第1戦《黒いローブのポケットの中にしまったペンで書いた魔法陣》
部屋を出たコボルトと子供達は、それから…しばらく地下の通路を歩き回った
・・・・・・
―――――――――――――――
。
ポチ
「それにしても広いなあ…パンテオンは…」
…まわりを見渡したあと、ポチが歩きながら…ポツリと、つぶやくと…
、
金の髪をした少女である、シャリムが、エメラルド色の目を向けて
…
「ポチさんは、パンテオンの地下の構造は、知らないのですか?」
、
そんな質問を、ポチに投げかけ…
それに対して、ポチが
「分からないな…
実験体として、檻から出された時も…歩くところは、限られていたし…」
、
そう言って、シャリムの質問に答えると…
それを聞いたシャリムが
「可哀想に…」
…と、表情を曇らせる…
それを見たポチは
、
そんな表情をしたまま、右隣を歩いている…シャリムの姿を見ながら
…
(そういえば…なんでこの子達と普通に話せてるんだ?俺…)
コボルトなのに…と、不思議に思っていると…
隣を歩く、シャリムの表情が、キッと、厳しい表情に変わり
…
「…シャルム。ここから…100メートルくらい離れた場所に、人の気配がします。」
、
そう言って…シャリムは、自分の右隣を歩くシャルムと、顔を見合わせる
。
―――――――――――――――
…
シャルム
「見回りをしている衛兵かなあ?」
。
シャリム
「おそらくそうでしょう…。」
、
履いたサンダルで、歩いているシャリムに、
シャルムが…
「確か、ここから50メートルくらい先のところに…いくつか書いた、魔法陣の1つがあったよね…」
。
シャリム
「そうですね…」
。
シャルム
「衛兵の動きは、予測できる?」
。
同じようなサンダルで、シャリムの隣を歩きながら…そんな事を聞いてきたので…
それに対して、シャリムが、コクリと首を縦に振ると…
、
シャルム
「なら大丈夫だ。
あそこの魔法陣は、足場の場所いっぱいに描いたからね…。
ところで、何メートルまで、衛兵が近づいたら…スリープを発動できる?」
。
シャリム
「12メートル以内になれば、わたしの魔力でも届きます…」
。
シャルム
「よし!それなら魔法陣の10メートル近くまで行って、そこで衛兵達を待とう…。」
…そう提案して、
それに頷く…シャリムとポチと一緒に…
提案した、その場所に急いで向かうのだった
・・・・・・
。
――――《敵のターン》――――
。
シャリムの予測通り…
ポチ達が歩く場所から100メートルくらい離れた場所にいた…
《私達の世界での中世時代の、西洋の全身鎧に似た》…鎧、兜を身につけて…
右手に槍を持った2人組の兵士が
、
ここから50メートルくらい離れた場所にある…魔法陣の描かれた場所に向かって来て
・・・・・・
…40〜30メートルと、どんどん近づいて来た…
。
そして、通路が…魔法陣がある場所までの一方通行となった時
…
衛兵A
「二人の子供?」
。
衛兵B
「行ってみよう!」
。
薄い赤色の、円形魔法陣の描かれた場所の上に立つ子供達のところまで駆け出し…
そこで足を止めると…衛兵の一人が
、
衛兵B
「おい!君!」
。
すぐ近くにいる…
少し長めの銀髪の少年の肩に、触れようと…左手を伸ばす。
…しかし
・・・・・・
衛兵B
「何!?」
。
衛兵の左手は、その少年の肩をすりぬけ…
それと同時に足元から…灰色の雲のようなものが発生する
…
衛兵A
「しまった!」
!
衛兵の一人が、目の前にいる子供達が…魔法で作られた幻だと、気づいた時には、すでに遅く!
。
眠りの雲は、すぐに2人の衛兵の周囲にまで、浮かび上がり…
…
衛兵A
「うっ…」
。
衛兵B
「くっ…」
。
鎧を着た2人の衛兵は、右手に持った槍を…
カシャン!カシャン!と、足場の方へ落とし…
自身も、ドサッ…ドサッ…と、うつぶせに倒れた
…
――――《味方のターン》―――
。
その場所から…10メートルくらい離れた場所で、
その様子を見ていた…ポチと、二人の子供達は…
2人の衛兵が倒れると
…
魔法によって、人の目から見えないように隠していた姿を、スッ…と現し
…
シャルム
「先を急ごう…」
。
少年の掛け声と共に、2人の衛兵が倒れている場所に向かって…
そのあと、そこを通りすぎようとした時…ポチは
、
(あの子達の指摘した通りだった訳か…)
。
白黒しか色が映らない…その目で…
眠っている衛兵達を、チラッ…と、見たあと…
先へ進む子供達のあとを追うのだった
・・・・・・
。
《第2話へ続く…》