第3戦《ポチの視点とシャルムの視点》
まわりが石で出来た壁に囲まれた部屋の中
…
ポチがリュックや光の球を置いた場所の近くから…シャリムは
、
「始めますね…ポチさん。」
、
自分と向かい合うポチに…緑の両目を細めて、微笑みかけたあとに…自分の左手の人差し指を噛むと…
そこから流れ出る血を使って、床に50センチくらいの円を描き
…
シャリム
「ポチさん。この血の円の中に入って下さい…」
。
ポチ
「わん。」
。
ポチを、その円の中に招き入れているあいだに…
自分の左手の人差し指から流れ出る血を…人差し指の傷口に、唇をつける事で吸い取ると
…
その傷口がかさぶたで覆われるまでに、たいして時間は、かからなかった…
。
―――――――――――――――
…
一方…円の中に入ったポチは
、
「で?どうすればいいんだ?」
、
そこでじっと立ったまま…シャリムを見下ろして
これからどうすれば良いか?尋ねると…
シャリムは、口元から左手を離してから
…
「このまま目を閉じて…自分の身体が鋼のように頑丈になる事をイメージして下さい。」
…
そう言うので…それを聞いたポチが
「分かった。」
…と、頷いて、目を閉じているあいだに
…
ポチと向かい合っていたシャリムは…手の平を広げた右手を、ポチの方に向けて突き出すと…
そのあと、両目を閉じて
…
シャリム
「守りの光よ。汝の輝きによって、彼の者の器に…銀の足の女神の祝福を与えよ。
ガアドナァリライッツ」
…と言う言葉と共に、
突き出した右の手の平から放つ白い光を、ポチに注ぎこむ
…
すると…ポチは、自分の身体の内側から、見えない力が湧き出てくるのを感じていた。
・・・・・・
そして…それから少し時間が経ち…
、
シャリム
「ふう…もう目を開けてもいいですよ…」
。
シャリムの言葉に従って、ポチが目を開くと…
少し疲れた顔で、シャリムが
、
「これが本来の魔法です。時間をかけて、自分のイメージを定着させていくんですよ。」
…と話し、それに対してポチが…
「なあ、
なんか二回、魔法をかけてもらったような感覚があるんだが…」
。
俺の気のせいか?…とシャリムに言おうとした時
…
「じゃあ!行くよ。ポチ!シャリム!」
、
柱に近いところで待っていた…シャルムが声をかけてきたので
、
ポチ
「待て!シャルム。俺が先に行く」
!
そう言って、シャルムを引き止めたポチは…4本の白い円柱に囲まれた空間に向かって、歩き出し…
それから前の2本の円柱のあいだに、一歩足を踏み入れた時
…
人形のように直立していたゴーレムが、ギギ…と膝の部分を曲げて、屈みこむような体勢をとり
…
その動きを見て
、
ポチ
「!?」
、
いつでも逃げられるような体勢をしていたポチの前で…
ゴーレムは、ゆっくりした動きで、タックルでもしそうな姿勢をとると…そこから…
ドン!と、右肩を突き出した体勢で…タックルを仕掛けて
!
それを迎え撃つポチは、先程のゆっくりした動きから考えられないような…タックルのスピードに虚をつかれながらも
…
ポチ
(うしろへ跳ぶ!)
、
タックルを受けた時のダメージを少しでも軽減させようと…バックジャンプしたのだが…
それでもポチの胸部に、ガコォッ!…と、ゴーレムの右肩が突き刺さり
!
その衝撃で、ポチの身体を守っていた鎧の胸の部分が破壊されて
…
同時にポチの身体は、車に、弾き飛ばされたように
…
「キャイーン!」
、
4本の柱に囲まれた空間の外まで吹き飛ばされてしまう…
だが、吹き飛ばされた時
…
なぜかポチの耳に、ゴォン!…という、何かが激突したような音が聞こえていた…
。
―――――――――――――――
一方、その1分前…
ポチがゴーレムのいる場所に行くのを確認したシャルムは、
ゴーレムの注意が、ポチにいってるあいだに…前の2本の柱の間に入ると
…
4本の円柱の外側から…左手に持った光の球で、
自分やポチのいる場所を照らしているシャリムに
…
「シャリム!早くサーチの魔法を!!」
…
催促するように呼びかけると…シャリムは
、
「わかりました。」
…と自分から右斜め前の方向に位置する白い円柱を
「サーチ。」
その言葉と共に、じっと見つめると…
柱を見つめるシャリムの両目が…緑色から紫色に変わり
・・・・・・
シャリムの視界に、その柱の情報が光の文字となって、次次表示されていく…。
そして、それから数秒後に…紫色から緑色に、瞳の色を戻したシャリムは、
自分から右斜め前にある…その白い円柱の、ある一部分を
右手の人差し指で、指差し…
「シャルム!
わたしの指差したところの周辺を、2メートル以内から光弾の魔法で攻撃すれば、この柱を破壊できます!」
。
そう言うので…それを聞いたシャルムは、
「分かった!」
…と、シャリムの指差した円柱の2メートル以内まで近づき…
その柱に、右手の手の平を向けると
…
シャルム
「ロックオン」
。
青い瞳の色を紫色に変えて…
その数秒後に…右の手の平の前に、シュワシュワ…と集めた光のところから
…
シャルム
「ルァイトボオゥッ!」
20センチくらいの光弾を発射するのだった…
。
―――――――――――――――
…
だから、ポチがゴーレムのタックルに
「キャイーン!」
…と、弾き飛ばされた時
。
シャルムが発射した光弾が、円柱に激突して、柱の一部分を破壊したので…
その時、柱の上の方が折れて…石の地面にぶつかった時の音が、
ゴォン!と、ポチの耳に聞こえていたのだった
・・・・・・
。
《つづく…》