1/31
プロローグ
満月と、沢山の星々が夜空全体に美しく散りばめられている日……。
そいつは突如、前触れもなく、俺の部屋のドアをすり抜け現れた。
そいつの見た目は、全長三十センチぐらいの二頭身で二足歩行の白色と黒色が均一に施されたウサギのぬいぐるみ。
何故だか、プカプカと空中に浮いている。
俺が現状に驚き、床に尻餅をついて硬直していると、そいつはまだ声変わりしていない男の子の様な声で、
「ねぇ、僕を使い魔にしてよ!」
無邪気でいて無機質なその声は俺の背筋を凍らせた。
俺は何も答えることが出来ずにまだ硬直している。
心臓の鼓動、身体の震えと手汗が止まらない……。
そして、そいつは殺人鬼の様なオーラを……この世のマイナスを買い集めたかのような禍々しい空気を放ちながら、俺にどんどん近づいてくる。
焦った俺はこう言う。
「良いよ!! 使い魔にしてやる!! だから、命だけは……!!!!」
そいつは今の言葉を聞いて急停止したかと思った途端に多量の紫色の光を全身から放射した。
瞬間、
俺はその多量の光に呑み込まれた……。