムが
「羽つきを!?」
…と驚く、
羽つきとは、一体なんなのだろうか
・・・・・・?
《つづく》
―――――――――――
―――――――――――
マジックアイテムについて…
、
武器や防具で使える魔法は…精神力を、まったく消費しないが…その変わり、使える回数が限定されているため…
魔法を使いすぎると…その使った武器が壊れてしまう…
。
それでは、どのくらい魔法を使えば、武器が壊れるのか?
…
それについては、
1回、使えば壊れるものがあれば…10回以上、使っても、壊れないものもあるので…
くわしくは、まだ良く分かってないところが多いが……
一般的には…強力な魔法を使えるものほど、回数が少なく…
弱い魔法のものほど、使用回数が多く…何度でも使えると、いわれている…。