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第22話《その名はベンチュウ》

シャリム

「わたしが行きます。」

シャルム達が心配をしながらも見守る中…

シャリムは、10メートル先にいる…全長2メートルはありそうな黒っぽい灰色の毛におおわれた鼠の方に近づいていき

(怖いのは相手も同じはず…

わたしの予測では、ここから半分以上距離をちぢめたら…わたしを怖がって、おそいかかる可能性が大きい…

ならその前に…)

大きな鼠との距離が9…8…7…6メートルに近づいた時…

そこでシャリムが突然、左のひざをついて、しゃがみこんでから

「トークマキング!」

掛け声と共に地面にシャリムの右の手の平を叩き込む…

すると右手の手の平を叩きつけた場所から…光の線が地面を伝って6メートル先の大きな鼠に向かって伸びていき…

その光の線が大きな鼠に届いた時…それでびっくりした黒っぽい灰色の鼠は

「チュウウウー!!」

4本の足で5メートルほどうしろの方に逃げ出し…そこから大きな鼠は、

近づいてくるシャリムの方を振り向いて

大きな鼠

「チュウウ…」

警戒けいかいすると…なんと鼠の頭の中に

シャリム

「ネズミさん。

わたしの声が聞こえますか?」

すでに5メートル近くまで近づいて来ているシャリムの声が聞こえてくるではないか!

それでシャリムと話せるかもしれない…と思った大きな鼠は、2本の後ろ足だけで立ち上がりながら

「お前…

ベンチュウの言葉が分かるチュウ?」

そう話しかけてくるので、それを聞いたシャリムは…ベンチュウという名前の大きな鼠の2メートルくらい手前で立ち止まり…

「はい。

できれば戦わずにこの先に行きたいのですが…

ここを通してもらえますか?」

そう言って、お願いすると…ベンチュウは

「考えなくもないけど…こっちからもお願いがあるチュウ」

シャリム

「なんでしょうか?」


ベンチュウ

「この世界には、チーズなる美味なものがあると聞いたチュウ…。

おれは空腹だから、そのチーズを食べたいチュウ」

シャリムとそんなやりとりをして

・・・・・・

その様子を15メートルくらい離れた場所から見ていたシャルムは

「何をやってるんだろう?なんか交渉こうしょうみたいなものをやっているように見えるけど…」

そう言うと…うしろからポチが

「どれ…俺も行ってこよう…。

シャルムは、シュナウゼンさんとここで待っててもらえないか?」

そう話しかけてくるので…それを聞いたシャルムは

「分かった。

僕とシュナウゼンさんは、ここから少し進んだところで待ってるから…

ポチは、シャリムの手伝いに行ってきて…」

ポチ

「わん。」

そこからシャリムのいる場所に向かって歩くポチを…シャルムが右手に持った光の球で照らしながら見送るのだった…

―――――――――――――――

一方シャリムは…両目の色を緑から紫色に変えながら…

「わかりました」

ベンチュウが持ちかけた提案ていあんに納得し…そのあとベンチュウに対して

「では、わたしの方に頭を寄せてもらえますか?」

そう言って、それを理解したベンチュウが

「?…分かったチュウ」

4つ足に戻ってから…シャリムの方に頭を近づけてきたので…

シャリムは、そのベンチュウの頭部に右手の手の平を近づけて

「我が手に宿る光よ。

幻をうつつに感じるちから

定められた時の中でこの者に与えよ」

4つの足を地面につけた事で…低い位置にあるベンチュウの頭に、シャリムは近づけた右の手の平を…キュイーンと光らせて

「リアグラフティ!!」

手の平の前で輝く光の力で…ある情報をベンチュウの頭の中に送りこんだあと…ベンチュウから2メートルくらい離れたシャリムは

それからまた右手を前に突き出してから…その手の平を光らせると

突き出した右手の前に…なんと1メートル近くもあるチーズみたいなものが出現し…

その目の前に出現したチーズみたいな物体にベンチュウは

「…こ…これが…チーズだチュウ…」

それからチーズみたいなものを、美味うまいチュウ。美味いチュウ…と食べはじめ…

それを見ていたシャリムのところにポチが近づき

ポチ

「あのチーズは、魔法で、作った幻なんだろ?

幻って食えるもんなのか?」

そう言って、シャリムの隣に立つと…

ベンチュウとの通信を一時中断したシャリムは、隣のポチを見上げながら

「それは、できませんけど…

リアグラフティの魔法で…ベンチュウさんの頭の中にある満腹中枢を刺激する事で…ベンチュウさんが、じょじょにお腹がいっぱいに感じるようにしました」

つまり…そのための情報を送られたベンチュウの脳は…だんだん満腹になるように働きかけている事を…ポチに説明して…

それに対してのポチの

「だけど…

それだったらチーズのニオイや味は、どうしたんだ?それは、満腹中枢を刺激しげきしただけじゃ説明がつかないだろ」

…という質問にシャリムは、

「それはサーチの魔法で、ベンチュウさんの情報を調べたあと…ビナーフローレの魔法で、広げたニオイの一部を…ベンチュウさんの好むような食べ物のニオイに変化させた事で解決しました。」

だからベンチュウの近くは、バニラとは違う香りに包まれている事を話し…

それを聞いたポチが

「なるほどな…食べ物の味の半分以上は、ニオイで決まる事が多いと聞いた事がある…。

そこを利用した訳か…」

そう言って、納得すると…シャリムは

「ただチーズの幻は、ベンチュウさんが食べなくても…だんだん減っていくようにしてあります…。

そのトリックにベンチュウさんが気づかなければいいんですけど…」

その事を心配するが…問題は別のところで起きた。

それは…チーズがだんだん減る事で小さくなっていってたチーズが…

そのあとすぐに消えた時、ベンチュウが

「も…もう一個…

保存食にしたいから…もう一個だけしいチュウ…」

そう頼んできたので、さすがのシャリムも

(どうしよう…

このままじゃキリがない…)

もうお手上げだと…こまっていたところで…隣にいたポチが

「俺の出番だな。」

そう言って、シャリムの一歩前に進み出る。

はたしてそんなポチの秘策ひさくとは

・・・・・・

《23話へ続く…》



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