第24話《デタラメ二百+嘘八百=針千本のーます》
ポチから、左の前足にダイヤを渡された…ベンチュウが
、
「通っていいチュウ。」
…
2本のうしろ足だけで、その場から離れたので…
、
ポチは、うしろを振り向きながら…
「さあ、行こうか…」
。
そこから、少し離れた場所で待っていた…
シュナウゼンとシャルムに合図をすると…2人は
、
シュナウゼン
「合図だ。」
、
シャルム
「行きましょう…シュナウゼンさん。」
、
シュナウゼン
「ああ…」
、
そう言って…ポチのいる所まで、歩きだし…
、
そうやって向かって来る2人とは別に…ポチの隣で
…
シャリム
(うう…なにか納得できないものが残るけど…)
、
…これが大人の事情というものなのか…と、
ため息を吐く、シャリムと一緒に、その場を後にした…
。
―――――――――――――――
一方…
洞窟の奥へ進む…ポチ達の背中を、
うしろの2本足で立ったまま、見送っていた…ベンチュウは
、
「まったく、チーズ100個なんて…
せめて10個くらいにして、リアルな嘘にしろっチュウに…」
。
過去の会話に、ダメ出しをしたあとに
、
(まあ、満腹の気分も味わえたし…
これで、勘弁してやるチュウ…)
。
左の前足に、丸くて小さなダイヤを持ったまま…心の中で、そう話し
…
後ろの2本足だけで…その場所を、去っていくのだった
・・・・・・。
―――――――――――――――
一方…
シャルムから手渡された光の球を、右手に持って…
シャルムと一緒に、先頭を歩いていたポチは、
ベンチュウとのやりとりを思い出し
…
(うぉふっふ…狙い通りだ…
まさか…シャリムの涙で、こんなにうまくいくなんて…)
、
ポチ
「まさに…泣き落とし」
、
ウマイこと言ったと、思っているのか…
完璧だ…完璧すぎる…と、ニヤリ…と笑みを浮かべていると
…
隣からシャルムが、
「完璧すぎるんじゃなくて、台本すぎるの。
ワルい顔してるよ。ポチ。」
…そう言っている通り
…
ポチの右手に持った光の球の、光が…ポチの悪い顔をさらに引き立てていた…
。
そこに、うしろから…シャリムが
、
「もお、ポチさんったら
ベンチュウさんに、嘘ばっかり言って…
嘘がばれて、ひどい目にあっても、しりませんからね…」
。
そう言って、頬を膨ませると
…
それを聞いたポチが
、
「昔から…良く言うでしょ。デタラメ200、嘘800って…だから許してくださいよ。」
…
そんなふうに謝っても…今度ばかりは…
、
シャリム
「許しま1000。」
…
そうは言いながらも…頭の中で
、
シャリム
(…とは、言ったものの…相手は、こちらの思惑を知っていたな…。
あの様子からすると…)
、
実は、そんな事を考えていたのだが
…
ベンチュウに見逃してもらったとは、知らずに…
シャリムの前を歩くポチは、
「ニョフォフォフォフォ。」
…浮かれていた…
。
そんな前の様子を見て…シャリムが…
(どうしよう…仲間の役に立って、嬉しいんだろうけど…)
、
実は、相手の思惑に乗せられていた事は、黙っていた方が、いいのかな…と、悩んでいると…
、
シャリムの隣を歩く、シュナウゼンから
…
「どうした?何か迷っているようだけど…」
、
顔に出たのか…その事を知られたので…シャリムは
、
「あ…いえ、何でもありません…」
、
今は、ポチに話さない事に決めてから…シュナウゼンに
、
「そう言えば…シュナウゼンさんは、
この先に何があるか…知ってますか?」
、
少しでも情報が、欲しいところなので…その事を聞くと
…
それを聞いたシュナウゼンは、何かを思いだすように…
顎に、右手を近づけて…
「…希望の箱…」
、
それに対してシャリムが
「希望の箱?」
…と、一度、聞き返すと
…
シュナウゼンは、
「うん。それが…この先にある目的の場所の謎を解く鍵だと…
オレの記憶が言っている…」
。
そう言って、顎から右手を離し
…
それを聞いたシャリムが
「その希望の箱が、どんな形をしてるか知ってますか?」
…と、尋ねると
…
シュナウゼンが、それに対して
、
「今は、わからない…
でも、きっと、思い出せる…そんな気がする…」
。
それだけは、わかるんだ…と、答えた時
…
2人の前を歩くシャルムが…
、
「見つけよう。希望の箱を!」
…と、力強い言葉で言ったあと
…
岩や土だった洞窟の周りの壁が、
いつの間にか…銅のような金属に、変わっていた事に気づき
…
シャルム
「まさか…ここから先は、鉱洞みたいになってるのかな…」
。
周りを少し見渡したあと…また、洞窟の奥へ行こうと…視線を戻した時、突然
!
ビュオッ!
、
…洞窟の奥の方から、何かが飛んできて!
、
シャルムの右耳の下にある髪のところが、その何かによって切られ
…
その切られた髪が、ハラリ…と、地面に落ちる。
…
そして…そのせいで、立ち止まったシャルムの隣で、それを見ていたポチが
…
「ヒイイィー!」
…と、悲鳴をあげて
、
それを見てシャルムが…
「なんで!ポチが悲鳴をあげるんだよ!?」
、
そう…隣のポチに、叫んでいるあいだに
…
2人のうしろで…シュナウゼンと一緒に、立ち止まっていた…シャリムが
、
「…今のは、真空刃ですね…。ポチさん。
光の球で、奥の方が見れるようにしてもらえませんか?」
…そうポチに頼むので
、
ポチは、
「う…うぉふ。」
、
戸惑いながらも…
洞窟の奥を見ようと…光の球で照らすと…
…
…10メートル先の方に…
全身を、メタルグリーンと呼ばれる色の、鎧で包み込んだ剣士がいるのを発見する…
。
そして…その時
シュナウゼンの隣で、立ち止まっていたシャリムが
、
「あれは…鎧剣士メタルグリーン!」
、
私達の世界の西洋鎧に似た、メタルグリーンの鎧に…全身を包み込んだ剣士の名前を叫んだ。
、
亡霊が…緑の全身鎧に、身を包んだといわれる、噂の剣士…
、
はたして…星宮が言っていた魔法使いが、この剣士に勝てない理由とは
・・・・・・?
《第4戦へ続く…》