1章 第24話 『大切な人 ③』
楓を先頭に直線の夜道を走っていると、何処からともなくパルが姿を現した。
「やぁ、幹雄! そんなに急いでどうしたんだい??」
俺は走りながら事情を大雑把に伝える。
パルは説明の意味を理解すると、ひとつ提案してきた。
「魔法少女に変身して、空を飛んで目指した方が早く着くよ!」
心中同意した俺は、辺りに人気が無いことを確認すると変身する。
楓も俺に続いて姿を変え、二人揃って翼を広げると雲海の上を目指して飛び立つ。
一生懸命に翅を動かしているとパルは用事があると、ひとこと言い残して姿を消してしまった。
その後も上を目指す事だけを考え羽ばたき雲海の上まで到着するが……何処も景色が酷似している所為で、俺は現在どの方角を向いているのか混乱してしまう。
そこで、俺は楓へ質問した。
「なぁ……この場から、婆ちゃんが居る場所までの道順分かるか??」
すると楓は、雲と雲の裂け目に僅かに出来ている隙間から、小さな光の点を輝き散らす夜街を見降ろす。
と、
ひとつの高層マンションを指差して言う。
「…………あそこに見える、高いビル」
「そうか……此処からだと、あと数分で到着しそうだな」
「…………うん」
再び俺は翅を小刻みに動かして、楓と共に全力で空を飛行する。
が、
瞬間、楓が目の前を進む中、俺一人だけ前へ進むことが出来なくなってしまった。
「…………!!?」
下半身に謎の違和感を感じた俺は足下を確認して、右脚にキメ細やかな輝きを放つ細い銀糸が絡み付いていることに気付く。
同時に激しい痛みで、糸先の先端に付いている金色の細い金属製フックが脹脛に刺さり混んでいることにも気付いた。
「なんだ、この脚を強く引っ張る糸はッ!!?」
俺は苦痛の叫びを顔に浮かべながら、糸が何処に繋がっているのか行方を目で追って行く……と、小汚いローブで全身を覆い隠す者の姿が一人、瞳に映った。
「うっひっふぃぃ……つぅーれた、釣れたぁ……魔女釣れタァぁぁぁぁぁ…………」
微かな月明かりで小汚いフードで覆われている両目を確認できたが……おかしなことに目ん玉がグルグルと三百六十度、上右下左と回転している。
俺と楓は新手の光の魔法少女かと思ったが、飛行する為に必要な翼が何処にも確認できない。
それにジックリと見てみると容姿は男性で、武器も釣竿と……魔法少女とは掛け離れていた。




