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第19話《3つの制約》

「オレの名前は、シュナウゼン」

薄汚うすよごれた黒い魔法衣まほういを着た白髪の男は、

目の前にいるポチと…そのうしろにいる子供達にそう名乗ると

「もしかして君達が、紙に書かれていた、運命の者達なのか?」

そんな事をポチ達に聞いてくるので

ポチ

「運命の者達?」

シュナウゼンが言った事に戸惑とまどうポチのうしろで…

シャルムが右手に持った光の球を…シュナウゼンの周囲を中心に照らしてみると…

なんと!さっきシュナウゼンが、あぐらをかいてた場所に紙切れが落ちているではないか!

だから…そこまで足を進めてから…しゃがんで左手に持ったその紙切れを見ると…

(・・・・・・)

その紙には、血のようなもので次のような事が書かれていた…

シャルム

なんじの名は、シュナウゼンなり。

我、これより汝に3つの制約を告げる…。

我、汝に記憶の一部を残す…

汝、その記憶を疑わず行動すべし。

汝、手から炎が出る事を…想像するべし。

こののち汝の元に運命の者達が現れる…

汝、その者達と協力し…この先にある行き止まりの場所にきざまれし古代文字を解き明かし…それを呼ぶべし…」

どうやらそれは、シュナウゼンに対して書かれたもののようだが

シャルム

(どうやらこの人は…魔法使いのようだけど…

この文章の通りだとすると…)

そう考えながら立ち上がるシャルムの横にシャリムがやって来て

シャリム

記憶喪失きおくそうしつのようですね…」

そう言ってくるので…

シャルムは顔をシャリムの方に向けて

「本当にそうなの?」

…と、シャリムに確認すると

シャリム

「わたしが見た限りでは、間違いないように思えますが…」

シャルム

「じゃあ、どうすればいいんだろう…」

シャリム

「…連れて行くしかないでしょうね…。

少なくともポチさんは、そのつもりのようですから…」

シャリムがそう言ったあと…シャルムも…

ポチとシュナウゼンが話しているところに目を向けて…

シャルム

「ポチも変に正義感が強いからなあ…」

シュナウゼンと話しているポチの顔に一度、視線を集中させてから…ため息を吐くと…

隣からシャリムが、

「責任は、わたしがとります。

だから今は、ポチさんの望む通りにさせてあげましょ…」

ね。…と、お願いするようにそう言うので…シャルムは、青く大きな目を半目にしながら

「そしてシャリムの方は、変にポチに甘いと…」

じょじょにほおを薄紅色に染めて…うつ向くシャリムの横顔を見つめながら

シャルム

「まっ…でもあやしいと言う理由だけで…このまま…ここに放って置くのも寝覚めが悪いし…

一緒に行くとしますか」

乗りかかった船だからね…と、シュナウゼンとポチのいる方へ顔を向けて…

感謝した顔でシャリムが

「シャルム…」

自分を見つめるのを横で感じながら…シャルムは

「ポチ。」

シュナウゼンのそばにいたポチに声をかけて

ポチ

「シャルム?」

…と、シャルムの方を向くポチと…

シャルム

「僕とシャリムが先頭を歩くから…キミは、シュナウゼンさんとあとからついて来て…」

ポチ

「分かった。」

そんなやり取りをして、そのあと…そんなシャルムの隣から

シャリム

「…それじゃ、紙に書かれていた、行き止まりらしきところまで行くとしましょう…。」

笑顔で話す白いローブを着た少女に答えるように

シャルム&ポチ

「おおー!」

シャルムとポチは、左手を高高たかだかと上げて…

それに続いてシュナウゼンも…

「お…ぉぉ…」

恥ずかしそうに…小さく左手を上げるのだった

・・・・・・

そして…それからシャルムは、右手に持った光の球で辺りを照らしながら…

シャリムと一緒に先頭を歩いていたが

洞窟の中を進む中で…シャルムは、さっき左手に取った紙をチラッ…と見ながら…

そこに書かれた事について考えていた…

シャルム

(この後、汝の元に運命の者達が現れる…

汝、その者達と協力し…

この先にある行き止まりの場所に刻まれた…古代文字を解き明かし…それを呼ぶべし…か…

つまり…この先に行き止まりの場所があって…

そこに古代文字が書いてあるから…

それをその場で読み上げろ…と言う訳だ…

おそらく…1つ目と、2つ目の制約は、…この3つ目の制約である運命の者達と出会わせるまで…シュナウゼンさんを生かしておく必要があったんだろう…)

2つ目の制約に書かれている火の魔法は、

動物を焼いたりして…この洞窟で生きぬくには、最適の魔法である…

シャルム

(1つ目の制約の…記憶の一部もおそらく…

火の魔法を生かすための知識みたいなものを残しているはず…

だけどそうなると…この紙を書いた人は、ここの洞窟についてある程度知っている事になる…)

その時シャルムは…

ゴーレムを配置した者達ではないか…と、一瞬考えたが

(だったら…ここに行こうとする僕達を、ゴーレムの部屋で止める意味がなくなってくる…)

ゴーレムの部屋を出る事を予想していた…という考えもあるが…

そんな危険なけをわざわざする者がいるのだろうか?

シャルムは、そこから

(もしかして僕達は…

何者かの見えざる手におどらされているのかもしれない…)

だとしたら…ここまでまわりくどい事をする意味は、なんなのか?

シャルムはそこに…その何者かの書いたシナリオの真の意味が隠されているような気がしてならなかった

・・・・・・

《20話へ続く…》



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