1章 第16話 『魔法を覚えよう』
「負けた……一瞬で負けた……」
幹雄は地に落下する中、血反吐を吐きながらも、息をするのもままならない状態で、そんなことを一言だけ呟いた。
悔しい……天と地の差だ……そんなことも頭に過ぎる。
その瞬間だった。
隣で俺と同じく地へと向かう楓(気絶中)の身体の直ぐ近くにボブんっという音と共に煙が巻き起きた。
と、
ダングロスが姿を現して、大きな背中で俺たちを受け止めた。
結果、地上から約千メートルの所で俺たちの急降下は終わった。
その後にダングロスは俺たちの怪我を見るなりボソボソと何やら言葉になっていない声を口から発する。
すると突然、俺たちの身体が周囲に現れて踊りは消える光の粒子と共に眩く発光し、傷口が綺麗に塞がった。 序でに身体中の動きを封じていた氷も溶ける。
「回復魔法か……そういえばさっき星零も魔法のようなものを使っていた気が……」
幹雄は変身して、螺旋を描いて飛んだりと身体の回復を全身で実感しながら独り言で何気なく呟く。
すると、パルが天からこちらに向かって飛んで来た。
そして、微かな独り言が聞こえていたのだろう……。
「さっきの子、魔法を使っていたよ」
と発言した。
その言葉に俺はすぐさま目を少しばかり見開く。
「やっぱりさっきのは魔法だったのか!!?」
「うーん、魔法って言って良いのかなぁ……」
「いや、どっちだよ」
パルの曖昧な反応に幹雄がツッコミを入れた。
そのツッコミにパルではなく僅か遅れてダングロスが反応する。
「アレは魔法とは少しばかり違う……が、魔法だ」
「いや、本当に曖昧過ぎるな……」
そう言ってダングロスの方へと視線を向けーー、
ふと、幹雄の眼に、ダングロスの少しばかり後方にーー凄まじいオーラを放つ見知らぬ魔法少女が映った。 容姿は色白の肌にナイフのように鋭いキツネ目、髪型は血のように黒々しく長い赤髪を一つに束ねて三つ編みにしている。 極め付けに背中には……爬虫類の様な皮膚で構成され悪魔を連想させる忌々しい翼が四つ生えていた。 翼の大きさはというと幹雄の二倍はあった。 つまり、片翼八メートルぐらい……。
と、俺とその魔法少女の目が合う。
瞬間、凄まじい殺気を感じた。
「おい! ダングロス!! 楓を連れて遠くへ行け、すぐに!!」
「いきなり叫びを上げてどうした!!?」
「いいから早く!!」
ダングロスは様子がおかしいと思い、幹雄の視点のその先をたどるーー、
「なんだお前は!?」
さっきまで遠くに浮遊していた魔法少女がダングロスのすぐ側まで来ていた。
「そんな焦ることない……私は闇の魔法少女だ……」
「んな、?!」
ダングロスの不信感を和らげるためだろう、闇の魔法少女と名乗る者は口を大きく開けて舌を出した。 其処には、雲の紋章がハッキリと刻まれていた。
その後に、雲の紋章が刻まれた者は右手を軽く前に出し武器召喚の構えを見せる……その右手からは闇の渦が生まれていた。
「これで、私が敵ではないと信じてくれたかな?」
その言葉にダングロスは少し戸惑いながら、俺の方に首を捻る。
俺はそんなダングロスの視線にコクリと頷いた。
と、そんな幹雄の反応を見た雲の紋章を持つ者がニヤリと口を開いた。
「それじゃあ、私たちは仲間だね」
「あぁ……」
幹雄は心に少しの虚偽を抱きながら相槌をうち、パルの方にーー、
視界にはパルではなく夢を食べるで有名なバクが映った。
バクは俺と目が合うなり呟く。
「君たち二人は、魔法をまだ使えないんだね……」
ーー二人とは俺と楓のことだろう……それと今の発言だと雲の紋章を持つ者は魔法が使えるのだろう。
と瞬間、
「まぁ良い、今覚えれば良いじゃないか……そうだろ、キルビ……?」
「まぁ、そうだねぇ……」
キルビと言われバクが頷く。 その後に雲の紋章が刻まれた者は、俺と気絶中の楓の二人を交互に視線をやりながら、
「私の名前は、“大山 源氏”……こう見えて男だ。 以後よろしく、そしてイキナリだが、君たち二人には魔法を覚えてもらうよ」
源氏はそう言い切ると白い顔に、ニコリと笑みを浮かべた。




