第4戦《最初のトリック》
シャリム
「あれは、鎧剣士メタルグリーン!」
、
シャリム達の10メートル先にいる…その全身鎧に身を包んだ剣士は
、
1メートルは、あろうか…刀と呼ばれる東洋の剣を、右手に握っていて…
その左腕には…円形の盾ような、鎧の一部分があった。
、
―――――――――――
一方、離れた場所で…
そのまま立ち止まっている、シャリム達の前で、
シャルムは……
「僕がやるよ…。ポチは、うしろに下がって…」
。
ポチ
「分かった。
じゃあ、俺は、後ろから、応援しているな…」
。
シャルム
「ありがとう。」
、
…そんなやり取りをして、ポチを、うしろに下がらせたあと…
、
約10メートル離れている…鎧剣士に向かって、右手を突き出すと
…
その突き出した右の手の平の前に、シュワシュワ…とエネルギーをためて…
そこから…
、
「ファイヤァボォル!」
10センチくらいの火球を放つ!
、
その時、10メートル先にいる…鎧の剣士は、盾のようなものがついている左腕の部分を…
火球が飛んでくる方向まで動かして
…
ボシュッ!
、
その方向から、飛んできた火球を防ぐと
、
防いだ盾のところで…その火球が、かき消されていくので…
、
それを見たポチは、シャルムのうしろで
…
(同じだ…あの時と…)
、
《ゴーレムもどきの結界の外側で》シャルムが、白い円柱に向かって…火球の魔法を使った時の事を思い出していた…
。
そんなポチの前で、シャルムも…
10メートルくらい先にいる…鎧剣士の左腕のところについてる、盾のような部分を見て…
、
「あの左腕の部分…やっぱり対魔法用のものなんだ…」
、
予想は、していたけど…と、くやしそうに話すので
…
ポチは、シャルムのうしろから
…
「じゃあ、
あの盾みたいなところは、魔法を防げるように…強化されてるって事か?」
…と、シャルムに事情を聞くと…シャルムは
、
「そうだね…
とにかくメタルグリーンの左腕の動きを見て…
この距離じゃ、僕の魔法が通用しないって事が、分かったよ。」
、
そう言って…くやしそうにしているところで…
シャリムがシャルムの隣に、やって来て
…
「じゃあ、2人で同時に魔法を使うのは、どうでしょうか?」
、
そう話を、持ちかけてきたので
…
シャルムは、その話から
(そうだ…
確かに2人で、同時に魔法を使えば…左腕だけでは、対応できない可能性が大きい…)
、
そう考えて…そのあと…
、
シャルム
「シャリム。」
、
シャリム
「はい。」
、
シャルム
「僕は、左肩を狙うから…
君は、右肩の方を狙って!」
、
「はい。」
…と返事を返すシャリムに指示を出して…
、
そのあと…指を立てた、右の人差し指と中指の指先を…
離れた場所にいる鎧剣士の方に向けてみると…
、
シャルム
(あれ?構えが変わっている…)
、
シャルムが目を離しているあいだに、鎧剣士は、右手で握った刀を横に構えて
…残る左手を、刀の刃の所にそえる構えに変えていた…
。
その鎧剣士の構えを見た…シャルムは、
(ん?今
一瞬、剣が光ったような気がしたけど…)
、
そして…その時、頭の中に違和感のようなものを感じたのだが…
すぐに、気を取り直して、シャリムに
…
「それで、3秒後に…レーザーフレイムだよ。」
…と、指示を出して
、
それに対してシャリムが
「はい!」
返事を返してから…すぐに、鎧剣士の左肩と、右肩を、狙って…
、
(3…2…1…)
、
シャルム&シャリム
「レエザアフレイィムッ!」
、
キュピーン!…と、2人の人差し指と中指の指先から…
レーザービームのような炎が、一直線に、鎧剣士に向かっていく…
。
そして…その指先から、放たれた鋭い炎は、一瞬で、
10メートル先にいる…鎧剣士を貫いたかに見えた!
…しかし…
、
スカッ…スカッ…
、
高速で向かっていった、その2つの炎は、
鎧剣士の左肩と右肩から、すり抜け…そのまま後ろの方へ飛んで行く
…
シャルム
「何!?」
、
その光景を見たシャルムが、青い目を大きく見開くと…
その隣で、シャリムが
「やりますね…」
。
10メートル先にいる…鎧剣士を見つめたまま、一言つぶやく…
。
そんな、シャリムの横顔を見て…
シャルムが、どういう事なのか…と、聞こうとした時…
シャリムの
「!?来ます!」
…という、かけ声と共に
、
10メートル先の鎧剣士の方から…カマイタチのような衝撃が
、
ビュオッ…と吹きすさぶ風となって、シャルムの方に襲いかかる…
、
しかし…その時シャリムが、シャルムの前に飛び出し…
、
シャリム
「させません!?」
、
…その左手を…左下から、右上の方にまで…
すくい上げるように…振り上げると!
、
そのすぐ前の地面の方から…ゴッ!!と、風が上昇して…
、
その上昇した風が…シャリム達の前を守る、風の壁となって
…
まるで鏡が、光を反射するかのように…風の壁が、鎧剣士が放つ、真空の斬撃を、はね返すと…
、
そのはね返された真空の刃は…鎧剣士の方に向かって行き…
、
鎧剣士の、鎧の腹の部分を横一文字に切断した…
、
それを見たシャルムは
、
「やった…のか?」
、
鎧剣士の鎧が…あまりに、あっさりと斬られたので…不思議に思っていた…
。
…それに、シャルムには、どうしても、ひっかかる事があった…
。
(いつ…真空刃を出したんだ?)
、
そう…シャルムが見る限り…
鎧剣士は、ずっと…刀を横に構えたままで、一度も動いては、いなかった…
。
シャルム
(どういう事だ?一体…)
、
…そんなシャルムの考えを、肯定するかのように…シャルムの前に立っていた、シャリムが
、
「あのメタルグリーンさんは、幻です。」
、
エメラルドの瞳で、前を見つめたまま…静かに話す
。
…それが、本当だとしたら…本物の鎧剣士は、一体…どこにいるのだろうか
・・・・・・?
《つづく…》