1章 第19話 『転校生が来た!①』
俺は学校へ無事到着し、下駄箱で靴を取り替えている時に携帯から鳴った通知音で一通のメールに気づく。
直ぐ真横に立っている実も同様だ。
俺たちは画面へと目を移し、メッセージの内容を確認すると、
『今日休むわ』
こんな一文が記されていて、画面の端っこには何処か申し訳ないという感じで『大明寺 定春』という文字が見える。
それは、定春が『学校を休む』ことを伝える為の連絡だった。
「小学生……いや、幼稚園の頃から皆勤賞の定春が休むとは珍しいなぁ」
確認を終えた後に苦笑ながら実へと顔を向けると、唐突に質問される。
「ねぇ、定春くんが休む理由とか何か聞いてる?」
「いや、知らないけど……どうして??」
キッパリと真実を述べ疑問を抱く俺の姿を、何処と無く不安を宿している瞳に写すと首を横に振りいつも通りの優しさに溢れた笑顔を顔一面に広げて言葉を発する。
「いいや、何でもないよ! ただ聞いてみただけで……なんかゴメンね!!」
ペコリと頭を下げる実の前に数秒立ち尽くしていると辺りからの騒めきを全身に感じた。
「何だか騒がしいなぁ……」
自分の周りに静寂をつくってみると、校内を行き渡る生徒たちの呟きが次々と耳に流れ込む。
『さっき職員室で一人の生徒が暴れていたみたいよ……』
『めっちゃ可愛い子が転校して来たらしいから後で見に行こうぜ!!』
『例の転校生に職員室の場所聞かれたさぁー』
推測するに、どの噂も同一人物のことを指しているのだろう……。
噂の人物がどのような者なのかを想像しながら自教室の一歩手前まで着くと、室内がなにやら騒がしいことに気が付いた。
だが、スライド式のドアが邪魔をして中の様子が確認できないので、扉を開こうと取っ手を掴もうとした瞬間だった。 扉が突然勢いよく開き、室内から一人の男子生徒が疲れ果てた様子で弱音を吐きながら飛び出て来た。
「ひっ……もう勘弁してくれよぉぉおおおおおおっ!!!!!」
突然のことに、俺と実の二人が困惑していると、再び教室から怒りの混ざった悲鳴と共に女子生徒が一人、飛び出して来た。
「もう何なのよぉぉおおおおっ!!!!!!!」
その後も次から次へと室内から人々が、怪物から逃げ出す様に駆け出して来る。
と、室内から飛び出して来た一人の男子生徒と目が合った時だった。
「あ、二人ともやっと来たのか!! 中でお前らの名前を連呼しながら待っている奴がいるぞ!!!」
男子生徒は一言呟くと再び走り何処かへと消えて行った。




