1章 第15話 『厨二病少女の実力③』
星零は俺たちに優しく微笑みかけ、それから両手で少し重そうに持っている鎖付き鉄球のトゲトゲしい鉄球の部分を俺の方へと投げつけて来た。
「ニャッハッー!! 先手いただきデェス!!!」
「急に不意打ちとか汚いぞぉ!!」
俺は豪速球の鉄球を上手く回避した後にそう小さく叫ぶと星零は、
「戦いに汚いもなんも無いデェスよー!!」
と、ニコニコしながら言ってきた。
「クッ…………」
俺もその言葉に同感で返す言葉が浮かばなかった。
空間に緊張が走る。
まるで、世界中の時間が一気に停止したかのよう。
沈黙は無限にして、一瞬。
俺は息を一つ深くつき、掌を天に向けて上げた。
武器召喚の構えだ。
「ニャッハ!! やっとヤル気になったデェスね!!!」
その場の雰囲気の中で星零が油断なく身構える。
そして。
「一瞬で、ケリをつけてやるデェス!! 〈〜〜・ーーーーッ!!」
俺が弓矢を召喚している最中に、星零が語尾の最後に適当な言葉を並べ始めたと同時だった。
俺の肩の上にずっと静かに座っていたパルが急に驚きながら叫んだ。
「馬鹿な! 魔法少女が、詠唱……魔法を使えるだと!!?」
途端に、星零の身体の周りに五つの半径三十センチ程の青く煌めく魔法陣が現れた。
徐々に鋭い針の先端が魔法陣からユックリと露わになる。
数秒後には、その鋭い針が氷で造形されている鎖付き鉄球の一部だと分かった。
「さぁ、我の奥義を受けるが良いデェス!!」
と、星零の声と共に閃光のように翔ける五つの鎖付き鉄球。
そして、鋭い針と大きく重い氷球が肉を裂く音が五回。
俺の胸を、肩や足を……楓の腹や腕を、鎖付き鉄球が深々と刺し潰す。
その後に針が刺さった部分が凍結していく……一点一点の凍結部分は体全身に広がっていく。
鎖付き鉄球が命中する瞬間、俺たちはかろうじて身をさばき、急所を外していたが……勝負は目に見えていた。
身体が凍結し、血反吐を吐く二人……魔法少女の姿から本来の姿に戻る……翼がなくなった二人はそのまま、地へと急降下して行く。
そんな二人の姿を上から見下ろしながら星零が、
「ニャッハッハッハー!! 我のチカラ思い知ったデェスね!! お前らも早く奥義使うデェス!!」
と言う。
勿論、その言葉は幹雄たちには聞こえることなく終わった。
と、
星零の肩に座っているパンダが、
「星零様……そろそろお時間です……」
と、一言だけ伝えた。
「そうデェスか……それじゃあこの戦いはお預けってことデェスね!」
星零はにこやかな笑顔で言うと、急いで翼を羽ばたかせて何処かへと向かった。




