一話「寒いです。あ、転生しました。」
新作です。前々から書きたかったファンタジー物です。
夢を見た。
広く、何もない雪原の真ん中で自分とそのとなりに丸い...卵のようなものが一つだけある。
ただそれだけ、ただそれだけなのにどこか心地よい感じがする。
雪原なのに暖かい感じがする。
「夏兄おっきろー」
「うう...あと二日」
「起きないと何処かの骨折れるぞー」
「なにそれこわい!」
正直ものすごく眠かったのだが何処かの骨がおられるのはなんかすごくやだ。
なんかすごくいい夢を見ていた気がするがなんだったろう...思い出せない
「おはよ...え?」
確かに起きたはずだ。だが目の前に広がる光景は自分の部屋ではなく、真っ白な空間だ。
「ここは?まだ夢見てるのか?」
「ここは僕の空間だよ、ちなみに夢ではないから安心して?」
「うわ!誰だ?」
急に目の前に現れた青年?に驚き後ずさりをする。
「僕はいわゆる神だよ、なんかいろんな事情で君には死んでもらった」
死んだ?訳がわからないそれに神?ますます訳がわからない。
「君には異世界に行って元勇者の魔王を倒してもらう。」
異世界?元勇者?少し話を聞いてみよう。
「前の魔王を倒すために勇者に最強の装備を渡したんだ、それで勇者は簡単に魔王を倒した。問題はそのあとだ。」
なるほど胸熱展開だな。
「自分の力溺れた勇者は欲望の赴くままに暴れ、人々から恐れられ魔王になったんだ。」
それを俺に倒せと、無理じゃね?
「無理じゃないよ、そのための僕なんだから」
人の心読むのやめてほしいな、
「君には勝手に死なせてしまった特典としてすっっごいものをあげるよ」
選べんの!?最初は夢だと思ってたけどなんか本当っぽいし異世界で無双するのも悪くないかもしれない、すまん母さん父さんあと妹よ
「選べないよ?」
え?
「というか選ぶほどないし、一個しかあまってないし」
え?
「はいどうぞ」
何これ、白い...卵?
「大正解、それはあっちの世界で神を越えるとされているドラゴンの卵だよ」
これで?異世界行って?魔王倒せと?
「うん」
無理だろ
「大丈夫だよ、人間の可能性はすごいんだよ?」
ふっっざけんな!なんだこれ魔王に投げつけろってのか?しかもなんで卵!?せめて孵化させろよ!
「無理なんだ、それの成体は僕の力では制御しきれないし」
え?まじ?そんなに強いの?
「うん、それとその子が孵化して最初に見た人を主と見なすから、あ、あとあとその卵雪原じゃなきゃ育たないから最低限の防寒具ぐらいならあげるよ」
それだけ?せめてなんか莫大な富とか、宿とかは?
「....行ってらっしゃい!」
「おいこらまてこのやろう!」
今まで心が読めるので声には出したいなかったがあまりの出来事に声を荒げた。
「ごめんね、頑張れ」
床が抜けて急に落下していく
「落ちてね?え?死ぬよ?」
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ボフッ
死ぬかと思い落ちた先は雪原のど真ん中、なんで生きてるんだろう
手に持ってる卵を雪の上におろした。
「いつ孵るんだろう...ん?紙?」
ふと手に握っていた紙を見ると...
「神です。卵が孵るのは三日です、早いでしょ?その間暇でしょうから観察日記書いてください」
「.......」
最強の卵観察日記
寒い。卵に変化はない。
帰りたい。あと寒い。