第20話《古の文字の謎を解け》
シュナウゼンを同行者に加えたポチと子供達は…
光の球を持ったシャルムと、その隣を歩くシャリムを先頭にして…洞窟の中を歩いていると
…
ポチ
「地面が湿ってきたな…」
。
足についてる肉球から…それを感じたポチの隣から
シュナウゼンが、
「ああ…水たまりのある場所が近いんだろう…」
。
そう話すので、ポチが
…
「えっ?この先に、そんな場所があるんですか?」
そう言って、白くて長い髪をしたシュナウゼンの方を見ると…
シュナウゼンから…
「ああ…
じゃなければオレが、ここで生きている説明が、つかないだろ…」
。
そう言われて、ポチも
「それも…そうですね」
…と答えると…シュナウゼンは
、
「このまま先に進むと…右側の壁に空洞のような大きな穴があいてる場所がある…」
。
シュナウゼンの話では、その空洞は…人が一人通れるくらいの大きさで…
その空洞をずっと進んで行くと…
昔この洞窟を作った人達が使っていたであろう…給水場らしき場所にたどり着くらしい…
。
シュナウゼン
「だけど…そこにある給水場は、どうやら遥か昔の時代に作られたものらしく…
今では、すっかり給水場の跡みたいになってて…水たまりだけが残っているんだ…」
。
さらにその水たまりの場所には…たまに体長60センチくらいの大きな鼠が水を飲みに現れ
…
シュナウゼンは、訓練して使えるようになった火球の魔法で、その大鼠を焼き殺して…
今日まで食いつないできたという…
だがその水たまりの水も…だいぶ枯渇して、なくなってきた事で…
不安になりはじめていた所で…ポチと子供達に出会ったという事らしい…
。
歩きながら…そう話すシュナウゼンの隣で、ポチは信じられない思いでいた…
。
彼は、冷静に話していたが…おそらく想像を絶するような環境の中で生きてきたのだろう…
。
ポチ
(第一、鼠だけ食べていたら…食あたりを起こすかもしれないし…)
。
補給もしなければならない身体の構成要素にも偏りが出るだろう…
。
(水にしたってなあ…)
水分以外は、補給できる部分が限られているし…
もし硬水が混ざっていれば命にもかかわる…
。
シュナウゼン
「だけどここにいるあいだ、いつも思っていた…
このオレが死ぬはずがないとな…」
。
おそらくその思いが、シュナウゼンを今まで生かし続けたのだろう…
。
ポチ
(すごい人だ…)
。
そう思うポチの目に…右側の岩壁に2メートルくらいの大きな穴があいているのが映る…
。
どうやらシュナウゼンの隣を歩いているうちに…
さっき話していた…給水場跡に通じる空洞が見える所までたどり着いてしまったらしい…
。
そこを通りすぎて…さらに先に進むと…シュナウゼンが
、
「しかし子供達を前衛にするなんて…気が進まないな…」
。
ポチにそう話しかけてきたので…それに対してポチが…
「でも…
シャルムとシャリムは、魔法の他にも体術も使えるようですし…
情けない話ですけど…ここは、二人に頼るしか…」
ないですよ…と、言おうとした時…
ポチの膝が、ドスン…とシャルムの腰に当たったので…
ポチが、いつの間にか立ち止まっていたシャルムに
、
「どうした?」
…と、声をかけると
…
シャルム
「行き止まりだ…」
。
胸の上のところに青い宝石の飾りのついた黒いローブを着ているシャルムの言う通り…
その前には、見慣れない文字が刻まれた…岩の壁があるだけだった…
。
そこでポチは行き止まりの壁に刻まれた…文字らしきところを見て
、
「なんて書かれてるんだ?」
…とシャルムに聞くと…
シャルムは右手に持った光の球で、その壁に刻まれた文字らしきところを照らしてから
…
「壁には…壁は、汝の心の中にあり…汝の真実は今、目覚めん…と書かれている…」
。
そう話すので…立ち止まったポチが
、
「どういう事だ?」
…と前にいるシャルムに聞いても
…
「うーん…」
どうやらシャルムにも分からないようだ…
。
だが、そこでシュナウゼンが
、
「でも…この壁に書かれた文字の意味を知らない事には…」
先に進めない…と言おうとした時…
銀の髪の少年の隣にいた…金の髪の少女が
、
「壁は汝の心の中にあり…なるほど、そういう事ですか…」
。
謎が解けたような口調で話し…少女のうしろから
…
「なにか分かったのか!?」
…と、聞いてくるポチの方を見てから…シャリムは、前方にある文字が刻まれた…行き止まり壁の方に視線を戻し
…
シャリム
「ポチさん…確か冒犬ミステリーでは、よく壁に隠し通路があるんですよね…。」
、
いきなりポチに、そんな事を話してくるので…
、
ポチ
「わ…わん。確かにそうだけど…それがどうかしたのか?」
…と言うコボルトの言葉をきっかけに…みんなの視線がシャリムに集中する中…シャリムが
、
「こうゆう事ですよ。」
…
行き止まりの壁に向かって歩いて行くと
・・・・・・
なんと!壁のところまで歩いたシャリムの身体が…壁の中へと吸い込まれていくではないか!
それを見ていたポチとシュナウゼンが呆然とする中…シャルムが
、
「そうか…そういう事か…」
右手に光の球を持ったままで、壁に向かって歩いていくと
・・・・・・
シャルムも壁の向こう側に消えていったので
…
シュナウゼン
「オレ達も行こう。」
、
子供達に続けとばかりに…壁の方へ行くシュナウゼンに続いて…ポチも…
(大丈夫だよな…)
。
不安に思いながらも…壁の向こう側へと消えていくのだった
・・・・・・
。
はたして?その先には…何が待ち受けているのだろうか…
。
《21話へ続く…》