表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/59

第1話《明けの明星と宵の明星》

―――――《惑星エル》――――

地球の7分の1くらいの大きさであるこの星では、マーズ帝国と呼ばれる、軍事国が世界の大半を支配していた…

そして、パンテオン《万神殿》と呼ばれる建物の地下の一室の中で、おりに閉じ込められた、コボルトがいる…

人間のような体格に身体をおおう茶色の毛並…そして雑種の犬を思わせる犬の顔…

だが…このコボルトは、かつて人間だった…

ガブ=イノザ…

人間だった時の彼の名前

・・・・・・

かつて、人間として生きた記憶は、今も残っている…。

しかし・・・

現在は、生きた実験材料として…檻の中に、閉じ込められていた

―――――――――――――――

部屋の大きさは…周囲8メートル四方…

高さは、3メートルくらいは、あろうか

・・・・・・

その中にある檻の大きさは、周囲4メートル四方で…

高さが2メートルちょっとと、いったところだ…

鉄格子てつごうしで、出来た檻の入り口のところには…

皿の上にったシチューが置いてある…

コボルトは、檻のり口のところへ行って…あぐらをかくと…

その毛深い両手に持って、そのままペロリとシチューをたいらげる…

すると…そのあと皿を床に戻して…

ハァーと、ため息を吐いた…

実験動物として、このまま一生を終えるのか…

そんな考えが…薄暗い部屋の、檻の中にいる彼の頭を支配する。

…しかし

・・・・・・

ガチャリ

部屋の入り口の扉を開ける音と共に、彼の新たな人生が始まった

―――――――――――

薄暗い部屋の入り口が開いた音と共に光が差し込む

そのおかげで、灰色だったコボルトの視界が、少し明るくなったようだ…。

…それから

―――――――――――――――

???

「あっ、いたいた。

シャルム。コボルトさんがいました。」

…少女の声が聞こえる…

―――――――――――――――

???

「そう…やっぱりここに、閉じ込められていたんだね。」

続いて聞こえてくる少年の声…

コボルトが視線を、部屋の入り口の方へ向けると…

そこには、少年と少女が立っていた…

あぐらをかいていたコボルトは

(これは、また…ずいぶんと幼い二人組だ…)

そんな事を思いながら…目の前に現れた二人の子供の姿を見てみると

―――――――――――――――

少女

「ん?コボルトさん、こっちを見ています」

少女は、肩まで届くようなフワリとした金の髪と、

エメラルドのような大きな緑の瞳が印象的で…

白いローブを着たその姿は、まるで陶磁とうじで出来た人形のようである

少年

「やっぱり…僕らが、ここに来た理由が、まだ分からないようだね…」

それに答える少年は…

耳の前の、もみあげの髪が肩にまでとどき、男の子にしては、多少伸びている銀の髪と…

大きな青い瞳が印象的で、少女と見まごうばかりの美しい容姿をしていた…

そして…その少年は、白い肌をした少女と違い…日に焼けたような肌の色をしていて

胸の上の所に、青い宝石の飾りがついた、黒いローブに身体を包んでいた

―――――――――――――――

コボルト

(服装から見ると、どうやら…裕福な家に生まれた子供達のようだ…)

それが二人を見て…コボルトが最初に思った印象だった…

少女

「檻の中に閉じ込められていたんですね…。可哀想に…」

いつの間にか…檻の入り口のところに立っていた少女が…

その入り口の扉の鍵を差し込む所に…右手をかざす

すると…その右手のまわりが…ポワァッ…と青い光に包まれて…

それを見たコボルトが、

「やめろ。

ここの扉は、魔法でロックされたものだ。」

失敗したら警報みたいなトラップが、発動するかもしれないと言っても…

ひざの上までしかないたけの短いローブを着ている…その少女は

「心配いりませんよ。」

…そう言って、微笑みながら…

右手から発する光を…フッと、おさめた

そして…青い光が消えると…

カシャン

それと同時に…ギィーッと、鉄格子の扉が開き…

コボルトは、

「まさか…ロックが解除されたのか?」

…と驚いた犬の顔で、白いローブを着た少女を見て…それから

「ここをロックしたのは、俺を改造した魔導師達だ。君達は一体、何者なんだ?」

そんなコボルトの質問に

「わたし達は、あなたと同じように…

ここに、軟禁なんきんされていたものです。」

そう答える少女の姿を、あらためて見ると…

90センチにも満たない身長で、本当に幼い事が…見てとれた…

(…でも…それにしては、対応が大人みたいに、しっかりしている…)

そんな事を思いながら、コボルトが立ち上がり

そこから、少し歩いて…鉄格子で出来た檻の外へ出ると

少女より足元の丈が少し長い黒いローブを着た、銀髪の少年が…

コボルトの方に歩みより

「このパンテオンの中に、閉じ込められた者同士…仲良くしようよ」

右手を差し出し…握手を求めてくるので…

コボルトも…

「物好きな連中だな。」

…と、右手でそれに応じると…

握手をした、この少年も1メートルくらいしか…身長がない事が分かった。

それから…少年は、部屋の入り口の…扉の前で待っている少女と、並び立って

「僕は、シャルム。

隣のこの子は、シャリム。」

少年が自分と一緒に…右隣に立つ少女を紹介すると

少女も、お腹の前に両手を組んで…

「コボルトさん。よろしくお願いします…」

ニコリと微笑みかけるので…コボルトも

「俺は、ここでは、ポチと呼ばれていた…」

だからポチでいいと…自己紹介をすると…

それを聞いた少女が、

「ポチ…さん…」

独り言のように…ポツリとつぶやく

その時にポチも、シャルムとシャリムを見比べて

(それにしても、この二人…容姿がそっくりだ。

双子かな?)

そんな事を考えていると…シャルムが

「まずは、僕達が軟禁されていた部屋へ向かおう」

今後の対応について話してきたので、ポチは

(なぜ?わざわざ…そんな場所に?)

…と、多少疑問に思ったものの

「分かった…」

自分を檻から出してくれたこの少年を信じる事にして…

目の前にいる少年、少女と一緒に部屋を出るのだった…

《第1戦へ続く…》



―――――――――――

―《魔法陣について》―

第1戦の魔法陣についてですが…

シャルムやシャリムによって書かれた魔法陣は、

…だいたいは、円の中に…六芒星と、さまざまな魔法文字が、えがかれていますが…

その魔法陣は、敵などに、見つからないようにするために…薄い色で、書かれています…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ