第3戦《あの場所を撃て!》
ゴーレムもどきは、
2つ目の柱を破壊したシャルムの元へ…
ガシャンガシャンと、走りながら向かっていくと
…
そこから、一瞬だけ間をおいて…シャルムに向かって右の拳を振り下ろす
!
だが…ゴーレムが攻撃する時に置いた一瞬の間を、シャルムは見逃さなかった
…
ゴーレムが振り下ろした右手の拳は…シャルムの身体を貫いた
…ように見えたが、拳で貫いたはずのシャルムの身体は、霧のように消えていき…
。
シャルム
「残念。僕は、ここだよ。」
、
いつの間にか…ゴーレムの背後に、立っていたシャルムが…自分の背中のうしろの方で、
自分の幻影を破壊した…ゴーレムもどきに振り返らずに声をかけていた…
。
そして…ゴーレムが、ギギッ…と、背後にいたシャルムの方を振り返ると…
その時、すでにゴーレムがいる方へ身体を向けていたシャルムが、
(やっぱり…
攻撃した時のブレが1本目を破壊した時より、大きくなっている…
それに僕を認識するまでの時間が遅くなっているし…間違いない…
このゴーレムは、1本柱を破壊するごとに、パワー、バランス、機動力のすべてが、パワーダウンしているんだ…)
。
ゴーレムもどきの状態を分析しているあいだに…
ゴーレムの目の光が、白と黄色が混ざったような光から…
赤い光に変わったので
、
シャルム
(なるほど…認識するのを僕達と同じ視界から…
生体センサーに切り替えたんだ…
これでゴーレムは、実体しか追わなくなるから…
さっきのような幻で釣るのは、できなくなったなあ…。)
、
だが…そこでシャルムは、待てよ…と、自分に見落としがある事に気づき
…
(ゴーレムは、もともと実体を追うように出来ているはずだ…
だけど、今までのぎこちない動きは…
なるほど…いるんだね…
ゴーレムもどきを操るものが…
そしてそれは、プロではなく…おそらく…
お遊び半分で、やっている素人かな…)
。
シャルム
「だとしたら…
ゴーレム自身が思考する、これからが正念場だ」
。
そう言ながら…ゴーレムもどきから、注意深く距離をとっていると…そこに
…
ポチ
「待たせたな!」
、
真打ち登場とばかりに鎧を着たポチが現れ
…
認識しやすいのだろうか?シャルムより身長が大きな事が理由で…
ゴーレムの注意が、ポチの方へいって…
それで余裕ができたシャルムは、ポチに
、
「来てくれたんだね。ポチ…」
。
感謝の気持ちをこめて、声をかけるが…その一方で
、
(あれ?それにしては…
ここに来るまで、ずいぶん時間がかかったような)
…気がしたのだが…
確かに、シャルムの考えている通り…
ポチは今まで…シャルムとゴーレムの激しい戦闘を見て怖がり…
なかなか、ここに来る踏ん切りがつかなかったのだ
。
実際のところ…シャルムが自分の幻を使って、
ゴーレムを手玉にとってなかったら…
ポチが、この柱に囲まれていた空間の中に
再び入るのには、もっと時間が、かかっていただろう…。
そういう訳で…言葉通り…本当にシャルムを待たせていたポチは
、
(仕掛けるか…)
。
自分の方を見ているゴーレムに、さらに近づいて
…
「受けろ!俺のコブシおおぉー!!」
、
右手の拳を、突き出そうとした直前で…
ゴーレムは、ポチの顔の前で、ガコォ!…と両手を合わせて、そのせいで
…
(猫だましだとおぉ!)
…
右の拳を出すのを、躊躇した、ポチの胸部に
ドカァ!と、右の拳を叩き込んだ事で…ポチが、
「キャイーン!」
…と、また柱に囲まれていた場所の外側に弾き飛ばされ
……
そのせいで、緑の目を紫色に変えて…
左奥の場所にある柱の情報を引き出していたシャリムも…
「うっ…」
ダブルペインの魔法で、ポチと痛み分けをしていたので…
胸の部分にダメージを受けるが…それでもシャリムは、何とか踏み止まって
…
【シャルム…あの場所を、撃って!】
、
シャルムの頭の中に…柱のどの部分を攻撃すべきかを伝え…
その時すでに、その円柱の2メートル以内に近づいていたシャルムは
、
「ルァイトボオゥッ!」
、
突き出した右の手の平の前で、シュワシュワと集めた光から放つ、光弾を使って…柱の一部分を破壊して
…
その部分が破壊された事が原因で…3本目の柱が折れた事により…
左奥の柱の機能は、完全に停止したのだった
・・・・・・
。
《つづく…》