第2戦《一つの結界の破壊は、すべての結界の破壊に通ず》
シャルムの身体を守る球状の魔法障壁は…
シャルム達に向かってくる炎の竜巻を防ぐ事が出来たが…
激突した時の衝撃で…魔法障壁に、ピシィッ!と亀裂が走った。
それで驚いたシャルムは
、
「ファイヤーストーム…
まさか合体魔法を使ってくるなんて…」
。
フッ…と、身体のまわりにある薄い青色の魔法障壁を消して…そうつぶやいていると…
シャルムのうしろに避難していた…ポチが、
「何なんだ?それは…」
…と、質問してくるので
、
シャルムは、ポチのいる後ろを向いてから
…
「前衛であるライトポジションと、レフトポジションの人達が使う魔法を…
テクニカルポジションと呼ばれる…後衛の魔法使いが合体させて
強力な魔法に生まれ変わらせる三位一体の魔法なんだ。」
…とポチに話してから…再び敵の方に視線を戻すと
…
黒いローブの男B
「灼熱の炎の柱よ。我が手に宿りて〜」
、
黒いローブの男C
「風の渦よ。我が敵に向かいて〜」
、
男達がもう一度、合体魔法を使おうとしていたので
、
シャルム
「させるかああぁ!!レエザアフレイィム!」
。
シャルムは、敵の前に突き出した右手の人差し指と中指の指先から…レーザービームのような直線状の炎を放ち!
その鋭い炎が敵に向かって急接近すると
…
黒いローブの男C
「通じるかよ!そんなもの!」
、
敵の一人が言うように…
また前後、左右、頭上と…あらゆる方向から彼らを守る5つの光の五芒星が現れ…
その正面の五芒星とシャルムの放った炎が
、
バキィーン!
。
激突し…
男達の正面を守る五芒星で炎を防ぐ事が出来たが…
その変わり…その正面の五芒星に、ピシィ…と亀裂が走った…。
そしてそれを見たシャルムは、ポチに
、
「だけど、この通り…
こういう魔法には、攻撃に重点をおくあまり…防御が手薄になり…
結界の力が弱まる欠点があるんだ」
。
大きな術には、それ相応の欠点があるものだよ…と話していると…そこを狙って
、
黒いローブの男C
「もう一度合体魔法を使ってお前達を倒せば!
その心配もなくなるだろう!」
、
トライアングルフォーメーションの陣形を取った3人組の男達がもう一度、炎を巻き込んだ螺旋の風を放つ
!
だが次の瞬間に…シャリムが、シャルムの前に飛び出し
、
「させません!」
、
それからその場にしゃがみこんでから…バン!!と、地面に右の手の平を押しつけると…
手の平を当てたところの、すぐ前の場所から現れた…幅1メートルくらいの炎の壁が…
ゴオオォーと、2メートルくらいの高さまで上昇し…その上昇した炎の壁が、向かってくる炎の竜巻を吸収すると
…
黒いローブの男C
「あれは、まさか!?」
、
次の瞬間!!シャリムの作った炎の壁から…再び炎の竜巻が現れ…
その竜巻が魔法を放った男達の方へ向かっていって…男達の正面を守る魔法陣と激突し
!!
その正面の魔法陣だけではなく…
上下、左右、頭上と、彼らのまわりを囲んでいた5つの五芒星の結界を、バリーンと…すべて破壊する
。
そして、破壊された結界は、まるでハンマーで破壊されたガラスのように…
たくさんの光の粒となって飛び散った…
。
―――――――――――――――
黒いローブの男C
「炎の壁で、俺達の合体魔法を反転させただと…」
。
ショックのあまり男達が呆然としていると…その前に!
、
シャルム
「隙だらけだよ!」
…と、突然シャルムが現れ!
…
―――――――――――――――
黒いローブの男C
「しまった…」
。
そうつぶやく、敵の前で…シャルムは、
天井に向けて右手を伸ばし…その手の平から
…
「サイレス!!」
沈黙を意味する光をカッ!と…発光させて
、
黒いローブの男A
「まさか…これは…」
。
その正体を言いかけた男に…シャルムは
、
「見た者の脳に、魔法を使えないように情報を刻む魔封じの光さ…
これで対処魔法を使わない限り、あなた達は魔法を使えなくなった…」
。
そう言うと…それに対して敵の一人が
、
黒いローブの男B
「だがそれなら君も魔法を使えないはずだ!
それでどうやって、俺達を…」
。
そこまで言いかけた時
…
シャルム
「忘れたの?
魔法を使えるのは、僕だけじゃない」
。
その言葉をきっかけに
、
黒いローブの男B
「まさか!自分をおとりに!?」
…
黒いローブの男B
(そうか…この子供の方に俺達の視線が集中すれば…その時に、もう一人の方に意識がいかなくなる…。
この子が、俺達の目の前に来た本当の理由は…)
。
三人の男の視線がシャルムから…その何メートルもうしろにいる金の髪の少女に変わる
。
―――――――――――――――
シャリム
「大気よ。わが視線の先に在りし…あなたの欠片の一部は
ヒュプノスの司る曇りの姿となりて我が敵を眠らせん」
。
敵から9メートル近く離れたシャリムが、バッと…右手を前に突き出し
…
「クラウドスリープ!」
、
その言葉を発した時
敵の足元に広がる光の円から…灰色の雲が上昇し
…
黒いローブの男B
「くっ…」
、
灰色の雲から逃れようとする男達、すべての意識を薄れさせてゆく…
。
そして敵の一人が…目の前にいるシャルムのうしろの方から…バックジャンプした子供の姿を見た時
…
黒いローブの男A
(…そうか…サイレスの…光…が…あの子供の…手を…上げた…場所…から…
一歩…うし…ろの…方で…かがや…いて…い…た…の…は…)
。
その男は、シャルムがなぜ?自分の目の前でサイレスを使ったのか…本当の訳を知る
。
そしてその男も…すでに倒れている2人の仲間のように…ドサッと、うつぶせに倒れると…
そこから数歩、離れた場所にいたシャルムが、
さらに数メートルうしろに離れている…ポチやシャリムがいる方を振り向き
…
「先へ行こう…」
そう言って、顔を正面に戻すと…
その先にある目的の場所へと足をすすめるのだった
・・・・・・
。
《つづく…》