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第14話《ポーションの悲劇〜前編》

洞窟を歩いている途中…道が2つに分かれ

シャリム

「左の道をずっと進めば…行き止まりです。

右の道へ進みましょう」

…と、肩にとどくくらい長い金の髪の少女が言うので…

右側のみちを選んだポチは、右手に持った光の球で、あたりを照らしながら歩いているうちに…

ここへ行く決め手となったシャリムの言葉を思い出し…

「ところでさ…何で左側の方が行き止まりだって分かったんだ?」

その理由を、うしろを歩くシャリムに聞くと

「それはですね…。」

答えようとしているシャリムの隣で…シャルムが歩きながら

「アストラル投射。

分かりやすい言葉で言えば、幽体離脱をしたんだよ…。」

そう言うので…そこでポチは、シャリムが目を閉じた時の事を思い出して

「なあ、シャリムが目を閉じた時、一瞬だけど…シャリムの頭上に…もう一人のシャリムが出てきたような気がするんだけど…あれも何か関係あるのか?」

歩き続けながら、その事を話すと…

うしろを歩いていたシャルムは、ポチの隣で歩けるように足を速めてから

「普通は、目に見えないものなんだけどね…。

僕達、魔法使いの世界では今ある器の身体のほかに、もう一つの身体があると言われているんだ…。

その身体は、アストラル体と呼ばれる星幽界という魔法使いの世界を旅する身体で…

エーテル体と呼ばれる魂を守るための身体と言われている…。

アストラル投射とは、

自分の意志で器の身体の中からけ出させたアストラル体を現実世界で移動させて…

その時に見たり感じたりしたものを、情報として自分の頭の中に伝える事なんだよ。」

つまり夢に近いものだと言えば分かりやすいかな…と、今隣を歩くポチの方を見るので…それに対してポチが

「ずいぶん難しい事をしてるんだな。」

そう答えると…シャルムは、

「火の球や光の弾を出す時の方がずっと難しいよ。

なぜならあれは…本来こうあるべきだとさだめられた自然の法則を

ほんの一部とはいえ変えなきゃいけないんだからね…。

例えば火の球1つにしても…

感覚をまし…熱くなった手の平の前から、大きなエネルギーが飛び出していくのをイメージする事を…

何千回、何万回とくり返す事によって、やっと出来るようになるんだ。」

何事も努力が大事なんだ…と、

隣で、右手に持った光の球で…あたりを照らしながら歩いているポチに伝えると…そんなポチの目に

「宝箱だ。」

前に見たものと同じくらいの大きさの宝箱が

これから行く道の左端ひだりはじの方に置いてあるのが見えたので

「僕がいくよ。」

その金で縁取られた赤い宝箱のところまで行ってから…しゃがんだシャルムが、両手を使って宝箱を開けると

・・・・・・

なんと中には、フタのついた青い瓶が入っていた

「ポーションか…でも中がすごくにごっている…」

その瓶を右手に持って話すシャルムのうしろで…ポチと並ぶように立っていたシャリムは

「おそらく長時間ここに置かれているうちに…湿気にやられたのでしょう…。

だいぶ他の水分が混ざっているようなので、回復の効果は期待できませんね」

…と、とても残念そうに話すので…

それでがっかりしたシャルムは、

「今度は、湿気かよぉ」

残念そうな顔をしながら…右手に持った青い瓶を宝箱の中に戻したあとに…その宝箱を閉じると…

すぐに立ち上がって

ポチ

「なんというポーションの悲劇だ!」

うしろでなげく茶色い服を着たコボルトと…シャリムと一緒に先に進むのだった…

―――――――――――――――

それから…右手に持った光の球で、あたりを照らしながら先頭を歩くポチのうしろで…

シャルム

「2つの宝箱を見て思ったんだけど…

もしかして?中に入ってる物より宝箱の方が価値が高い場合って、けっこう多いんじゃないかな…」

これまでの宝箱からそう考えた…と、突然シャルムがその話を切り出し…それを聞いたポチが

「問題はそこだけじゃない…。

シャリムの話を聞く限り…物語のように宝箱を発見した人達が役立つアイテムを宝箱の中から取り出すには…

宝箱が置かれた直後に宝箱を開けるか…

定期的に魔法などを使って、適度な温度にたもたれた宝箱を開ける必要がある…

一体どうすれば…」

この問題は解決するんだ…と、ポチの後ろを歩くシャルムと悩んでいると…

そこにシャルムの隣をサンダルで歩いていたシャリムが

「まず魔法を使える事が前提ぜんていでメンテナンスなどをして、宝箱の調整をおこなえる敵役かたきやくが必要になります…」

あくまで1つの案ですが…と、シャリムなりの解決方法を話し…

それを聞いたシャルムが、シャリムの方に顔を向けて…

「バカな…それでは、まるで…」

そのあとを答える前に、シャリムが、

「そう…

舞台裏で暗躍あんやくする黒子くろこのような敵役が物語の冒険場所には必要なのです」

私達の世界で視聴される…かつての日本の時代劇の黒子のような存在が必要だと話し…

そのあと、さらに

シャリム

「それに…もし、物語のようなダンジョンにしたいのなら…

問題は、宝箱だけじゃなくなりますよ」

物語のような展開にするには、まだ足りない事がある事を伝えて

ポチ

「えっ?」

シャルム

「何!?」

それを聞いた事で…前を歩くポチが、ブラブラさせていた左手をピタッと止めて…

そのうしろでシャリムを見る、シャルムの青い目が大きく見開かれる…

はたして…シャリムが言う問題とは…?

そして…ポチと子供達は、人知れず繰り返されるポーションの悲劇を回避できる方法を見つけられるのだろうか

・・・・・・

《後編へ続く…》



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