1章 第20話 『転校生が来た!②』
「なんなんだよ……朝っぱらから……」
俺は教室内を不思議そうに首を傾げながら覗き込んだ。
「何処デェス!!? この場所が我がライバル……幹雄たちの教室だと教えて貰ったのに何処を探しても居ないデェス!!!!?」
「…………」
俺と実は室内で起こっている異常事態の原因を把握するなり黙り込んだ。
自分達の姿……いや、存在をすらも知られないようにする為に気配を消し、少し慌てながらその場を去ろうと後ろを振り向くが手遅れだったらしい……。
「あ、発見したデェス!!」
喜びに溢れた一言と共に室内から一人の少女が駆け寄って来た……瞬間、二人して驚き竦みあがる。
そして、気が付けば背後に手の温かみを感じた。
「捕まえたデェース!!」
「…………」
「…………」
彼女のテンションの高さに反対して俺も実も無言。
静寂の重さに耐え切れず思わず叫びたくなってしまう……だが、叫んでしまったらこの女と同類だと思われてしまう……耐えろ! 我慢だ……。
そんな状況の中、唐突だが俺は彼女に背中を向けたままの状態で質問を投げかけた。
「なぁ、何故お前がこの学校にいるんだ?」
「それは、今日から此処の生徒デェスから!」
そうか……ウワサの転校生とはお前のことだったのか……。
「そういや、何故俺たちのクラスルームがこの場所だと分かっているんだ??」
「それは、朝に先生たちに聞いたんデェス!」
そうか……職員室に乗り込んだ生徒っていうのはお前のことだったのか……。
空気が凍り付いたように、場が固まる。
「…………」
噂の人物はお前だったのか…………星零。
真実を把握するなり俺は苦笑が混じった溜め息をひとつ吐いてから、転校生である星零に言った。
「あのね。 星零」
「なんデェスか?」
褒められるとでも思っているのだろうか、彼女は喜びに染められた笑顔を辺り一帯に放ちながら振り返る俺の顔をマジマジと見つめてくる。
「いや、なんでそんなに笑ってるの??」
俺は眉をひそめて聞いてみる。
少し考えるような間を置いて、星零は口を開く。
「なんでデェスかって? 決まってるデェス、それは……」
「それは……?」
呆然と立ち尽くす俺と実。
「幹雄……あ、我がライバルと同じクラスになれたからデェス!!」
「いや、マジか!!?」
星零笑顔に対し俺の顔は段々青ざめていき、静寂の中で発さないと決意していた叫び声も思わず上げてしまった。




