第13話《幽体離脱?》
ゴーレムもどきがいた石室を脱出したポチ達は…
先頭を歩くシャリムの…左手に持った、光の球の光に照らされながら歩いていた…。
そんな中ポチは、自分の前を歩くシャリムの足元と…自分の隣を歩くシャルムの足元を見て
…
(よくサンダルを履いて、あんな凄い動きができるよなあ…)
。
ゴーレムとの戦いを思い出して…感心していると…
そう考えてるあいだに…自分の身体が、魔法にかかる前の感覚に戻っている事に気づく…
。
そんなポチの様子に…わずかな変化を感じたのか…隣を歩くシャルムが
、
「どうしたの?ポチ」
…と、ポチの方を見ると…歩きながらポチが
、
「あ…いや…どうやらシャリムにかけられた2つの魔法の効果が今、切れたようだ…」
。
そう話すので…シャルムは前を向いて、前を歩くシャリムに
…
「二つもポチに魔法をかけたの!?」
。
びっくりしたようすで、話しかけると
…
白いローブを着たシャリムは、照れくさそうな顔で
…
「あの…えっと…だって、心配だったんだもの…」
、
左手に持った光の球の表面を…右手の人差し指の指先で、キュッキュと、いじりながら…前を歩くのだった…
。
それから少し歩いてるうちに…シャリムと先頭を変わって…
右手に持った光の球で、あたりを照らしていたポチが、右端の方を見ると
・・・・・・!
なんと、そこに金で縁取られた50センチくらいの赤い宝箱があったので…
ポチのうしろを歩いていたシャルムが…
「宝箱だ!」
、
その宝箱のところに行って、しゃがんでから…宝箱をカチャッと、開けると
・・・・・・
なんと中には、干からびた草のようなものが入っていた…
。
それを見たシャルムは、
「こ…これは…」
、
何か言おうとすると…ポチと一緒にシャルムのうしろに立っていたシャリムが
、
「どうやら薬草だったもののようですね…」
。
そう言って…それに対してシャルムがしゃがんだまま…
「薬草だった?
宝箱は、けっこう新しく配置されたもののようだけど…」
。
その事を不思議に思っていると…シャリムが
、
「薬草は、あくまで草の種類の一つです。
日が経てば干からびもしますよ」
。
それについて答え…その答えを聞いたシャルムは、不満そうに…
「なーんだ。」
…と宝箱を閉じて、立ち上がると…
立ち上ったシャルムの後ろでポチが、
「だ…だけど!
物語に出てくる薬草は、そのまま使えるようになってるじゃないか!」
、
納得できないのか…少しだけ大きな声で叫ぶと…
その隣からシャリムが…
「まずは、歩きましょう…。」
…
それから前を歩くポチに向かって
、
シャリム
「これは、あくまで一つの説ですが…
おそらく…物語に出てくる薬草や武器といったものは、魔法などの力を使った冷凍保存などの方法で…
適度な温度を保つように作られた特殊な宝箱の中に、入れられていると思われます…」
。
だから干からびもサビついたりもしないのだ…と、
私達の世界の冷蔵庫の理論にも似た…物語に出てくる宝箱の秘密を話し…
それを聞いて
、
ポチ
「物語に出てくる宝箱に、まさか…そんな秘密があったなんて…」
、
なんという事だ!!…と、ショックを受けるポチの前では、なんと!路が2つに分かれていた…
。
―――――――――――――――
…
1=右の道に進む。
2=左の道に進む。
!
突然つきつけられた二つの選択のうち…
「3だ!」
…を選んだポチに納得できないのか…うしろからシャルムが
、
「そんな道!どこにもないじゃないかあ!?」
…と、叫び声をあげると…そんな雄叫びをあげるシャルムに、まあ聞け…とポチは
、
「俺が読んだ冒犬ミステリーでは、こういう時、隠された選択肢がよくあるんだ。
洞窟の壁を調べてみろ。
きっと…隠された通路が見つかるはずさ…」
。
そう言うので、それで納得したのか…
、
シャルム
「そうだったんだ…。」
、
シャリム
「わかりました。調べてみましょう…」
。
それから二人の子供達は、まわりの洞窟の壁を、手で触るなどして調べてみるが…特に変わったところは見つからず…
作業を止めて
…
シャルム
「ポチィー…」
、
青色の半目で自分を見つめる子供の一人の前で…
ポチは、光の球を地面に置いてから
…
「あ…暑いなー。」
着ていた鎧を脱いで、茶色い服装になると…
それから再び光の球を右手に持って
、
ポチ
「シャリムさん…お願いします。」
…
私達の世界で視聴される…江戸の時代劇でよく見られている…
先生と呼ばれる浪人に頼む…どこぞの悪徳商人のようにシャリムに頼みこみ…
頼まれたシャリムは、
「はい。」
…と、困った顔で、笑ったあと…お腹の前で両手を組んで
・・・・・・
精神を集中させるために緑色の両目を閉じると…
そんなシャリムを見る、ポチの目に…
(なに?)
一瞬、オーラのようなもので出来たシャリムのような姿が…シャリムの頭上に浮かび上がるのが、見えたような気がしたので…
ポチは、その時見えた幽霊みたいな姿の事が
…
(なんだ?あれは…)
…と、気になっていたが…それについてポチが考えているうちに…シャリムが目を開けて
、
「左へまっすぐ行くと行き止まりです。
右の方へ行きましょう」
。
そう言うので、ポチは
、
「わかった。右の道だな。」
…と答えたあと…
右手に持った光の球で、あたりを照らしながら…子供達と一緒に右の道へ進むのだった
・・・・・・
。
《14話へ続く…》