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余命3ヶ月の花嫁

作者: さきら天悟
掲載日:2017/05/07

「一人、最高ッ!」

彼女は一人でヨーロッパを旅をするのが好き。

パリを歩き、イタリアで食べ、スペインで踊る。


バリバリのキャリアウーマン。

趣味も貯蓄も充実。


体を動かすことも好き。

2度目の挑戦で、フルマラソン4時間を切った。


そんな彼女が、余命3ヶ月の花嫁?


「バッカじゃないの?」

神妙に聞いていたが、我慢できなくなった。


「私は元気よッ」

彼女は二の腕をまくり、力こぶを出してみせる。


「それに結婚なんかしないわ」

彼女はきっぱりと言い切った。



「そんなことない。そんなこと・・・」

彼女はドキっとした。

夜一人でいると、涙が落ちることがある。

彼女は無意識に両手で、自分の肩を抱きしめていた。


再度の問いに、

「寂し・・・かも・・・」

と本音を吐いた。


それから、彼女はうつむいたまま話を聞き続けた。

時折、頷く。

その確信が彼女の心をえぐった。


20分後、彼女は席を立った。



部屋を出ると、スマホを出した。

『明日ならいいわ』

ラインの返事を返した。

同期の男性から食事に誘われていた。

彼女は少し笑顔になった。



「あなたは、このままの生活だとずっと独身です。

貯蓄が十分あるから、優雅な老後を過ごせるでしょう。

ただ、あなたの男性運は良くありません。

思い当たる節はありますね。

高齢で結婚し、財産を奪われると出ています。

最悪、殺されるかもしれません。

3ヶ月で」

と言われれば無理もない。

新宿一の占い師に。


しかし、彼女は占いなんて、と鼻で笑った。

でも、次々に自分の事を当てられた。

かつて悩んでいたこと、

別れた彼がストーカーっぽくなったこと、

仕事の悩み、

最近、天職と思われる仕事を得たことなど。

最後には信じることにしたのだ。


しかし、新宿一よく当たると噂の占い師はそうでもなかった。

占いのことではない。いや、そうか。

とにかく、占い師ではなかった。

実は国家公務員。

政府の特命を帯びた。


日本政府は追い詰められていた。

それは、少子化問題。

出生率は1.0を割り込んだ。

このままでは数十年には日本の人口が5000万人を切ると言う。

もう、手を駒ねいていることはできなくなった。

そこでよく当たる占い師を各地に配置した。

あたるのも当然である。

生年月日、氏名が分かれば、個人情報をいろいろ検索できる。

納税記録を見れば転職していることも分かるし、

警察のデータベースにアクセスすれば、ストーカーから被害を受けたことも分かる。

とにかく信用させる。

そして、結婚に導く。

それが、彼らに与えられた使命だった。



今日も彼らは使命に燃える。

独身を謳歌している女性の前で、眉間にシワを寄せる。

そして、今のままでは良くないと、投げかけるのだった。

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